クチコミデザインのPDCA
三木 佑太 [記事一覧]
株式会社サイバー・バズ広告メディア事業部 執行役員。 1987年、大阪府出身。2010年サイバーエージェント入社後、 サイバー・バズへ出向。2014年局長に就任し、サイバー・バズで 受注した案件のプランニングの約8割以上を手がけている。2016年広告メディア事業部 執行役員に就任。LINEやAntennaとの 定期的な合同セミナーや総合広告代理店と共同で大型案件にも携わる。共著「クチコミデザイン」を2014年に出版。
クチコミデザインのPDCA
皆さまこんにちは。三木です。
全5回にわたってお送りしたコラムも最終回となりました。
最終回ではクチコミデザインのPDCAについてお話します。
1.プランニング(Plan)・ 実行(Do)
他のマーケティング手法と同じく、クチコミデザインでもPDCAのサイクルはマストです。
クチコミはSEMやDSPのような運用メディアに比べて効果検証の必要性が少ないと思われがちですが、クチコミデザインこそ効果検証からの改善余地が多く残されているかと思います。
PDCAのまずPlanの部分で私が重要にしているのが、本質的な課題を理解することです。
たとえば、クライアントさんの“Twitterを実施したい”という言葉だけではわからない、なぜtwitterを実施したいと考えているのか、本来の目的まで深堀りしていくことが重要です。
それはこちらからの自主提案でも同様となり、自分の提案の本質的な部分については何度も何度も考え直すようにしています。
その際に重要にしているのは仮説をたてることです。
仮説と一言で行っても、「課題・目的」「ターゲット」「手法」「タイミング」など多くの仮説ポイントが存在します。その仮説を定量面、定性面から検証しながらプランを立てていきます。
中でも重要視しているのは定性面です。
以前にも述べましたが、万人受けするデータからの仮説は、クチコミの拡がりに有効なコアアイデアに寄与しないことが多々あります。
メディアの選定などにはもちろん定量データは重要な要素ですが、アイデアや切り口などの際は特定のペルソナに絞った考え、深くヒアリングした結果の何気ない一言にアイデアが隠れていることが多くあるのです。
例えば、今日買ったお菓子の理由を尋ねても、「なんとなくチョコレートが好きだから」など、あまり切り口の参考にならない答えが多いかと思います。
そこから一歩踏み込み、商品を買う前にその商品情報に触れたことがあるか、購入する際に他の商品と比較検討したか、購入場所はいつも使っているコンビニなのかなどを深堀りしていくことで、ターゲットの共通点や意外な購入理由がみえることがあります。
プランができたら、いよいよ実施となります。
クチコミというのは、生き物のようなもので、実施がはじまるとすぐに反応を追うことができ、
また人の反応によって予想外の方向に情報が拡がっていくこともあります。
その動きを追いながら改善していくことが重要です。
SEMやDSP同様に日々の動きを見ながらアプローチ方法を変えていくことが効果の最大化につながるかと思います。
2.検証(Check)・ 改善(Action)
実行フェーズでもご説明しましたが、検証については実行とほぼ同時にスタートし、ソーシャルでのヒアリング、定量面のKPIへの進捗を追っていくことが重要となります。
また事前にクライアントとKPIを共有することで、何か異変があった場合でも比較的すぐに対応することが可能となります。
ここでもっとも重要なのは、こちらが狙った通りに口コミがでているのか、触れた情報に対して違うアクションが起こっていないかを検証することです。
ここでのソーシャルリスニングが、後の改善で大きく役立ちます。
改善面では数値面はもちろんですが、定性面に重きをおきます。
クチコミを数で捉えると、1,000クチコミと10,000クチコミではもちろん10,000の方が良い結果と判断するかと思います。
しかし、商品との接点がある1,000クチコミと商品と接点のない10,000クチコミではどうでしょうか?クライアントとしては1,000クチコミに価値を感じてくれるのではないでしょうか。
また例えば清涼飲料のクチコミデザインの場合、こちらとしては飲むシーンのクチコミを形成する予定が、予想外に飲んだ感想クチコミが多くでることがあったとします。
クライアントとしては良い結果なので、見落としがちですが、なぜその結果につながったかという本質的な部分を検証することで、次回のアプローチ方法や施策の内容に大きな改善をもたらすことができるのです。
仮説面でもお話しましたが、最後は一人一人の反応をきっかけにクチコミにつながるので、そう言った予想外の変化や一人一人の意見なども検証の時にみている重要なポイントとなります。
3.最後に…
今回全5回にわたり、「クチコミ」という軸でコラムを書かせていただきました。
クチコミは人の行動の中で欠かせないものであると同時に、普段から触れる機会が多く、接触していることを自覚していないことも多くあります。
どこにでもある自然なクチコミにちょっとしたきっかけを与えることで、より多くの方の心を動かすことができること、それがクチコミデザインをする上での醍醐味です。
もちろん思った通りにならないことも多々ありますが、そこから学んだことを次に活かすことでまた新たな発見につながると思うとワクワクしてきます。
「クチコミ」のテーマは今回で終了ですが、また新たなテーマでお会いすることもあるかと思います。その時はまたお付き合いいただければ幸いです。ありがとうございました。
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