食べ過ぎと運動不足に苛まれる感謝祭・ホリデーシーズンに放たれた、ダイエットサポート企業の心に訴えかけるキャンペーンとは?
食べ過ぎと運動不足に苛まれる感謝祭・ホリデーシーズンに放たれた、ダイエットサポート企業の心に訴えかけるキャンペーンとは?
読者の皆様、こんにちは。
昨日、11月27日はアメリカでは「Thanksgiving Day/感謝祭」の祝日
でした。
家族や知人友人が集い、伝統的な感謝祭のディナーメニューが並んだ
食卓を囲むこの日は、「ターキー(七面鳥)の丸焼き」や「グリーン
ビーンズキャセロール(グラタン)」、「パンプキンパイ」など、
クリスマスよりも「食事」のパートにより焦点が当たった祝日の
ように感じます。
Picture:Screen shot of Free Internet Picture.com
各家庭では、1週間以上も前から、この日に向けた食材ショッピングが
スタート。
そして数日前からは各料理の仕込みが始まります。
今年は私も、大人数での感謝祭ディナーの準備を体験しましたが、
前日などは、文字通り一日中キッチンで仕込みになりました。
「七面鳥」、「ハム(巨大なもも)」、「いんげんのグラタン」、
「ポテトのクリームオーブン焼き」、「マッシュポテト」、「スタッフィング」、
「ストロベリープリッツェルサラダ」、「サツマイモのシナモンバター焼き」、
「バターロール」、「パンプキンチーズケーキ」、「アップルパイ」・・・。
これだけのメニューが巨大なお皿に盛られ食卓に並びます。
そして、感謝祭後の数日間はこれらの残り物やそれをアレンジした
メニューを食べ続けます。
また家族が集まり団欒を楽しむこの時期は、普段の日常生活のルーティーン
を維持することは難しく、エクササイズの機会は減り、規則正しいヘルシー
な食生活からも遠のき、その結果、当然のこととは言え「Weight Gain/体重
増加」という憂き目にあうことになります。
アメリカでは、「この日(感謝祭)ばかりは、ダイエットも関係なし!」
という風潮もありますが、だからと言って懸念や罪悪感から完全に解き放たれるわけ
ではありません。
そんな逆に普段よりも、ダイエットへの意識が高まっている時期と言える
この感謝祭からクリスマスなどのホリデーシーズンをターゲットに、新しい
キャンペーンをスタートさせたのが、アメリカを中心に世界30か国でその
サービスを展開している、
「Weight Watchers/ウェイトウォッチャーズ」
Picture:Screen shot of Unity Health
※Weight Watchers Official Website
http://www.weightwatchers.com/index.aspx
世界最大のダイエット産業企業とも言われる同社は、1963年に設立され、
本社はニューヨークに置かれています。
最もよく知られている同社のサービスと言えば、週単位でのダイエット
サポート&ミーティングの「フレックス・プラン」。
これは、性別や年齢、活動量、現在の体重と目標体重等の個人の基礎情報から
一日当たりに摂取できる最大ポイントを設定。
同時に全ての食べ物には、脂肪・繊維・カロリーによって同じくポイントが
割り当てられます。
この「ポイント」の加減によって、それぞれが一日当たりの摂取許容
ポイント数以内に抑えた食生活を送るというダイエットプランで、週に
一度はメンバーが集まるミーティングも実施されています。
また「フレックス・プラン」の他、「コア・プラン」や「ターンアラウンド
プラン」なども提供されています。
会員制のダイエット支援サービスをコアとする同社ですが、近年は同社の
雑誌や食品類、エクササイズ関連商品など様々な減量支援商品を、小売店
や各種広告などでも頻繁に見かけるようになりました。
そして、そこに広告塔・親善大使として登場していたのが、同社のプログラムを
通じて80ポンド(約36Kg)の減量に成功したといわれる、女優・歌手の
「ジェニファー・ハドソン」や「ジェシカ・シンプソン」といったセレブリティ。
Picture:Screen shot of Huffington Post
Picture:Screen shot of Celeb Mafia
競合がひしめくダイエット産業では、ウェイトウッチャーズのみならず、
各社がセレブリティを広告塔としています。
(「Jenny Craig」のKirstie Alleyや「Nutrisystem」のMarie Osmond等)
しかし、同社が一般消費者へのアンケートやインタビュー調査を実施した
ところ、セレブリティたちが華麗に変身した姿には大きなインパクトがあり、
減量が簡単なことのように思える一方で、消費者たちは、その背景には
同社のプログラムだけではなく、個人トレーナーの存在など、「セレブ
だから達成できたのだろう・・・」という懐疑的な見方を持っているということ。
また、「減量は簡単ではないし、それを維持するのも難しい」という事実に
直面した人も多くなっているという結果が出たのです。
この結果を参考に、今年の感謝祭・ホリデーシーズンに合わせて同社が
スタートさせた新しいキャンペーン「Help With The Hard Part」の
コマーシャルがこちら。
※Weight Watchers "If You're Happy”
日本でも「幸せなら手をたたこう」の歌詞で知られる、子どもたちに
定番のこの歌のメロディーに乗せて、
「If you’re happy and you know it, eat a snack」
というフレーズ、そして場面が転じて、
「If you’re sad/bored/lonely/sleepy/guilty/stressed and you know it,
eat a snack.」
というネガティブなフレーズが流れています。
この業界では初ではないかとも言われている、セレブリティを排した
コマーシャルでは、普段の生活の中で、ストレスや悲しみ、孤独感や
罪悪感などネガティブな感情やシチュエーションの時に走りがちな
「暴飲暴食」のシーンを列挙。
ハッピーな時の間食と、そうでない時の「過剰」になりがちな間食。
感情的に「しんどい時/Hard Part」のダイエットの難しさを浮き彫り
にしています。
また、野球のゲームに負けた子供たち、仕事のストレスで間食に
走る男女、ハロウィンキャンディーを隠れて口にする女性など、
様々な世代が登場するのもこのCMの特徴の一つ。
Picture:Screen shot of Weight Watchers "If You're Happy”
Picture:Screen shot of Weight Watchers "If You're Happy”
Picture:Screen shot of Weight Watchers "If You're Happy”
そのためCMは、AMCの人気ドラマ「The Walking Dead」の11月30日に放映される
中間シーズンフィナーレや、NBCの人気ショー「The Voice」の12月15日に
放映されるシーズンフィナーレ等、子どもから大人まで各世代に広く人気の
番組で流される予定になっています。
さらには、今日11月28日には全米の映画館でもこのCMがお披露目。
映画を観ながらポップコーンとソーダで間食という、ダイエット中には避けたい
ことの一つにはまっている観客がドキッとするタイミングをあえて選ぶことで、
より消費者にこのメッセージを強く印象づけたいという、賢い同社の判断です。
1分間のコマーシャル(30秒バージョンもあり)の中で、CMを提供する同社の
名前が現れるのはコマーシャルの最後ほんの数秒のみ。
より実際のダイエットの難しさ、ダイエッターの悩みに面と向かった内容、
「HELP WITH THE HARD PART」というキャンペーンメッセージに続き、
新バージョン(?)の全て小文字のシンプルな企業ロゴが効果的に視聴者の
記憶に残ると、同社の新しいキャンペーンは概ね高い評価を受けている
ようです。
※ニュースソース
※New York Business Journal
http://www.bizjournals.com/newyork/news/2014/11/25/weight-watchers-looks-at-emotional-eating-in-new.html
※New York Times
http://www.nytimes.com/2014/11/25/business/media/weight-watchers-serving-up-understanding-to-those-who-eat-their-feelings.html?_r=0
※Ad Soft The World
http://adsoftheworld.com/media/tv/weight_watchers_if_youre_happy
※The Inspiration
http://www.theinspiration.com/2014/11/weight-watchers-youre-happy-wk-portland/