きっかけメディアと拡散メディア

三木 佑太 [記事一覧]

株式会社サイバー・バズ広告メディア事業部 執行役員。 1987年、大阪府出身。2010年サイバーエージェント入社後、 サイバー・バズへ出向。2014年局長に就任し、サイバー・バズで 受注した案件のプランニングの約8割以上を手がけている。2016年広告メディア事業部 執行役員に就任。LINEやAntennaとの 定期的な合同セミナーや総合広告代理店と共同で大型案件にも携わる。共著「クチコミデザイン」を2014年に出版。

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Vol.4
「クチコミデザインで変わるコミュニケーション」

 

 

皆さまこんにちは。三木です。

 

前回は、クチコミをデザインするというお話を具体的な事例を基にご説明しました。
第4回目の今回は、クチコミを設計するときに大事にしている考え方の一つである
【仕掛け×仕組み】の『仕組み』部分にフォーカスしてお話します。

 

 

1、『仕組み』の多様化

広告業界、Web業界では日々新しいサービスやメディアが生まれており、消費者への情報の届け方も多様化してきています。

 

一昔前と比べても、消費者のメディア接触時間、デバイス、SNSの利用度など大きな変化が起きています。例えば、2010年ではスマホの普及率は10%に満たないほどでしたが、2015年になり30%を越えています

 

Photo by cicadashell
Photo by cicadashell

 

当然ですが、デバイスの変化は【仕掛け×仕組み】 に大きな影響を与えます。

 

特に『仕組み』は触れるメディアや触れている時間が変化すると大きくアプローチが変わります。

ただここで勘違いしてはいけないのは、あくまで変化しているのはデバイスであったり、接触しているメディアの変化のような生活環境が中心で、消費者の本質的な部分が大きく変わったわけでないということです。

 

情報の届け方や伝わり方については変化が続いていますが、このコラムでもずっとお伝えしている【誰に、何を、どう伝えるか】というコミュニケーションの根本は、時代が変わっても変わらない部分なのです。

 

よくありがちなのは新しいメディアが登場することで、既存メディアのパワーが下がったように感じたり、新しいからとりあえず使ってみようという考え方です。

 

もちろん新しいことにチャレンジすることはメリットもあり、トライアルという意味でも必要なことですが、新しいというだけで取り組むのは安易な考えです。

既存のプランを変えてまで取り組むべきなのか、せっかく継続して効果がでつつあるのに、変化を起こすべきなのかよく考える必要があるかと思います。

 

現在の多様化している仕組みの中で、何が最適な選択なのかを見失わないようにする必要があるのです。

 

 

 

2、きっかけメディアと拡散メディア

 

メディアプランニングを行う際には、それがきっかけを創るメディアなのか、拡散を促進していくメディアなのかを意識することが必要です。

 

 

きっかけメディアには、情報発信の起点になるコンテンツを置きますが、一方的な広告が無視されることは、第1回第2回でお話してきた通りです。

 

そこにはソーシャルメディア時代に即した工夫が必要となり、私たちは、特にブログ、YouTube、キュレーションといった3 つのソーシャルメディアを活用しています。

また、同じくらい重要な意味を持っているのが、ユーザーの興味に合致したトレンドの情報を提供するニュースメディアです。

 

拡散メディアは、TwitterFacebookLINE の巨大SNS が中心となり、ユーザーの属性が幅広く、さまざまなジャンルのプロモーションに応用できます。
また、「食べログ」や「@ cosme(アットコスメ)」など、業界に特化したクチコミメディアも見逃してはいけない存在です。

Photo by acworks
Photo by acworks

 

もちろん一概にこの分類が常に正解というわけではありません。

例えば、ブログが拡散メディアとして機能することがあったり、Facebookがきっかけメディアになることがあります。
ここで大切なのは、一つ一つのメディアに役割を持たせる意識です。

 

最近のトレンドの一つであるInstagramもまた難しい立ち位置のメディアです。

どちらかというとハブメディアというよりはコンテンツを蓄積することが強いメディアですが、ハッシュタグという機能をうまく活用することで拡散メディアとしても役割を担うことが可能です。

 

 

このように一つのメディアでも活用方法により異なる役割を発揮する場合があるので、
メディアの特性、使い方をうまく設計していくことがメディアプランニングの際の腕の見せ所になります。

 

クチコミという視点で考えた際に、このきっかけメディア拡散メディアという考えは非常に重要で、消費者が何をきっかけにして興味を持ち、どのメディアで拡散するのか、導線を設計するかで、同じ仕掛けでも大きく波及効果は変わってきます

 

 

どうしても広告を扱っていると、コンテンツ(仕掛け)部分に重要度が寄ってしまいますが、私個人としては、仕掛け6:仕組み4、または5:5の割合でプランニングすることが大切だと思っています。

 

 

その際、『仕掛けと仕組み』は必ず同じタイミングでプランニングすることをオススメします。

コンテンツ完成後にご相談いただくこともありますが、仕組み部分を踏まえて考えたコンテンツ(仕掛け)と比較すると、露出・波及面で大きな差がでてくるからです。

 

コンテンツだけでは『誰に』『何を』までしかコミュニケーション設計ができていませんが、『どのように』伝えていくかという点を踏まえることでコンテンツ内容もさらに伝わりやすいものにすることができます。

 

 

今回はメディアの使い分け、役割分担を中心にお話しました。

次回最終回ではクチコミのPDCAについてはお話させて頂きます。

 

 

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