広報・PR担当者の3割が注目する「動画活用」

千田 英史

千田 英史 [記事一覧]

株式会社PR TIMES PR・コミュニケーションDiv PRプランナー 1987年生まれ。熊本県出身。青山学院大学英米文学科卒業後、PR TIMES社入社。
企業の商品・サービスのPRプランニング、メディアプロモート支援に従事。


Vol.1
「いまどきのPR」

 

こんにちは。

PR TIMESの千田と申します。

思いがけずに当コラムのお話を頂きました。いまだに「連載なんて無理!」と思っていますが、頑張って書いていけたらと思いますので、よろしくお願いします!

 

初回のテーマは、「動画」です。

ここ最近、「動画が増えた。」「これからは動画が来る。」といった声をよく耳にします。仕事で動画のPR相談を受ける機会が増えたり、Facebookを眺めていても「友達がシェアした動画」の投稿が目に触れることも多くなりました。とくによく見かけるようになったのは、YouTube等にアップされた動画ページそのものよりも、「BuzzNews」「feely」「Whats」「grape」など、1年前には存在すらしていなかった新興バイラルメディアの記事ページをシェア元とした投稿です。

 

こうしたバイラルメディアの急速な成長に加え、モバイルデバイスの多様化や通信サービスの向上も相まって、生活者にとって、動画はますます「見つけやすく、視聴しやすい」コンテンツのひとつになってきています。

 

図1

 

 

実際、私たちが運営するリリース配信サービス「PR TIMES」においても、「動画」というワードを含むプレスリリースは逓増していますし、国内のインターネット動画広告市場に限ってみても、約130億円(前年比4倍)の市場規模と今なお急速に成長を続け、2017年には640億円(約5倍)にまで拡大することが予想されています。YouTubeの動画もひと月に60億時間以上も再生され、1分あたり約100時間分の動画がアップされているほどです。

(出典:http://www.youtube.com/yt/press/ja/statistics.html )

 

そして、このような変化は企業にも追い風です。企業がプロモーション目的で作った動画でも、再生回数が公開後すぐに数十万回を突破したり、国内外問わずシェアされるようなケースも次々と出てきています。

 

企業はいま、「動画コンテンツを活用したPR」をどう捉え、どのような取り組みをおこなっているのでしょうか。つい先日、企業の広報担当者100名を対象にアンケート調査をおこないましたので、以下に抜粋して紹介します。

 

広報担当者の3割が「動画コンテンツを活用したPR」を注視(出典:PR TIMES「企業広報アンケート調査」

 

企業の広報担当者100名全員に対し、まず「現在取り組んでいるPR手法」について聞いたところ、1位「プレスリリース配信」(61.4%)、2位 「商品が属すカテゴリ全体を対象とする啓発活動」(58.4%)、3位「ソーシャルメディア拡散を意図したPR」(54.5%)と、PRの基本的活動は押 さえつつ、生活者間での情報流通も意識した活動をおこなっている企業が多いことがわかりました。

 

次に、「以前より更に注力して取り組んで い るPR手法」と「今後取り組みたいPR手法」を尋ねたところ、1位「ソーシャルメディア拡散を意図したPR」(32.7%)、同率2位に「動画コンテンツ を活用するPR」「プレスリリース配信」(ともに29.7%)が挙げられ、広報担当者の3割が「動画コンテンツを活用したPR」に注目をしていることが窺 える結果でした。

 

図2

 

まだまだ“マジメ”に“伝えるため”の動画が主流(出典:PR TIMES「企業広報アンケート調査」

 

さらに、どんな動画コンテンツをPRに活かしているのか、現在取り組んでいる「動画コンテンツを利用したPRの種類」について聞くと、1位「商品の 機能性を説明する動画を用いたPR」(39.6%)、2位「動画を組み込んだプレスリリース」(37.6%)、3位「PR主導の動画コンテンツ制作」 (36.6%)、同率4位に「CMなど広告用に制作された動画を用いたPR」「実験による立証結果をアピールする動画を用いたPR」(ともに32.7%) が挙げられ、「機能説明」や「実験結果」など、まだまだ“マジメ”に伝えたいことを“伝えるため”の動画が主流になっていることがわかります。

 

また、「今後、動画利用を検討しているPR活動」については、1位は同じく「商品の機能性を説明する動画を用いたPR」(27.7%)でしたが、2位に「話題化を図る切り口で制作された動画を用いたPR」(25.7%)が挙げられ、話題化への期待も窺える結果でした。

図3

 

「動画の話題化によるサイト流入を期待」42.4%(出典:PR TIMES「企業広報アンケート調査」

 

最後に、動画を利用したPR活動の経験者と検討者を対象に、「動画PRに期待すること」について聞いたところ、「企業・商品などのイメージをより分かりやすく伝える」(72.7%)がダントツで1位でしたが、2位には「動画が話題になり、Webサイトなどへのアクセス増加」(42.4%)が挙げられ、次いで「言葉にできない表現を感覚的に伝える」(34.8%)などが続きました。

 

図4

 

「動画そのものを話題化させたい。」「より広範な生活者に視聴してほしい。」私も含め、そう願った経験のある広報・PR担当の方はきっと多いと思います。しかし、冒頭で挙げたようなバイラルメディアで取り上げられている動画は、ほとんどが「感動系」「驚き系」「おもしろ系」「考えさせられる系」「動物(癒し)系」の5つに分類されており、全体的にみても、企業発信の、そして“伝えるため”の動画はまだまだとっても少ないのが実状です。

 

にも関わらず、バイラルメディアで取り上げられ、話題になった“企業発”の動画は、どういった点が「ほかと違った」のでしょうか。

 

私は『ワンメッセージへのこだわり』と『目新しい組み合わせ』が差をつけていると思います。

 

つまり、『生活者の知りたいこと・観たいものに徹底して寄り添い、焦点を絞ったこと』(他にも伝えたいことや、その表現方法は山ほどあるのに、です)。そして、『自分たちが“伝えたい”ことよりも、どのように“伝わる”かを研究し、これまでに見たことのない組み合わせにチャレンジしたこと』が大きなポイントなのではないでしょうか。

 

<バイラルメディアで取り上げられ、話題になった“企業発”動画の一例>

ISETAN-TAN-TAN」(株式会社三越伊勢丹ホールディングス)

[伝えたいメッセージ要素]伊勢丹の楽しさ

[組み合わせ] 世界の伊勢丹スタッフ×ダンス×矢野顕子さん

【放送事故】生配信中に・・・いきなりBAN」(株式会社オートウェイ)

[伝えたいメッセージ要素]タイヤ交換の重要性

[組み合わせ]放送事故×自動車×生放送主

キャディ ゴルゴル/Say Fore」(セガサミーホールディングス株式会社)

[伝えたいメッセージ要素] 正しいゴルフマナー

[組み合わせ] キャディ×ラップ

 

もちろん、PRや広告で動画とのタッチポイントを増やしていく活動は欠かせないものではありますが、それよりももっと大事な「メッセージ(情報コンテンツ)」をどう選定し、どう表現するか。「価値あるコンテンツを作成し、見込み客を魅了し、獲得し、関係をつくり、購買に結びつけていく」といったコンテンツマーケティングの考え方が普及・浸透し、広報・PRにおける動画活用においても、より“印象に残ること”や“話題にしやすいこと”が求められてきているのかもしれません。


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