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パーパスを持つことで、あらゆる企業はグレートカンパニーになれる

Justin Lee じゃすてぃん りー さん エスエムオー(株) パーパスマネジメントコンサルタント


今回お話をうかがうのは、近年、米国を中心にニーズが高まっている「パーパス・ドリブン・マネジメント」の専門家・ジャスティン・リーさんである。昨今、新たな概念として少しずつ日本にも浸透しつつあるのが「パーパス」という概念。今回はリーさんが日本のコンサルティングカンパニーSMOで啓蒙を行っている「パーパス・ドリブン・ブランディング」について、実際の導入事例も含めて紹介していく。

写真=三輪憲亮


Part.1

 

■ザッカーバーグとコトラー、そしてジャスティン・ビーバー

 

世界的グレートカンパニーはなぜ、企業理念に沿った経営戦略を実現できるのか。その答えの一つとして現在、アメリカで注目されているのが「Purpose(パーパス)」という概念だ。企業は自らのパーパスを明確にして「パーパスドリブン企業」となることで、有能な人材を獲得し、組織の団結力を高め、たくさんの人から支持されるなど、多くのベネフィットを得ているという。

では、パーパスとは何なのか。英語のPurposeという言葉は、日本では多くの場合「目的」と訳される。しかし、企業のブランディングという面から見ると、マーケティングにおける新たな用語としてのパーパスは「存在意義」というニュアンスに近い。つまり、企業は今こそ「何のために存在するのか」という社会的意義を見つめ直すべきである、という考え方だ。

 

「マーク・ザッカーバーグとフィリップ・コトラー、そしてジャスティン・ビーバー。3人の最近の共通ワードは何だと思いますか?」

 

 

語るのは「パーパス・ドリブン・マネジメント」を専門とし、日本においては、コンサルティングカンパニーのエスエムオーにて多くの企業のブランディングを手がける、ジャスティン・リー氏である。

 

「そう。この3人に共通するキーワードがパーパスです。マーク・ザッカーバーグはこの5月に、ハーバード大の卒業生に向けてスピーチしました。その時のメインテーマがパーパスでした。彼はスピーチの中で『パーパスとは、僕ら一人一人が小さな自分以上の何かの一部だと感じられる感覚のこと。パーパスこそが本当の幸福感を作る』と言っています。

 

 

またフィリップ・コトラーといえば、マーケティング4Pです。実はあまり知られてないのですが、彼は2013年、インドで講演した時に『I added to the 4Ps a new P』と言いました。つまり、新たにPを一つを加えた。Product、Price、Place、Promotionに加わったのが、Purposeだそうです。

 

そしてジャスティン・ビーバー。同じ名前(ジャスティン)なので僕も親しみがあるのですが、彼は一年間半前ニューアルバムをリリースしました。そのタイトルが『PURPOSE』。彼は昔、いろいろと世間を騒がせていました。当時は『なぜ音楽をやっているのか』というパーパスを失っていたそうです。そんな過去を反省して自分と向き合い、すべてを見つめ直した。その思いをタイトルに表したそうです。

 

これらのことからもわかる通り、パーパスという言葉はビジネスでも、日常でも使われる言葉。つまり、多くの人に親しまれている言葉です」

 

■今後は『事業=社会貢献』と考える企業が伸びていく

 

リーさんは、あらゆる企業はパーパスを持つことによって、P&GやBMW、ホールフーズ・マーケットといった"グレートカンパニー"になることが可能だと考えている。

 

「パーパスとはまさしく『存在する理由』という意味。簡単に言うと『Why are we here?=僕らは何のためここにいるのか』という質問に対する答えです。世界的に優れた企業はどこも優れた『What=何を』と『How=どうやって実現するか』を持っている。でもこれからの時代は、それだけでは足りない。WhatとHowに加え『Why=なぜ』も明確にする必要がある。Whyがきちんと確立されて初めて、優れた企業になれるのです」

 

 

リーさんが行っているのが、パーパスを主軸に置いた「パーパス・ドリブン・コンサルティング」である。パーパスを見つけ、それに基づき、その企業の「らしさ」と「社会貢献」を組み合わせてたブランディングを展開する。例えばシャネルは「女性の解放」というパーパスを掲げて洋服を作り、そのメッセージが世の中に響いたからこそ成功している。

 

「パーパスを明確に定義することで、企業が得られるベネフィットは、

1. 才能ある人材の獲得
2. 才能ある人材のマネジメント
3. 強固な組織構造
4. 確固たるブランド

などです。

 

パーパスは社員やスタッフにやりがいを与え、働きたくなる環境を作り、優れた人材を引き寄せます。そして「パーパス・ドリブン人材」、すなわちパーパスに価値を置き、共鳴し、仕事に臨む人達は、組織の成長に大きなメリットをもたらします。

 

なぜ企業にとって、そこまでパーパスが大切なのかというと、パーパスは確実に成果、すなわち業績の向上につながっているからです」

 

 

例えばP&Gは、世界でも最も早くパーパスを導入した企業の一つだ。1987年に作られたP&Gの最初のパーパスは『自社製品に最高のクオリティと価値を与え、世界中の顧客のニーズを満たすこと』だった。P&Gでパーパスが体系化された理由は、当時、ヴィックスやマックスファクターを買収しており、これら子会社の社員に企業理念を浸透させる狙いがあったという。

 

今や『稼いで余ったお金を社会貢献に回す』という時代は終わり、サスティナビリティ(=持続可能性)を考えないビジネスは、確実に淘汰されていく。そして今後は『事業=社会貢献』と考える企業が、明確に売上を伸ばしていくでしょう。

 

つまり、パーパスは今後ますます、大切なキーワードになっていく。パーパスという概念を取り入れる企業は今後も増える。日本にはまだまだ導入事例は少ないですが、パーパス・ドリブン・ブランディングの流れは、確実に浸透していくはずです」

 

次回Part.2では、企業が掲げるビジョンやミッションとパーパスとの関係性、そしてパーパスという概念の背景にある、ミレニアル世代の意識について、話を聞いていく。


プロフィール
Justin Lee

Justin Lee じゃすてぃん りー

エスエムオー(株) パーパスマネジメントコンサルタント

エスエムオー株式会社パーパスマネジメントコンサルタント。1978年台湾生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒業(在学中に一橋大学に留学)後、シリコンバレーのベンチャーにてマーケティング効果測定サービスを担当後、日本のプライスウォーターハウスクーパースにコンサルタントとして勤務。ブランディング及びマーケティング、海外市場参入戦略を担当。
2012年ロサンゼルスに戻り、パーパス主導企業になるノウハウを伝えるため米国ではThe Purpose Project, Inc.を設立。ビジネスとマーケティングにおけるパーパスの重要性について定期的に講演を行う一方、企業や組織のパーパスを見つけ、ムーブメントを起こす活動を支援。英語、日本語、中国語が堪能。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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