米国発。流行語大賞に選出されそうなキャッチ―なフレーズで話題のビールCM

ヒューレット秦泉寺 明佳 [記事一覧]

愛媛県出身。大学卒業後、広島〜東京〜アメリカと移り住んだフリーランスライター。 通訳、英会話講師など英語スキルを生かした活動も行っています。趣味は料理、ホームパーティー、水泳、ハイキング。各国のユニークな広告やTVコマーシャルのウォッチで一日を費やしてしまうことも。

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【SUMMARY】

 

・人気TVドラマの視聴者を意識したメディアバル(中世)仕立てのCMをリリース
・CM内で使われるキャッチ―なフレーズがNFLの試合中に選手によって使われる
・Google検索10万回/週、Youtube検索4万5千回/週を記録

 

 

【STORY】

 

20台から30台の男性を中心に大人気の米ドラマといえば、2011年春から放送が始まったMedieval(中世)ヨーロッパに似た架空世界が舞台のジョージ・R・R・マーティン著 作のファンタジー小説シリーズ『氷と炎の歌』を原作としたHBOのテレビドラマシリーズ' Game of Thrones / ゲームオブスローンズ 'が挙げられます。

 

先般Season 7の放送が終了しましたが、撮影がスタートしたばかりと言われる次シーズンSeason8の放送が、多くのファンたちから早くも待ち望まれています。

 

そしてこちらのドラマのターゲットである20台から30台の男性を同じくターゲットとしている商品といえば、ビールがあります。

 

とりわけ、NFLシーズン真っただ中の昨夏から2018年1,2月にかけては、友人たちと集ってのテールゲートパーティーやスポーツバーでの観戦、また自宅でのテレビ観戦時などにビールは欠かせないアイテムであり、その消費量も半端なものではありません。

 

 


Source BUD LIGHT Official Facebook

 

 

そこで米大手ビール会社Anheuser-BuschのBUD LIGHT(バドライト)は、ビール会社にとってメインターゲットである層が視聴をしていたゲームオブスローンズのフィナーレに合わせて、同じく中世をテーマにしたコミカルなテレビコマーシャルをぶつけてきました。

 

それがこちら。

 

 

" Bud Light: Banquet "

 

 

 

王様と王妃のバンケットパーティーが舞台のCMでは、招かれた客人たちが二人への贈り物を次々と持参します。いずれもバドライトビールですが、バドライトをこよなく愛する王様と王妃は、彼らを真の友人だと賞賛します。

 

そこに現れたバドライトビール以外の贈り物を持参した客人。バドライトとは真逆に位置するクラフトビールを愛するこの客人は "spiced honey mead wine"のボトルを献上します。

 

ところがもちろん王様はそれをお気に召すはずがありません。即座に控えの者に、「Pit Of Misery」ツアー、すなわち「惨めな地獄」ツアーへ彼を連れていくよう命じます。

 

 

去る8月に公開されたこちらのコマーシャルは、その耳に残る乾杯の合図のように発せられる「Dilly Dilly/ディリディリ」というフレーズもあって、じわじわとその人気が広がっていきました。

 

バドライトによれば、この「Dilly Dilly」というフレーズには特別な意味は持たせていないそうです。またその由来なども一切明らかにしていません。

 

そこには、今の時代ブランド側が特定の意味を持たせて消費者に発信するよりも、その定義や判断を受け取り手に委ねた方が、より興味関心を喚起し、さらなる会話やコミュニケーションを誘発する=BUZZを生むと考えたからなのだそうです。

 

 

さて、こうしてキャッチーなフレーズ「Dilly Dilly」とそれに付随するバドライトの青いパッケージイメージが、2017年晩夏から消費者の間に定着していったわけですが、実は「Dilly Dilly」フィーバーがさらに高まりを見せた背景にはあるきっかけがありました。

 

それは、11月に開催されたNFLのピッツバーグスティーラーズ対テネシータイタンズの公式試合中に起こりました。

 

スティーラーズのクオーターバックであるBen Roethlisberger選手が、チームの攻撃スタート時に「Dilly Dilly!」とはっきり聞こえるように叫んだのです。

 

 

" Big Ben Dilly Dilly Snap Count "

 

 

 

Roethlisberger選手によれば、彼の頭の中にこのフレーズが強く残っていたし、ロッカールームなどでもチームメイトと「Dilly Dilly」というフレーズを言い合ったり、コマーシャルについて話題にしていたのだそうです。

 

多くの人が視聴するNFLの試合中のハプニングは影響力が絶大でした。

 

その後1週間のGoogleでの検索は10万件ペース、Youtubeでの検索も4万5千件ペーストさらにハイピッチになったのだそうです。

 

 

現在は、昨夏から放送されているバンケットバージョンの他、王様が命じていた「Pit Of Misery」ツアーの模様がみられる続編コマーシャルも放送されています(2017年11月公開)。

 

 

" Bud Light - Pit of Misery "

 

 

 

そしてさらに、12月22日に公開されたばかりの最新コマーシャルがこちらです。

 

 

" Bud Light - Wizard "

 

 

 

2月にはスーパーボウルがやってきます。

 

毎年各ブランドがどのようなコマーシャルを仕掛けてくるかでも話題のスーパーボウル。

 

もしかすると、バドライトのコマーシャルにはこの「Dilly Dilly」フレーズが登場するかもしれませんね。

 

 

※BUD LIGHT OfficialWebsite
http://www.budlight.com/

 

 

※ニュースソース

※ADWEEK
http://www.adweek.com/creativity/bud-light-unveils-a-second-dilly-dilly-ad-and-likens-the-campaign-to-whassup/

※Kansas City
http://www.kansascity.com/news/nation-world/article181006346.html
 

 

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