海外のクラウドソーシングサービスの市場規模と動向について調べてみた

芝辻 幹也 [記事一覧]

http://whomor.com/

株式会社フーモア 代表取締役 兼 漫画家 1983年生。東京工業大学・同大学院卒業後、2009年アクセンチュア入社。大規模システムのPMO、大手小売業のBPRのプロジェクトに参画。 その後、ルームシェアメンバーとシェアコトを創業しグルーポン系サイトを立ち上げる。同事業譲渡後、トライバルメディアハウスに入社しソーシャルメディアマーケティングを学ぶ。2011年11月株式会社フーモアを創業し同社代表に就任。趣味は理論物理学(最近は専ら超紐理論)イラスト・漫画作画。密かに漫画家を目指している。Fb: https://www.facebook.com/MikiyaShibatsuji Tw: https://twitter.com/mikiya_4822

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Vol.4
「フーモアがコンテンツの新しいあり方を模索する!」

 

あけましておめでとうございます。フーモアの芝辻です。今年もよろしくお願いします!

 

さて、弊社フーモアは所謂ゲーム向けクリエイティブの受託制作をメインとしておりますが、業界的にはクラウドソーシングとしても括られるケースが多いです(ディレクションをしている労働集約型なので少しニュアンスが違います)。やや死語に近くなってきてしまっておりますが、常日頃からゲーム業界に関わらずこの業界の情報収集をしておりまして、2016年のスタートにあたり、マーケット動向等を整理してみました。

 

アジェンダは以下の通りです。

●米国クラウドソーシング・サービスの市場動向について

●海外ではスマホクラウドワーカーをベースとしたサービスが結構イケている印象

●上記海外関連企業の概要と最近の資金調達の動向

 

 

米国クラウドソーシング・サービスの市場動向について

 

2014年の米国クラウドソーシング・サービス市場規模は売上ベースで5億ドル(日本円600億円※流通額ではありません。流通総額はこの10~20倍と想定されます)です。有力企業は、Elance-oDesk(※最近はupworkという名前になったんでしょうか。)、Lionbridgeなどです。

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Elance-oDeskは日本で言うと、日本市場を牽引するツートップのランサーズさんとクラウドワークスさんが合併したイメージです。規模的にはそれ以上なので、業界関係者は淘汰がはじまったと感じた方も多いのではないでしょうか。

 

米国クラウドソーシング・サービス市場は2009年から2014年にかけて年率63%のペースで成長してきました。今後5年間も(過去5年間に比べて成長率は鈍化するが)引き続き成長が見込まれています。

 

プレイヤーの数は260社以上が存在しており、それぞれがニッチなスキルに特化したオンラインポータルを運営しています。

 

米国でのこの業界はニッチ志向に加えて、新規参入が急増したことから、マーケットは細分化されており、M&Aによる業界再編の動きが出始めています。(上記ElanceとoDeskの合併など)

 

弊社のようなクリエイティブに特化したクラウドソーシングとしては、99designsなどがありますが、企業ロゴやパッケージデザインが中心なようです。

 

Source:Crowdsourcing Service Providers in the US: Market Research Report
http://www.ibisworld.com/industry/crowdsourcing-service-providers.html

 

 

海外ではスマホクラウドワーカーをベースとしたサービスが結構イケている印象

 

クラウドソーシングと聞くと、WEBサービスでPC上であれこれ作業するイメージを持つ印象がありました(私だ け?)。海外のサービスを見ると、今はスマホからWEBにアクセスする時代だということもあり、スマホ上で仕事が出来てしまうサービスが海外は進んでいる という印象でした。

 

日本国内のスマホの利用を見ると、ゲーム、ニュース、電子書籍、SNS、出会い、音楽などが中心かと思いますが、アプリのブーストなどで使われていた(今は結構BANされていますが)お小遣い稼ぎアプリがスマホユーザーからあれだけ利用されていたことを考えると、働くというより小遣い稼ぎ程度で出来てしまう仕事はなんとなくニーズとして高いんじゃないかなと思いました。

 

MROC的なサービスなどは比較的、スマホユーザーとの相性が良いのかもしれません。次のお題でも紹介されますが、実際にそれ関連の内容が多くあります。

 

※MROCとは、「Market Research Online Community」の頭文字をとって「エムロック」と呼ばれ、特定のテーマに興味関心の高い人が集まり、対話・傾聴・観察を通じて、気づきを得るリサーチ手法です。アメリカのフォーチュン500社のうち400社も導入しているというのだから結構流行っている手法です。

 

また海外で特に新興国に目を向けると、スマホの普及率は凄く、私が4年前にフィリピンに留学していた時も感じましたが、家にテレビ無いけどスマホは持っているというような方が非常に多かったので、スマホ内で完結できるマイクロタスクがあると経済が回り、ビジネスが回るイメージが持てました。

 

次はどんな企業があり、どのような資金調達の動きがあるかを見ていきたいと思います。

 

 

上記海外関連企業の概要と最近の資金調達の動向

 

さてここからは各企業の動きを整理していきたいと思います。
順番は資金調達額順です、ご了承下さい。

 

Premise
2015年9月:経済情勢データ・クラウドソーシング・プラットフォームのPremiseが$50M調達
http://techcrunch.com/2015/09/24/premise-raises-50-million-to-outsource-the-collection-of-economic-data/

 

新興国のモバイルユーザーを活用して経済データを作成するとのことですがどうやっているんでしょうか?ですが考察させて頂いたように、面白いなと思います。

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Elance-oDesk
2014年11月:クラウドソーシングのElance-oDeskが$30M調達
http://techcrunch.com/2014/11/25/elance-odesk-30m-benchmark/

 

あまり説明は要らないと思います。世界最大級ともあって調達額がすごい。

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Fiverr
2014年8月:オンライン・サービス・マーケットプレイスのFiverrが$30M調達

https://www.fiverr.com/news/services-marketplace-fiverr-raises-30-million-in-series-c-round

 

こちらも同程度調達。デジタル系の外注サービスマッチングを主としているようです。

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Spigit
2015年10月アイディア・クラウドソーシングSpigitが$13M調達
http://www.finsmes.com/2015/10/spigit-raises-13m-in-venture-capital-financing.html

 

「好きな時に」「誰もが」「どこからでも」アイデアを投稿できるSNSで、自社の課題に対するアイディアを不特定多数(自社社員、お客様、パートナー企業、研究機関)から大量に集めるモデル。TV番組・映画配信のNetfixが、映画のレコメンドアルゴリズムの改良アイデアに対して、$100万を支払った実績があるというのだから驚きです。競合のPoPinなども$6Mを調達していますね。

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spare5
2014年12月クラウドソーシングによるデータ解析プラットフォームのSpare5が$3Mの調達。2015年8月には追加で$10M調達
http://techcrunch.com/2015/08/25/spare5-raises-10m-series-a-round-for-its-mobile-mechanical-turk-service/

 

モバイル・アプリ上で作業してお金がもらえる仕組みを提供。
写真にタグ付けをするとか、コンテンツを分類整理するなどの細かい雑務を、停留所でバスを待っているスマートフォンユーザ(=ひまな人)にやってもらい、その賃金を払うという少し面白いサービス。

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Directly
2015年5月カスタマーサポートクラウドソーシングのDirectlyが$10M調達。
http://www.finsmes.com/2015/05/directly-raises-10m-in-series-a-funding.html

 

オンデマンドのカスタマーサポートサービスを提供。Zendesk、SalseForceなどのヘルプデスクのコミュニティなども統合されているようです。エキスパートユーザーに、アプリを配布しエキスパート側は、アプリ内でスキルチェックテストを受ける。顧客からの質問はアプリ経由で最適なエキスパートへ配信し、エキスパートへアラートが届きエキスパートが回答すると、彼らに報酬を支払うという流れ。

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CloudFactory
2014年10月クラウドソーシングのCloudFactoryが$3M調
http://www.vcnewsdaily.com/cloudfactory/venture-capital-funding/hkqxckfhzp

 

ここはいろいろなデータ処理(悪質なコンテンツへのフラグ付け、データ入力、音声データの転記、OCRの訂正、イメージへのタグ付け)に特化してクラウドソーシングしているようです。ネパールに拠点があるのは珍しいですね。

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所感

 

スマホ x 海外はまだまだ伸びる余地がありそうな印象を持ちました。しかしながら、既にプレイヤーは存在し、資金調達やM&Aもなされていることから、後発参入はなかなかリスキーかもしれません。一方でプラットフォーム的サービスが多い中で、ディレクションをしているような事業者はそこまで多くない印象でした(調べた限りでは)。労働集約型は嫌われる傾向にあるのでしょうが、実際日本のクラウドワークスさんなどは、イラスト事業会社を買収していることからそちらにも参入して成長をしようとしている傾向があります。

 

各国ともフリーランス(クラウドワーカー)さんの仕事能力自体はピラミッド構造になっていると考えられ、ピラミッド上位の能力が高い人は数が少ないため、仕事があってもそこの数が少ないからスケールしなくなるという壁にぶつかると思います。事業として成長をするためにはそこでフリーランスを育て能力を高めるか、海外に進出しパイを広げるかとなりますが、既に強いプレイヤーが多いため、ニッチな戦略を余儀なくされるだろうなと思いました。

 

 

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