SNSでフォロワー数ではなくエンゲージメントを重視すべき理由 1

麓 俊介 [記事一覧]

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1989年兵庫県出身。中学1年からプログラミングを始め、ホームページ制作やアフィリエイト、ネットゲームなどを個人で開発。2009年に新卒でECサイト開発・運営会社に入社。2010年からは株式会社ポケラボにて、ゲーム開発に従事。プログラマー、ディレクター、プロデューサーを経験。株式会社セガと協業で作った『運命のクランバトル』は年商20億円規模のヒットとなった。2016年5月に株式会社トピカ設立。

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こんにちは。株式会社トピカの麓 俊介(ふもと しゅんすけ)です。

前回のコラムではテレコミュニケーションの変遷から見る今後の動画の使われ方についての考えをお話しをさせていただきました。今回からのコラムでは、トピカがGOHANの運営で気づきを得た、フォロワー数ではなくエンゲージメントを重視すべき理由について3回にわたってお話させていただきます。

【そもそもエンゲージメントとは?】

 

1-1.エンゲージメントの定義

 

SNSの運用に関わっていると、「エンゲージメント」という言葉をよく耳にしますが、既存の4マス(TV/新聞/雑誌/ラジオ)でマーケティングが完結していた時代にはビジネス上ほとんど使われていなかった言葉でもあるので、言葉は知っているけどなんとなくしかわからない、という方もいらっしゃるのではないかと思います。

 

engagementは英語で直訳すると「約束」や「契約」「従事している」という意味合いがありますが、特にSNSにおけるエンゲージメントはファンやフォロワー、コンテンツを見た人との「つながり」や「絆」という言葉の方が近いかもしれません。「つながり」とは、フォローしている、されているという関係に留まりません。SNSにおけるエンゲージメントという言葉は、Facebookにおける「いいね!」「超いいね!」「うけるね」「すごいね」「悲しいね」といった感情を伴うリアクションや、メディア側の意見に対するユーザ側の「私はこう思う!」というコメント、Instagramのあとで見返してみようという「保存クリック」など、さまざまな反応や意味合いを含んでいます。

 

当然、そのエンゲージメントには濃淡があり、非常に多くの共感を得ているコンテンツ、コメントが頻繁に投稿されている熱量の高いメディアがある一方で、フォロワーはたくさんいるのに「いいね!」があまりついていないコンテンツやメディアも見られます。

 

エンゲージメントはポジティブ・ネガティブな感情問わず数値に反映されるため、例えば炎上マーケティングによって得られた数値も見た目上は反映されますので、数値が高い=手放しに褒めてよい、というわけではありませんが、適切なメディア運営を行い、良質なエンゲージメントを獲得することは、それはすなわちメディアとしての媒体価値向上にもつながります。

 

このコラムでは、エンゲージメント・エンゲージメント率とは?という話から、どのようにエンゲージメント率を上げるのか、なぜフォロワ―数ではなくエンゲージメント率が重要なのか、というお話をしたいと思います。

 

 

1-2.Facebookのエンゲージメント率の計算方法

 

Facebookのエンゲージメント率は以下の計算方法によって算出されます。

 

 

GOHANで投稿している料理動画を例に見てみましょう。

 

 

 

こちらのFacebookでの投稿はいいね!・コメント・シェアの合計が2,810、投稿クリック数が8,470、合計11,280となりました。

対して、リーチは190,601人でしたので、以下の計算になります。

11,280/190,601×100=5.918…..
こちらの「チーズフォンデュバーグ」の投稿のエンゲージメント率は5.9%ということになります。

 

 

1-3.Instagramのエンゲージメント率の計算方法

 

インスタのエンゲージメント率はFacebookとも似ていますが、以下の算出式となります。

 

 

Facebookと考え方としては同じですが、Instagramにはシェア機能がない代わりに「保存」機能があり、投稿クリックという概念がありません。

同レシピのInstagramの数値結果を見てみます。

 

 

エンゲージメント数は3,616、リーチは72,905ですので、

3,616/72,905×100=4.959…

Instagramでのエンゲージメント率は5%ということがわかりました。

 

Instagram特有の保存クリックですが、この数値が多いということは「後で見よう」という意思の表れですので、例えば食品・飲料系メーカーのInstagramアカウントのレシピ動画であれば、のちのちの商品購買につながる可能性が高いといえます。

Instagram運用における重要なKPIの1つとして捉えるとよいかもしれません。

 

1-4.Twitterのエンゲージメント率の計算方法

 

Twitterのエンゲージメント率は下記の式から算出できます。

 

 

エンゲージメント数という概念は同じですが、FacebookとInstagramは分母がリーチであるのに対し、Twitterはimp(インプレッション)となります。

 

また、分子となるエンゲージメント数の数え方が異なります。Twitterのエンゲージメント総数はFacebook/Instagramと比べ、内訳となる項目が多数あります。

 

  • 画像
  • 動画のクリック数
  • いいね
  • プロフィールのクリック数
  • 詳細のクリック数
  • リツイート数
  • リンクのクリック数
  • ハッシュタグのクリック数
  • 投稿からフォローした人の数
  • 返信

 

上記全項目の合算した数値をインプレッションで割った数がエンゲージメント率となります。

 

1-5.エンゲージメント率の一般的な平均と目安

 

トライバルメディアハウス社が2016年に実施した企業のFacebookページの投稿エンゲージメント率のリサーチ結果(各業界のFacebook 平均エンゲージメント率)によると、各業界の平均エンゲージメント率は0.5~2%とのことです。

(※補足としまして、前述の算出式は1投稿に対してのエンゲージメント率を算出しているのに対し、トライバルメディアハウス社の式は一定の期間の平均エンゲージメント率を算出することを目的としていますので、計算方法が異なることを予めご了承ください。)
投稿ジャンルによってもエンゲージメントの獲得の難易度は変わってきますので、一概には言えませんが、もしご自分・自社でFacebookページを運営されていましたら、相対的に高いのか低いのか、というのを改めて確認する目安としていただくとよいかもしれません。

 

また、プラットフォームがFacebookなのか、Instagramなのか、Twitterなのかによっても異なります。初期ほどフォロワー数も少ないため、少ないエンゲージメントでも、20%~30%という数値が出てしまう場合もあります。
個人やタレント・芸能人のアカウントの場合、基本その人が好きなファンが反応する前提となりますので、企業よりはエンゲージメント率はたかくなるでしょう。

 

企業アカウントの場合の平均的な値としては1~2%、3%を安定して超えてくると、そのアカウントは熱量が高い、と相対的に判断してよいかと思います。

 

今回のコラムではエンゲージメントについての基本的な考えや式をお話しをさせていただきました。
次回のコラムでは、エンゲージメントを上げるためにどのような施策を行っていくべきかについてお話をさせていただきます。

 

もっと詳しく知りたい!質問してみたい!といったご要望がありましたら、お気軽にトピカまでご連絡いただければ幸いです。(https://topica-works.com/)

 

【マーケターの企みアーカイブ】
Vol.49 麓 俊介さん|「プロダクトアウトではなく、マーケットイン」

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