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無限に人をつなげていけること。インターネットの力は、そこにある

坊垣 佳奈 ぼうがき かな さん (株)サイバーエージェント・クラウドファンディング 取締役

Part.4

 

「ローカル」と「グローバル」。その両面での展開を模索する。

 

クラウドファンディングの現状の課題。それは、まだまだ認知が十分とはいえないことだ。多くの人からの深い認知を得るには、もう少し時間が必要かもしれない。

「例えば今、ゲームに課金することが当たり前になったのと同じように、クラウドファンディングのサイトを空き時間に見て、ゲームへの課金と同じ感覚で『ここにお金を出してみよう』となるのか。そこは正直、もう少し待たなくてはいけません。そして、まだまだ、社会貢献のイメージが強いともいえます。

 

利用の仕方も同様です。今までは資金調達ツールのイメージが強かったですが、マーケティングやプロモーションのツールとしても有効であることを、今後いかにして広めていくか。そこも課題ですね」

 

そしてMakuakeは今後、「ローカル」と「グローバル」の両面での展開を模索していく。

 

日本製品が世界へと出ていくサポートができれば、と思っています。メイドインジャパンプロダクトを、Makuakeを通じて海外の人達に支援してもらう、というイメージです。日本の最新の技術力を生かしたプロダクトの他、職人さんが減って埋もれつつある伝統工芸品などを、世界中の人達にもっと知ってもらうための手助けになれればいいですね。また、実際にMakuakeに掲載されている質の高いメイドインジャパンプロダクトは、海外からのお問い合わせも多く、海外からの需要はあると感じています。もちろん、日本の市場はまだまだ伸びるので注力していきますが、並行してグローバル展開も行っていきたい。そのために、Makuakeでは海外からの決済が対応可能となる機能を2015年3月より追加しており、今後も、更に海外対応の機能を拡充していく予定です。

 

同時に今、地方自治体からのオファーも多々あります。プロダクト系もありますし、商工会議所や自治体の中小企業支援課でセミナーを開く機会も増えています。地方の具体的な事例でいえば、例えば秋田県の古民家を村と見立てて再生させる『シェアビレッジプロジェクト』。いわゆる町おこしプロジェクトで、"年貢"という名で支援を募集し、年貢を出してくれる"村民=サポーター"を募集する、というものです。また、高知ではJリーグ入りを目指すサッカークラブ『アイゴッソ高知』の補強資金を集める、というユニークなプロジェクトもありました。今後は地方自治体と積極的に組んで、ローカル展開もさらに仕掛けていきたいです」

 

年貢を納めて村民に?!シェアビレッジ町村、村民1 000人募集します。
秋田県の古民家を村と見立てて再生させる『シェアビレッジプロジェクト』という町おこしプロジェクト。"年貢"という名で支援を募集した。

 

日本一の田舎、高知にJリーグを!アイゴッソ高知の来季のチーム運営の補強資金を集めたい!
Jリーグ入りを目指す高知のサッカークラブ『アイゴッソ高知』の助っ人選手補強のための資金を集めるプロジェクトも目標金額をクリア

 

 

そんな坊垣さんが今、注目しているサービス。それは「クラウドソーシング」だという。

 

「言葉としてクラウドファンディングに似ていて、実際に間違えられることもあるのですが(笑)、以前からクラウドソーシングのビジネスモデルは非常に面白いと思っていました。『人』と『お金』は事業において非常に重要な要因となっています。その二つを集められたら、事業は上手くいく可能性が高いと思います。私達の関わるサービスはそのうち、お金を集めること。ですから人を集めるという意味で、まったく別のビジネスながらも注目しています。実は、4月にMakuakeでお金を集めたい人が、事業に必要な人を集められるよう、「クラウドワークス」との連携(※)も開始しました。

 

これからは、個人が何でもできる時代になっていきます。モノ作りもそう。『DMM.make AKIBA』のような、ハードウェア・スタートアップのための開発施設が生まれ、個人でさまざまなモノ作りができるようになってきた。Part.1でお話した『赤ずきん』をイメージしたアイシャドウの事例もそうですよね。Twitter上の『こういうのあったらいいよね』という声に反響が生まれ『じゃあ、クラウドファンディングでお金を集めて作っちゃおう』となったわけですから。

 

無限に人をつなげていくことができる。インターネットの力は、そこにあります。クラウドファンディングもクラウドソーシングもそうですが、昔よりも、個人でしたいと思っていることが、ずっと実現しやすい環境になりました。今後、Makuakeがその流れをもっと加速できるサービスになっていくことを願っています。」

 

(※Makuakeは、株式会社クラウドワークスの運営する日本最大級のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」と連携し、Makuakeでのプロジェクト実行者に対して、クラウドソーシングを活用したサポートを2015年4月より開始している。)

 

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■これからは女性一人一人が、未来のロールモデルになっていく。

 

 まだまだ市場規模は大きいとはいえないものの、右肩上がりで成長を続けるMakuake。今やクラウドファンディング市場の課題=Makuakeの課題であり、クラウドファンディング市場の今後の伸び=Makuakeの伸び、ということがいえそうである。

 

Makuakeが成長するためには、クラウドファンディングのマーケット規模を大きくしなければならない。そしてMakuakeが大きくならないと、クラウドファンディングの市場も成長しない。そう考えています。

とはいえ、まだまだどこにも完全な勝ち組は生まれていない市場です。 時々取材などで、今後の市場規模の予測を聞かれることがあるのですが、それは今後私達が作るもの。そこに市場はありますか? とも聞かれますが、私達はあると思ってやっていますし、私達が切り拓いていかねばなりません。私達がクラウドファンディングのマーケットを大きくしていく。その強い自負を持っているつもりです

 

 

「早く売り上げ規模を100倍にして、Kickstarterに追いつきたい」と語る坊垣さん。最後に、彼女が心に描く今後のキャリアについて話を聞いた。

 

「今はとにかく、この事業を大きくしていきたいです。私自身、サイバーエージェントの一員としても一人の女性としても、素晴らしい経験をさせていただいていますので。

今の社会の状況の中で、女性の働き方は過渡期にあると思っています。私達の親世代には"女性は働かず、家庭に入って子供を産むことが幸せ"という価値観が定着していました。それが今は"そうじゃなくてもいいよね"と、ある意味自由になっています。でも自由ってすごく苦しいもの。なぜなら、選ばなくてはいけないから。そして、選んだことを正解にしていかなくてはならないから。

 

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何が正解かなんて、誰も教えてはくれません。私達はたぶん先端にいて、この先を歩いている人はいないしロールモデルもない。とはいえ選択肢が自由すぎて、何を選んでいいのかわからない。今はそんな状況。だから一人一人がロールモデルにならなくてはいけない。でも苦しくて、挫折して諦めてしまうケースも出てくる。それを、諦めないでいい世の中にしたい。

サイバーエージェントは今年の春、26人が産休から復帰し、ママ社員の人数は128名になりました。女性社員の平均年齢が約30歳。これから、出産を経て、仕事を続けるという女性社員はもっと増えていくでしょう。そんなサイバーエージェントみたいな会社が、新しい"空気"を作っていかなくてはいけない。例えば今、営業先に子供を連れていくのはNGです。でも、それがOKになれば、もっと女性の働き方やキャリアの多様性は広がると思いますこれは極端な例ですが、サイバーエージェントはそんな"空気感"を作れるポジションにある会社だと思いますし、私自身、そこに寄与していきたいです

Makuakeを成長させることで、クラウドファンディングのマーケットを大きくしていきたい。そして女性マーケターのトップランナーとして 多くの同性が目指すべきロールモデルになりたい。それが、坊垣さんの今の思いである。

 

(終わり)


プロフィール
坊垣 佳奈

坊垣 佳奈 ぼうがき かな

(株)サイバーエージェント・クラウドファンディング 取締役

1983年8月2日生まれ。兵庫県生まれ茨城県育ち。同志社大卒業後、2006年サイバーエージェントに入社とともに、株式会社サイバー・バズの立ち上げに携わる。’10年株式会社サイバー・バズ取締役就任。’12年株式会社Cygamesに異動の後、株式会社Cydesignationの立ち上げを手がける。同年、株式会社グレンジ取締役就任。’13年株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングの立ち上げに参画し、取締役就任。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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