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自らのビジネスを、社会問題と絡めて考える

重松 大輔 しげまつ だいすけ さん (株)スペースマーケット 代表取締役

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Part.4

 

■常に、新しいものを追いかけ続ける。

 


この4月にサービスをスタートし、順調なスタートを切ったスペースマーケット。「発想型の人間なので、アイデアはいくらでも出てきます」と語る重松さんはいかにして情報を取捨選択し、そこで生まれたアイデアを事業化していくのか。

 

情報収集はネットを中心に行っています。よく見るのは、TechCrunchなど海外のさまざまなサービスを紹介するウェブメディアですね。他には雑誌もいろいろと読んでいます。いわゆる週刊ナントカ、の他、ニュース系のものやエンタメ色の強いものも読みます。あとは、テレビのニュースはよく見ますね。また、起業家仲間といろいろな話をすることも大切。彼らと議論する時間は、すごく重要です。

僕は常に新しいものを追いかけ、何かしら考えています。考えることがとても好きなんです。その中で心がけているのは、自らのビジネスを社会問題と絡めること。自分が手がけることが社会の問題をどう解決していくか。そこを常に意識して、メッセージとして発することが大切だと思います」

 

そんな重松さんが今、注目しているのがAirbnb(個人間の空き部屋賃貸を仲介するアメリカ発のネットサービス)、Uber(世界の多くの都市で展開されている配車サービス。携帯アプリから今いる場所にハイヤーやタクシーを呼ぶことができる)といったサービスである。

 

「特にこの二つはすごいですね。Airbnbは、日本の法律の問題で難しい面もありますが、どんどんサイトが使いやすくなっています。あとはUber。いわゆる白タクのサービスですが、レビューがつくのでドライバーは一所懸命やる。そこは、われわれも参考にしたいと思っています」

 

スペースマーケット×uberキャンペーン
「スペースマーケットで予約したスペースへの移動はラグジュアリーにUBERで!」UBERとコラボキャンペーンを実施中

 

 

 現在のビジネスのベースはBtoB向けサービスだが、ゆくゆくはBtoC、そしてさらにはCtoC向けも考えている。

 

toCは、今後の大きな広がりを期待している分野です。ただし、個人同士のやり取りにはリスクもあります。そこをミニマイズする一つの方法が、オーナーと利用者の相互レビュー。お互いを評価し合ってもらうことで、リスクをカバーしていければと考えています。そこが整備されれば、より安全なプラットフォームになるはず。

そして保険も、なるべく簡単に入れるものを用意したい。ユーザーもオーナーも、そしてわれわれも守る。そんな保険を用意できればと思います。但し、われわれの業態が新しすぎて、既存の保険がないので、作らなくてはならない。そこは今後に向けた課題になりますね」

 

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■「物語のあるスペース」を掘り起こしていく。

 

今後、日本は人口が減少し、空き家が増える。そして、シェアリングエコノミーという大きな流れはますます加速する。そんな状況ゆえ、スペースマーケットが扱うスペースは無限に増えていくに違いない。

 

「営業する先はたくさんあります。その中で、ホテルがまだまだ少ないので、まずは取引先をもっと増やしたいですね。あとは飲食店。大きなハコを持っている飲食店に、どんどん営業をかけていきたい。また今後は、スペース管理やセキュリティ、イベントへのケータリングサービスやイベントのチケッティングサービスなども、必要となってくるでしょう。そこは自社で行うのではなく、専門の会社とパートナーシップを築いていくつもりです。

また、スペース活用という意味で増やしたいのは、歴史的建造物です。例えばお城や、横浜の赤レンガ倉庫のような古い建物、そして東京タワーのような象徴的な場所などです。それと、いわゆる歴史的なスペース。例えば有名な政治家が何かの条約に調印した場所とか、著名な作家が作品を書いた部屋、とか。

そういった、物語のあるスペースを掘り起こしていきたい。

 

三岸アトリエ
2014年3月、国の登録有形文化財になった東京・中野の「三岸アトリエ」

 

他には、自治体が所有しているホールなども有効なスペースになります。こういう言い方はどうかとも思いますが、自治体が税金を無駄使いして作った、ぜんぜん収益が上がっていないホールって、たくさんありますよね。そういう場所を、もう少し有効活用できればと思います。都心の会社の会議室に閉じ込められるぐらいなら、皆で郊外のホールに行って会議をすれば、気分も変わるはず。そして、ホールも収益を上げられる。そういう場所は、全国にとてもたくさんあるんですよ」

 

例えば2015年度より、大阪城公園の管理・運営が電通関西支社など5社に委託される。重松さんは「こういった動きが今後、いろいろな自治体で出てくるはず」と予測する。

 

「私達が携わっているわけではありませんので何とも言えない面はありますが、大阪市の財政改善のためにも、非常に有効なプロジェクトですよね。こういったことはもう、民間に任せていくべきだと思います。自治体が所有するホールなどは、少々おかしく感じられるほど安い値段で借りれる場合があって、それをお金をたくさん持っている大きな企業が押さえていたりするんです。そういう所に民間が入っていけば、お互いにとってハッピーではないでしょうか」

 

中でも多くの歴史ある場所とスペースを持ち、2020年にはオリンピック開催を控える東京では、今後間違いなくカンファレンスやイベントが増えていくはずだ。
目の前に広がる無限のチャンスを見すえながら、重松さんは今日も頭の中にさまざまなアイデアを巡らせていることだろう。

 

(終わり)

 

《来年1月16日 「KIGAN スタートアップ祈願会 2015 Vol.1」を開催

 

来年1月16日(金)、スペースマーケット社も主催者の一員として芝公園・増上寺にて、スタートアップ企業が一同に会し、商売繁盛祈願、ネットワーキング、ピッチイベントなどを実施するイベント「第1回KIGAN@増上寺」を開催予定。

詳細はコチラから→http://eventregist.com/e/kigan2015

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プロフィール
重松 大輔

重松 大輔 しげまつ だいすけ

(株)スペースマーケット 代表取締役

1976年1月27日千葉県出身。
早稲田大 法学部を卒業後、2000年にNTT東日本入社。法人企画営業やPR誌の編集などに携わり、’06年フォトクリエイトへ。同社では一貫してウエディングな どの新規事業を手がける。
2013年に退社し、2014年1月に株式会社スペースマーケットを立ち上げ、4月よりサービス開始。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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