加熱する!リアルクローズのレンタルアパレル・ベンチャー ②
Vol.4
理屈じゃない?うううん、ロジカル!女子キュン♡マーケ」
“セルフィー(自撮り)女子”受け型vsコンサバOL実需型
前回(前回記事はこちらから)に引き続き、
ここ最近新業態の立ち上がりの目立つ、“女子向けアパレルレンタル事業”に注目!
②でお届けするのは、前回とは打って変わって「“セルフィー(自撮り)女子”受け型」、29歳女子の立ち上げるLicie(リシェ)についてご紹介します。
“ツヨメ・女子ウケ”のLicie(リシェ)
マイナビ・ウーマン編集者を経て女子会プロデューサーという肩書きをもって企業のプロモーションや製品企画に携わってきた株式会社ガールズスタイリング代表、29歳の木原女史が立ち上げる女性向けレンタルアパレル「Licie(リシェ)」は、渋谷・恵比寿エリア(予定)に実店舗を構え、4月にオープン予定。
実店舗での貸し出しとなりますが、airCloset同様、女性誌などを手がけるスタイリストが、その場でその人の普段のコーディネート路線にプラスアルファの旬なアイテムなどを足し、ちょっとだけチャレンジングなファッションに仕上げてくれる「90度(だけ方向転換した)スタイリング」を提唱していくそう。
月額500円から3000円程度で、店舗にて洋服や小物にいたるまでを自由にレンタルできます。
Licieの店舗には、“セルフィー(自分撮り)”が可愛いくできるような、おしゃれ空間や、写真を撮るときに手に持てるプロップ(小道具)なども設置されるという。
アメブロで育ちインスタグラムへとその自己プロデュースの場を移し始めている世代に響く仕掛けですね。
店舗で最新の服を着たら、おのずとセルフィーしてSNSに投稿したくなるもの。
“最新のファッションに身を包んだ私“の姿を可愛いプロップを持ってパチリ♡
この仕掛け、マーケターの皆様にはもはやみなまで語る必要はないと思われますが、自らの事業プロモーションも兼ねることになります。
詳細は私が手掛けるキャリア女性向けメディア「WOMEN’S SHOWCASE」での取材記事(link)をご参照いただければと思いますが、木原さん自身の拡散力もさることながら、セルフィー女子のFacebookやインスタでの告知力はやはり目を見張るものがあります。
いまやどの企業もステマすれすれと言われようが、クチコミ=客観的な商品評価が検索エンジンのクローリング回遊域に頻繁に生成されることは大歓迎なわけで。こんなプロモーションスキームを顧客自らが実践する仕組みをはなから持てることからも、手堅い勝算を感じます。
品揃え的には、女子ウケする、ちょっとエッジなトレンドを感じるアイテムを意識。
木原さんいわく、「洋服を選ぶ時に一番頭を悩ませるのが、女子と会うときなんですよ。『オシャレな子!』って思われたいんですよね(笑)男性ウケするもの、とかは、オシャレとは限らないですからね」
モテ服より女子に評価される服のほうがスパイシーでオシャレなのは定説ですね。
そもそも普段着にそんなにこだわるものなのか!?
「普段着にそこまでこだわるか!?」と、大人であれば疑問に感じそうですが、SNSにて自分たちのリア充ライフを披露することがアイデンティティ形成のためにはもはや不可欠。特に女子的には。
「時には誰かと比べたい 私のほうが幸せだって・・・」
そうglobeのKeikoも歌っていました。
以前は会う人が異なれば同じ服装で出かけられたものの、今は違います。
「あれ?その服、昨日も…(着てなかった?Facebookの昨日の投稿で見たよ…)」
「えっ?(気づいてる?やばい、昨日もこのコーデで投稿しちゃってた…)」
などと、会った瞬間からお互いに相手の心中を察してしまうという、少女らしい気まずい空気が流れかねない。SNSで日々の「私は元気です!」(出典:「魔女の宅急便」)を報せることが、うっかり自身のワードローブの貧弱さを露呈させてしまいかねないリスクにさらされているのですね。
大人ゴコロとしては、
「そんな…(涙)ボロは着てても心は錦で生きなよ!」
なんて思ってしまったりもしますが、こういったおしゃれ心は、人生をポジティブに彩る側面も大きいもの。
Licieの木原さん自身も毎月のファッション購入費用は3万円までと決め、普通のOL感覚のおしゃれを楽しんでいます。
大旋風を巻き起こした海外ドラマ「ゴシップガール」の世界観が大好きという木原さん。「ドラマの中で女子高生のキャラクター同士がチェックのストールを『ファッションのアクセントとして使いたいから』と貸し借りするシーンなんかもあって。そういう、女の子同士で、素敵な服をお互い貸し借りするような世界観もかわいくて素敵だなって」(木原さん)
確かに、たまにしか使わない、ちょっとエッジの効いたアイテムを購入するのはコストメリットが小さいですし、レンタルでいろいろな服を着ることで自己表現の幅も広がります。
それに、いろいろなアイテムを複数人で共有するシェアリングと言う意味では、新しいかたちのコミュニケーションなのかもしれません。
秋元康先生風(?)に言うと、
「“#チェックのストール”友達」みたいな?
2社共通の商品獲得のための決め手は
「御社のショールーム機能を果たしますよ」
airClosetもLicieも、実店舗での新作販売を主軸としているアパレルブランドの開拓に成功しています。
その殺し文句は、これらサービスが「消費者にブランドを紹介し、ゆくゆくはファンとして獲得できる足がかりになる」
ということ。
毎シーズン、トレンドを取り入れた新作を作り続け売り続けるアパレルブランドにとって、焼却処分せざるを得ないほどの膨大な在庫というのが悩みの種。また、ファストファッションやセールサイトの台頭により、なかなかプロパー価格の新商品、新ブランドに手を出してもらえないという現実を重く受け止めている企業も多いです。
その中で、「レンタルであるなら一度着てみたい」とか、「たまたまスタイリストにすすめられた商品に含まれていた」ことをきっかけに顧客が新作手に取ることで、自ブランドを知らない顧客に触れてもらうことができます。
通販サイトで掲載するだけよりも、実物を着用させるほうが圧倒的に説得力があり、購買率が上がる。それを最も理解しているのは、実はいまだ実店舗販売が9割というアパレル業界関係者だったりします。
その中で、リアルに“ブツ”を顧客に手渡せる2社のような企業は、“変化形ショールーム”と呼んでも過言ではない媒体になりえるのですね。
今後、2社ともにとって取り扱いブランドの開拓こそが、顧客拡大のための最大のレバーとなることは言うまでもなく、実際にこの“変化形ショールーム機能”という見込みが的中し、アパレルブランドのプロパー商品購入へと間接的に繋がる結果が出れば、ますます普段着(リアルクローズ)のレンタルという業態は拡大していくと思われます。
蝶よ花よと育てられた姫君たちには、どんなデフレスパイラルの中でもおしゃれをさせてあげたいものです♡
リアルクローズのレンタルアパレルにおいて、何が女子キュン的キラーポイントになるのかが見えないのもあり、興味津々でウォッチしていきたいビジネスの1つであります。
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