ユーザ行動の変化とトリプルメディアの変化

麓 俊介 [記事一覧]

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1989年兵庫県出身。中学1年からプログラミングを始め、ホームページ制作やアフィリエイト、ネットゲームなどを個人で開発。2009年に新卒でECサイト開発・運営会社に入社。2010年からは株式会社ポケラボにて、ゲーム開発に従事。プログラマー、ディレクター、プロデューサーを経験。株式会社セガと協業で作った『運命のクランバトル』は年商20億円規模のヒットとなった。2016年5月に株式会社トピカ設立。

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こんにちは。株式会社トピカの代表をしています、麓 俊介(ふもと しゅんすけ)です。

前回の記事ではそもそもなぜ動画が良いのか、なぜ動画が普及しているのかについてデータも交えながら書かせていただきました。
今回のコラムでは、ユーザ行動の変化とトリプルメディアの変化について書いていきます。

 

ユーザ一人あたりの「可処分時間」の奪い合いが加速している

 

ひと昔前までは、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌から情報を得ることが一般的でしたが、スマートフォンが普及し始めた2010年あたりから、ユーザの一週間の余暇(可処分時間)の使い方が大きく変化してきています。

 

「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)のデータによると、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌に可処分時間を使う人は年々減ってきており、さらには睡眠時間も年々減っています。一方でITの普及によって効率化された結果、労働時間は減少傾向にあります。
結果、削ったことによって生まれた時間をテレビ・ラジオ・新聞・雑誌以外の媒体に使う機会が増えています。

 

 

“分散”してしまったユーザの時間をどのように掴むか、そのようなユーザにどのようにリーチするかを考えたマーケティング戦略が今後は必須となっていきます。

 

 

なお、昨今のスマートフォンゲーム(ソーシャルゲーム)などの市場活性化も、ユーザの可処分時間をうまく取り込んだモデルであったことが大きな要因となります。

 

トリプルメディアとは

 

ユーザの分散化は、2010年頃から提唱されはじめたマーケティング戦略の一つであるトリプルメディアにも影響を及ぼし始めています。

トリプルメディアとは、企業がメディア戦略を考える際に利用するマーケティングチャネルを区分したフレームワークとなります。
トリプルメディアは3つのメディアで構成されています。

 

ペイドメディア:

目的:関心を創ること
支払いを必要とする広告の出稿によって活用できるメディアとなります。
主にマス4媒体やWeb広告などが分類されます。

 

オウンドメディア:

目的:理解を促すこと
自社が保有しているメディアとなります。
Webサイトやカタログ、メールマガジンなど、自社で管理できるものとなります。

 

アーンドメディア:

目的:共感を得ること
企業が消費者から評判や信用を得るためのメディアとなります。
生活者が情報の起点となるブログやソーシャルメディアなどのCGMが分類されます。

 

これらトリプルメディアを活用したイメージ図が下記となります。

 

 

分散を意識したマーケティング

 

今までのトリプルメディアを活用したWebマーケティングでは、オウンドメディアによって企業が発信する情報を理解させることで、コンバージョンにつなげていましたが、スマートフォンの普及によりネットワーク上でのコンテンツが増加、メディアが分散化することによって、ユーザとの接点が多様化してきています。
加えて、スマートフォンのアプリケーション内でソーシャルメディアを生活の軸に動いているユーザからすると、オウンドメディアへプラットフォーム間を行き来するのはUXとしても面倒となり、ユーザそれぞれが触れているソーシャルメディアプラットフォームでのコンテンツ最適化によって、UXを良くする必要が出てきました。

 

その解決策として生まれた手段が分散型動画メディアとなります。
本来オウンドメディアで担っていた情報の理解という点を動画によってサポートし、ユーザが普段使っているプラットフォームに最適化(情報完結)したフォーマットで認知・拡散を図る手法となります。
今後のオウンドメディア・ソーシャルメディアの運用では分散型を用いて、ユーザにとって価値のある、利便性の良い体験を提供していく必要があります。

 

オウンドメディアとソーシャルメディアのユーザ層の違い

 

なぜオウンドメディアとソーシャルメディアそれぞれに最適化していく必要があるのかというと、リーチするユーザ層が明確に違うからです。

 

オウンドメディアは、ニーズ(検索ワード)が顕在化していることが特徴です。何が自分に必要か、どのような行動をとれば情報が得られるかが、おおよそ分かったユーザが検索行動(能動的行動)によって情報を得ていきます。
一方でソーシャルメディアは、ニーズが潜在的なユーザが目的意識もなくサービスを活用する過程で情報を得ていきます

 

この際、ソーシャルメディアではユーザの行動データをプラットフォームが解析し、「この人に合いそうだな」というコンテンツを独自のアルゴリズムによって選択し、接触させるため、ユーザにとっては新しい発見となりうる可能性があります。
ですので、ニーズを解決するのがオウンドメディア、ニーズを発掘するのがソーシャルメディアとして認識し、最適なコンテンツを必要な場所で完結する形で提供していく必要があります。

 

オウンドメディアとソーシャルメディアのハイブリッド

 

 

私が考えるオウンドメディアとソーシャルメディアの新しい関係としては、従来はオウンドメディアのコンテンツ情報をアーンドメディア(ソーシャルメディア)に記事リンクを掲載して誘導する形をとっていましたが、今後はオウンドメディアも継続して運用しつつ、ソーシャルメディア上で完結する価値のある情報を提供し、そこでエンゲージメントしたユーザによる情報拡散によって伝播者を増やしていくべきだと考えています。

ユーザ行動の変化に合わせてマーケティングの手法は変わっていくことを念頭に、ユーザに合わせる形で企業の活動も最適化していくことが必要です。

 

次回のコラムでは、動画を活用したトラクションチャネルについてお話していきたいと思います。

 

【マーケターの企みアーカイブ】
Vol.49 麓 俊介さん|「プロダクトアウトではなく、マーケットイン」

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