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すべての経験は、その繰り返しから

坊垣 佳奈 ぼうがき かな さん (株)サイバーエージェント・クラウドファンディング 取締役

Part.3

 

■成功のカギは「お金を出す側に立った設計がきちんとできているか」

 クラウドファンディングのプラットフォーム上に、より多くのプロジェクトを集める。そのために最も大事なのは「実績」である、と坊垣さんは分析する。さまざまな分野で成功事例を作っていくこと、いろいろなプロジェクトがたくさんMakuake上で成功している状況を作り出すことが大事だと語る。では、多くのお金を集めて成功するプロジェクトと、お金を集められず失敗するプロジェクトの差はどこにあるのか。

 

「まず大前提は、お金を集めようとしている本人に熱量があること。人からお金を出していただくものなので、熱がないとダメです。成功したプロジェクトの実行者には、皆さん熱量があります。お会いしてみると、多くの場合は実行者ご自身がかなり考えているし、ご提案をいただくことも多々あります。

 

でも、それだけではダメ。ポイントとなるのは『お金を出す側に立った設計がきちんとできているか』。具体的には、サポーターにどんなメリットを与えることができるかを考えることです。新しい商品を売り出すならば、それ自体の魅力は一つの武器。それを表現するのが難しい状況ならば、メリットをしっかりと提供することが大事です。

 

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よくある話なのですが、有名な人が関係していれば成功するかというと、決してそうともいえません。もちろんその方の人気や活動状況もあるのですが、例えば有名人の海外進出プロジェクトといったケースは、サポーターに対してメリットを提供しにくいものです。お金を出す側からすると、直接関係のない話なので…。クラウドファンディングでお金を集める意味をきちんと伝えることがとても重要です。

 

新しい商品やサービスなどを支援する方々の信条としては、やはりそのモノやサービスへの期待が大きいと思います。応援する気持ちよりも、『このモノがほしい』『このサービスを受けたい』という期待ですよね。そのモノを手に入れる、サービスを受けることが例え半年後であっても、支援する人はいるもの。つまり、そこには多少なりとも『応援したい』『ここでしか手に入らないから、絶対に手に入れたい』といった、普段の購買とは少し違う感情もある気がします一緒に作り上げている気持ち、先行投資している感覚を、みんな持っているのではないでしょうか」

 

片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援
支援するコースによっては本編のエンドロールに名前がクレジット表記されるというリターンも!

 

 

 

■すべてが見よう見まね。そして自分の判断で動く。

 

 そんな坊垣さんのキャリアにおいて今につながる原点。それはサイバーエージェントに入社して間もなく立ち上げに携わったサイバー・バズでの経験にある。広告代理業やメディア事業を手がけるこの会社には5年間在籍。役員にもなった。

 

「大学時代の就職活動では、ぼんやりと『速く成長したい』と思っていました。当時はこれがやりたい、というものが見つかっていなかったのです。だから『やりたいことが見つかった時、それがやれる自分になっていたい…』という意識でした。そんな中、いくつかいただいた内定のうち、サイバーエージェントは親も知らない"ベンチャー"。でも、そこに踏み込むのが一番成長につながると思いました。

 

実際に入ってみたら本当に何でも任せられて(笑)、多くのチャレンジをさせてもらいました。私は入社してすぐにサイバー・バズの立ち上げに携わっているんです。3年目の先輩が社長で、2年目のマネジャーと私、そしてもう一人が同期の男の子。創業メンバーはこの4人。他のメンバー3人が営業に出て、私はバックオフィス的に広報や人事など、経営に必要なことは本当に何でもやりましたね。

 

何せ誰も教えてくれる人などいないので、見よう見まねでした。すべて自分の判断で動かないといけない。ですから当時のすべての経験は、判断して、やってみて、振り返って、の繰り返しから得たものです。自分が判断して、やってみる。その経験を圧倒的にたくさんさせてもらい、ビジネスの常識や感覚を身につけていった。そんな感じです」

 

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中でも最も役立っているのが、広告の企画提案の仕事だった。

 

「企画提案とは結局『世の中にどう見せていくか、どう発信していくか』。お客さんと一緒に企画コンセプトから打ち出しまでをすべて一緒に考え、コミュニケーション設計をする仕事なので、いい経験になりました。

また、ブロガーのネットワーク作りを手がけていた時は、ブロガーと企業それぞれのニーズや意見を聞きながらさまざまな調整を行っていましたが、これも今につながっていますね。セルフメディアを持つブロガーと、そのブロガー達に記事を書いてほしいと要望する企業。ニワトリが先か卵が先かですが、両者を均等に見ながらメディアを運営していかねばならないので、なかなか難しいわけです。

でもそれは、Makuakeも同じ。お金を集めるプロジェクトを作る人がいないと、支援する人が出てこない。支援する人がいないとお金を集めたいと思う人も出てこない。両者を同時に意識しないといけない。そのバランス感覚は、サイバー・バズ時代に培ったものですね」

 

当時叩き込まれた考え方で、今も大切にしているのは『自分が与えないと、結局は何も返ってこない』ということ。

 

「皆さん多くのシチュエーションで、自分がこうしたい!という気持ち、いわば私利私欲に走りがちです。でも個人であっても会社であっても、それって結局長続きしないし、人もついてこない。いかに『人に与えられるか』を考えて仕事をしないとダメで、与えられた時はちゃんと返していくことが大事。そういう基本的な考え方を若い時に叩き込まれているので。その考えを常に心がけています。」

 

サイバー・バズでの5年間で得たものを糧に、多くの経験を積み上げていった坊垣さん。
第4回の最終回では、
Makuakeのグローバル展開、そして女性マーケターのトップランナーとしての今後のキャリアなどについて、語ってもらう。


プロフィール
坊垣 佳奈

坊垣 佳奈 ぼうがき かな

(株)サイバーエージェント・クラウドファンディング 取締役

1983年8月2日生まれ。兵庫県生まれ茨城県育ち。同志社大卒業後、2006年サイバーエージェントに入社とともに、株式会社サイバー・バズの立ち上げに携わる。’10年株式会社サイバー・バズ取締役就任。’12年株式会社Cygamesに異動の後、株式会社Cydesignationの立ち上げを手がける。同年、株式会社グレンジ取締役就任。’13年株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングの立ち上げに参画し、取締役就任。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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