にっぽんのマーケターが選んだ!2015年のヒットアイテムは?
【2015ヒット商品ランキング by にっぽんのマーケター 結果発表】
先月ご協力をいただいた「2015ヒット商品ランキング by にっぽんのマーケター」。
投票結果の集計が完了しましたので発表させていただきます!
まずはランキングの発表から。
第1位:ラグビー(12.2%)
第2位:RIZAP(8.4%)
第3位:ドローン(6.6%)
第4位:Web接客ツール(6.3%)
第5位:Airbnb(5.2%)
堂々の第1位は「ラグビー」。老若男女の票を集め、文句なしの第1位。
ついで第2位は「RIZAP」。印象的なCM・広告展開がマーケターたちに評価されました。
第3位は「ドローン」。何かとニュースに取り上げられ、一躍2015年の注目アイテムに。
僅差で第4位は「Web接客ツール」。「マーケターの企み」でも取材させていただいた「Flipdesk」などマーケター界隈で「アツい!」と話題のトピックです。
ここからはさらに大接戦で、「Airbnb」、「インバウンド」、「インスタグラム」と続いています。
■2015年ヒット商品トピックス
次に、得票からうかがえるヒットトピックを振り返ります。
・スポーツおよびヘルスケア領域
ラグビーを筆頭にスポーツおよびスポーツ周辺のカルチャー、近接するRIZAP等のトレーニング・ヘルスケア領域が高い注目を集めました。
女性にはクレンズジュース、チアシードなどのヘルシーフードがトレンドに。パッケージや店舗のデザイン性の高さに加え価格帯の高さも相まって、SNSやキュレーションサイトが経路となり、トレンドセッターの女性たちがヒットを牽引しました。
・テクノロジー領域
ドローンやウェアラブルデバイス、VRといった近未来的なテクノロジーが現実化し、実用化が待たれます。高い関心を集めつつも身近なヒットというにはまだ遠く、話題化した「ドローン」以外は得票が鈍りました。
・デジタルマーケティング領域
Web接客ツール、インスタグラム、キュレーションサイトなどがヒット。インスタグラムは、セルフィーの一般化を後押しし、「インスタジェニック(インスタグラム映えする)」という新たな文化を生み出しました。
他に、2015年のトピックとして注目するものを挙げておきましょう。
・シェアリングエコノミー
Airbnb、クラウドファンディングなど。新たな消費スタイル・ライフスタイル、現代的価値観という側面からか、支持層を分けた感があります。ヒットしたと実感できる水準に達するには、もう一押しほしいところでしょうか。
しかしながらわたしたちの意識しないうちにシェアリングエコノミーはじわじわと生活に浸透してきており、ユニークなサービスも登場しています。遊休スペースを「シェア」し新たな価値を生み出すマーケットプレイス「SPACE MARKET」はその1つのお手本となるでしょう。
【過去記事】マーケターの企みVol.16:(株)スペースマーケット代表取締役 重松大輔さん
クラウドファンディングはかつては社会貢献的活動を多く扱っていましたが、現在はマーケティング的側面からも「新しい物が生まれる場所」として商業的な期待もされています。
【過去記事】マーケターの企みVol.21:㈱サイバーエージェント・クラウドファンディング 取締役 坊垣佳奈さん
・国内経済の活性化
インバウンド(インバウンド消費、「爆買い」など)、ふるさと納税など。国外からの需要を高めるという点で期待が寄せられたインバウンド。
「マーケターの企み」Vol.22にご登場いただいた日本SI研究所・友野健一さんは、なかでもムスリムを対象とした「ハラールマーケット」に着目。300兆円超の巨大マーケットとして期待が高まっています。
【過去記事】マーケターの企みVol.22:㈱日本SI研究所 インバウンド事業部マネージャー 友野健一さん
ふるさと納税はまた違った側面ながら、日本国内の力をベースにした地方活性化という点で評価され、また節税効果と特産品が手にできるというメリットから、「メリット」を感じやすいものとしても支持されました。
・その他の流通スタイル
コンビニドーナツ&コーヒー、ハンドメイドマーケットなど。
セブンイレブンを先駆者としたコンビニコーヒーは2015年に本格化。先駆者はさらに「ドーナツ」を仕掛け、このスタイルを完成させます。
ハンドメイドマーケットは、スマートフォンアプリとその広告展開から主に女性の支持を拡大。クリス・アンダーソン的に言うならば、シェアリングエコノミーの次に来る潮流としての「MAKERS」的動向を見逃すわけにはいかないでしょう。
続いて上位3つを詳しく見てゆきます。
■第1位:ラグビー
「言わずもがな」とのコメントもあったほど、敢えて説明するまでもないほどヒットしたラグビー。
ワールドカップでの活躍をきっかけに一挙に注目を集め、中でもスター選手の五郎丸歩選手は記念切手のモデルをはじめ各所で「今年の顔」に選ばれています。
【参考リンク】GQ Men of the Year 2015 五郎丸 歩 スポーツマン賞
W杯での日本の勝利はなんと24年ぶりだそう。それもこの勝利というのが実に劇的で、まず相手が世界の最強豪国とも呼ばれる南アフリカですから、まさに歴史的な大金星だったわけです。このドラマティックさ、歴史的瞬間に立ち会ったという熱狂がまず第1にスポーツとしてのヒットを呼び起こします。
さらに、前述の五郎丸歩選手の存在はエンターテイメントとしてのさらなる爆発に不可欠であったと言ってよいでしょう。彼の端正な顔立ちと鍛えられた肉体は多くの女性を虜にしました(妻子があるというのも評価を上げた点です)。このことは、これまでのメイン支持層ではなかった層に認知を広げ、単にスポーツとしてのラグビーという枠に留まらせずにヒットを拡大させたと考えられます。
そして付け加えるなら、独特のポーズが印象に残る「ルーティン」のメンタルトレーニング効果も注目点の1つです。非スポーツファンにも支持され、ラグビーのムーブメントを一過性のブームでなく普遍的なものへ昇華させました。
【参考リンク】ラグビー五郎丸のキック、ルーティンのメンタル効果 | 日本経済新聞
あらゆる層の胸を熱くした「ラグビー」が、2015年ヒットのトップに輝きました。
■第2位:RIZAP(ライザップ)
RIZAP(ライザップ)は、視覚と聴覚に大きなインパクトを与えるCMで一気に注目をさらい、さらには眼を見張る大規模な交通広告・街頭広告を展開。マーケターとして注目せざるを得ないヒットとして票を集めました。
この広告シリーズ、実は2014年から展開しています。人気カメラマンのレスリー・キーとタッグを組み、素人キャストの驚くべきbefore/afterを堂々と見せたものを皮切りに、有名芸能人の起用を続けるなどしてコンスタントに印象付けを行っています。
一度耳についたら離れないメロディも欠かせない要素で、そのクリエイティブは「子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで口ずさむ(投票者コメント)」とまで評価されました。
2015年からは「RIZAP presents BODY MAKE GRANDPRIX 2015(ライザップ ボディメイクグランプリ2015)」として、会員向けのコンテスト展開も行っています。
【参考リンク】RIZAP presents BODY MAKE GRANDPRIX 2015(ライザップ ボディメイクグランプリ2015)累計会員25000人の頂点が決定!!-PR TIMES
ローカーボダイエット(糖質オフ、低炭水化物ダイエットとも)も近年トレンドの1つで、ランク外ながらもノミネートワードでもある「24時間フィットネス」などの業態も現れており、健康維持についての関心がますます高まっているといえるでしょう。
トレーニングジムに通ったり専門家の指導のもとボティメイクする・健康を維持する生活スタイルが浸透しており、「RIZAP」のヒットはその土壌の上にあり、またその土壌をより発展させるものでもあったのではないでしょうか。
■第3位:ドローン
一方、異なる潮流にあるのが第3位の「ドローン」。
これは支持に男女差が大きく現れており、男性ではラグビーについで2位となるものの、女性票は伸び悩み8位にとどまりました。
「ドローン」というワードを目耳にするようになったのは、Amazon.comが導入を目指すドローンを用いた配達サービスや、日本のテクノポップユニットPerfumeの出演でも話題になった米ロックバンド「OK Go」のミュージックビデオなどからではないかと記憶しています。
【参考リンク】アマゾンのドローン配達、明らかになった野望 | WIRED.jp
【参考リンク】「見たことのない視点を求めて」 ドローン一発撮りを支えた“エンジニア魂” 「OK Go」MVの裏側に迫る | IT media ニュース
ドローンとは、雄のハチを意味するDroneに由来し、転じて「自律する無人機」を意味するものとして一般化。いわばラジコンヘリの未来版といったところでしょうか。そういった側面から、男性のワクワク心を刺激しているのかもしれません。
もとは軍事目的の開発から始まっていますが、上記に挙げた商業目的やクリエイティブ分野において可能性を期待されています。その一方で、「良くも悪くもニュースに頻出している印象(投票者コメント)」であることは否めず、どちらかというと認知度をアップさせたのは「悪いニュース」であったかもしれません。
ノミネートされた「ウェアラブルデバイス」、ノミネート候補(選外)となった「pepper等の家庭用ロボット」などとともに、日常の暮らしに革命を起こしうる近未来的なテクノロジーの到来を感じさせますね。
ウェアラブルデバイスといえば、テイジン(株)の開発する「圧電ファブリック」のアイディアソンを開催したのも今年・2015年でした。
こうして開発者たちの情熱のもとさまざまな未来的技術が開発されており、よりよい暮らしの実現に向けてマーケター達のアイディアが求められているのですね。
【過去記事】〜IoT時代のファブリックはどうあるべき?〜 テイジン新素材「圧電ファブリック」の商品化・事業化アイデアを考えよう!
ドローンについては安全な実用化に向けて必要な法規制・ルール作りが待たれており、本格的なヒットに向けて2016年にバトンパスされたところ。今後の動向に要注目です。
■得票に男女差が見られたヒット商品
他に、男女で得票に差が出たものについても見ていきましょう。
大きく差がついたのは、以下の3つ。
女性3位「インスタグラム」(男性9位)
男性3位「Airbnb」(女性はTOP10外)
女性5位「おにぎらず」(男性はTOP10外)
インスタグラムは2015年10月から日本国内での本格的な広告配信を開始。これをきっかけに、今まではトレンドに敏感な女性のためのツールだったものが、デジタルマーケティング展開上避けられないものとなりつつあります。若い女性のあいだでは「インスタジェニック」などというワードも広まり、芸能人のオフィシャルアカウントも更に拡大し、それこそキャズムを超えた感のあるサービスの1つですが、まだまだ「使い方がわからない」とぼやく男性の声もちらほら耳にします。“ヒットした”実感には男女差があったようですね。
【参考リンク】ついにInstagram広告が日本企業に全面解禁!知っておきたい広告タイプまとめ | SMMLab
関連して、「おにぎらず」「メイソンジャーサラダ」「熟成肉」がインスタグラムの後に続き同率得票となったのが女性ランキングの特徴です。お食事系はやはり女性が強いのでしょうか。おにぎらずやメイソンジャーサラダはそれこそ「インスタジェニック」ということもあり、インスタグラムを始めとした写真によるSNSコミュニケーションがあってこそ爆発したものであるかもしれません。
「熟成肉」は男性でもなんとかTOP10には着けましたが、「デートに誘って絶対断られない」という投票者コメントにも見られるよう、女性主導のヒットとも言えそうです。
一方、女性の注目は低いものの男性に支持されたのが「Airbnb」。サービスそのものはこれまでもありましたが、ゲストとしての利用だけでなくホストとしての利用に注目が集まったのが2015年になってからと言えそうです。
「シェアリングエコノミー」の広まりを受けて前向きに捉えられており、同サービス運営会社が日本経済への波及効果を2219億円と試算したり、規制緩和・法整備への働きかけも高まっており(現行法では旅館業法違反となるため)、国内での展開に目が離せません。
しかしながら一方で、「自宅を貸す」というスタイルからトラブルの危険性を心配する声も少なくありません。サービス側で支払い面に関するポリシー策定はされているものの、例えば独身女性などでは、ホスト側としてなかなか手を出しにくいサービスとも感じられ、女性票が集まりにくかったのはそういった点も潜んでいるのではないでしょうか。
【参考リンク】Airbnb「経済効果は2220億円」 、民泊条例追い風に日本事業加速 | IT pro
■まとめ
以上、にっぽんのマーケターの皆さんが選んだ「2015年のヒット商品」を見てまいりました。あなたが投票したものは上位にランクインしていましたか?ランクインしているものはあなたにとってヒットの実感ができたものだったでしょうか?
日々進化していくテクノロジー、通信技術やモバイル・デバイス。その恩恵を受けてデジタル・マーケティングは今や不可欠のものとなりましたが、人の心を動かすのはやはり人なのだと思い知らされるようなランキングでした。
2016年はどんなものがヒットするでしょうか。また近いうちににっぽんのマーケターの皆さんのご意見をお聞かせください。
今年も一年間ありがとうございました。2016年も引き続きどうぞ宜しくお願いします!