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アウトプット先を持つことで、「自分ワールド」を形作る

滝村 雅晴 たきむら まさはる さん (株)ビストロパパ 代表取締役

Part.2

 

■毎日終電まで働き土日も仕事。それでも『会社に働かされている』という感覚はなかった。

 

  滝村さんは大学卒業後、採用PR会社を経て'95年、前年に設立されたデジタルクリエイター養成校「デジタルハリウッド」に、第1号社員として入社。広報、宣伝、PR職を中心に多忙な日々を送った。デジタルという新しい産業を生み出すベンチャーの立ち上げ。そこに携わることへの充実感が滝村さんを突き動かした。

 

僕のモチベーションが上がるのは、みんながしてこなかったことをする時。デジタルという新たな産業は、必ずこれからの世の中を席巻する。その確信があったので、当時は会社に行くことが楽しくて仕方なかった。毎日終電まで働いて、土日も仕事。でも『会社に働かされている』という感覚は、まったくありませんでした

 

27歳で結婚。その後も仕事中心の生活は続いたが、2003年に長女が誕生。それにより、徐々に考え方が変わっていく。育児に追われ、好きだった外食がしにくくなったことをきっかけに料理を始め、週末ごとに台所に立ち、腕をふるった。

 

「料理は趣味というほどではなかったし、習ったこともありません。そこから突然料理を始めたのですが、僕が当時していたのは、まさに『男の料理』。自分が食べたいものを自分の都合で作る。そんな趣味の料理ですね。

そこから僕は、自分の中に足りないものに気づき始めます。当時は毎日の忙しさにかまけて、妻を思いやることがまったくできていなかった。自分が食べたい料理を『どうだ! うまいだろう?』という目線で作るだけ。作ったら作りっ放しで、洗い物は妻に任せていました。

要は、思いやりが足りなかったんです。僕は、ご飯を作ったら妻が喜んでくれるとしか思っていなかったのですが、それは違った。妻は確かに僕が料理することを喜んでくれましたが、それ以上に、洗い物をしないことを快く思っていなかった。いくつかのきっかけがあってそれに気づいた時、これから僕は『家族のために』料理を作っていこう、と思いました」

 

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■セルフブランディングの基本は、アウトプット先をなるべく多く持つこと。

 

そんな滝村さんがパパ料理研究家を名乗ることになるきっかけが、料理と時を同じくして始めたブログだった。

 

「ブログを書いていなければ、僕はたぶんパパ料理研究家になっていません。始めたのは、ちょうど世の中にブログが出てきたころ。もともとは仕事のご縁でやってみようとなったのですが、何せ当時は料理を始めて楽しくなってきたころ。自分で作った料理をテーマにした『ビストロSMAP』と『クッキングパパ』を合わせたようなキャッチーなページがいいと思い『ビストロパパ』と名づけました。当時は、まさか将来、自分の会社名になるとは思っていませんでしたね(笑)」

 

滝村さんは週末に料理をするたびに写真を撮り、それを毎日ブログに上げていく。その際、ルールを課した。まず、絶対に勤務中には書かない。そして、書くタイミングは朝。

 

「帰宅は毎日12時を超えますから、朝しか書く時間はない。しかもたった15分だけだったりする。それでも15分でワンコンテンツ作ることを毎日繰り返すと、イスに座ったら間髪入れずに書けるようになるんです。

これはなぜかというと、何を書くかは朝以外の時間に考えているから。無意識に『これ、ブログに書けるな』と考え、そのネタを頭の中にストックしているんですね。そして日中にイメージしていたことを、朝にまとめる。朝、イスに座った時には、書く内容はすでに決まっているわけで、それを整理するだけです。そのリズムができてきた、ということですね」

 

毎朝必ずブログを書くことが習慣になると、楽しくなってきた。情報発信自体は、デジハリ時代からお手の物。毎日綴られるブログには徐々にアクセス数を上げ、ファンができてきた。その結果広がる滝村さんの「自分ワールド」。毎日ブログを書くことが楽しくなるとともに、どんなに眠くても、ブログが書きたくて目が覚めるようになった。

 

「よく、朝起きることのできない方に『自分が一番やりたいことを朝にしましょう』とアドバイスをするんです。寝ることよりもやりたいことがあれば、朝に必ず起きられる。それでも眠ってしまうならば、構いません。なぜなら、その方にとって一番したいのが寝ることだから(笑)。僕は寝るよりもブログを書きたいと思ったので、長く続いたんです」

 

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そして滝村さんの考えるセルフブランディングの基本とは「アウトプットする先をなるべく多く持つこと」だ。

 

いっぱい本を読んだ。いっぱい人に会った。いっぱい勉強した。だからパチンといいことが閃いて、すごいイノベーションが生まれる。そんなことは決してありません。インプットではなく、アウトプットが先なんです。アウトプットする先が多ければ多いほど、日常で何気なく見落としている面白いネタに気づく。そんな"筋肉"が頭の中につくんです。

お笑い芸人がそうですよね。よく、芸人さんがフリートークをする番組がありますよね。あれはすごく面白い。彼らはよく、電車や飛行機の中であった人や出来事をネタにして話します。僕も昔は思っていましたよ。『なぜこのお笑い芸人さんは、電車や飛行機での移動の間、いつもこんなに面白い人と出会うんだろう?』って。

でも、違うんですね。芸人さんは売れているほど多くの番組に出ますが、ネタのかぶりを極力抑えたい。となると、ある番組の収録から次の番組の収録までの数時間であった面白いことを、巧みにネタ化してトークする。彼らにはその習慣がついているわけです。

 

つまり、僕らだって面白い人にたくさん出会っているけれど、気づいていない。でも彼らには面白い人や物事に気づく習慣と、自分なりの切り口でコンテンツ化する話芸がある。そして、それをアウトプットする場がある、ということなんです。これに気づくと、毎日ブログを更新することはそれほど難しくない、とわかります」

見たい人がいたら見てくれたらいい。そんなゆるいスタンスで始めた滝村さんのブログ。毎日更新していくうちに「ビストロパパ」という自らのブランドが少しずつ育っている感触が生まれてきた。そして2009年、滝村さんはデジタルハリウッドを退職。パパ料理研究家として、新たなキャリアをスタートさせることになる。

 

 次回は滝村さんが考える「オンリーワン」なポジションとは何か、そして、そこに必要なリテラシーについて話を聞いていく。

 

ビストロパパ ~パパ料理のススメ~ブログ
ビストロパパ ~パパ料理のススメ~(滝村さんブログ)

 


プロフィール
滝村 雅晴

滝村 雅晴 たきむら まさはる

(株)ビストロパパ 代表取締役

1970年京都府出身。採用PR会社勤務後、デジタルクリエイターを育成するデジタルハリウッドの設立とともに入社。広報、宣伝、新規拠点立ち上げ事業などを行う。在籍中からパパ料理研究家として、パパ料理を通じた啓蒙活動を行い、2009年退職。同年、株式会社ビストロパパを設立。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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