インド発。FacebookでPokeしてきたのは蚊!?家庭用殺虫剤ブランドがユーザーに警鐘

ヒューレット秦泉寺 明佳 [記事一覧]

愛媛県出身。大学卒業後、広島〜東京〜アメリカと移り住んだフリーランスライター。 通訳、英会話講師など英語スキルを生かした活動も行っています。趣味は料理、ホームパーティー、水泳、ハイキング。各国のユニークな広告やTVコマーシャルのウォッチで一日を費やしてしまうことも。

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【SUMMARY】

 

・毎年8月20日は世界蚊の日。蚊の媒介する病気への関心を高め、病気流行の予防を呼びかける日
・インドの殺虫剤大手は、FacebookのPoke機能を活用して人々への啓もう活動を展開

 

 

【STORY】

 

8月も終わりに近づき、2017年の夏もそろそろ終わりを迎えようとしています。

 

夏といえば・・・?と問われて思い浮かべるものは様々あるかと思いますが、その一つに蚊取り線香がありはしないでしょうか?

 

これは多分に、大日本除虫菊株式会社の蚊取り線香のコマーシャルに登場した「金鳥の夏、日本の夏」という名キャッチコピーによるところが多いいのかもしれません。

 

 

夏場の蚊対策は日本では欠かせないものですが、同じように蚊に対する関心度が高い国の一つにインドがあります。

今回はインドで先日ソーシャルメディアを介して展開されていた、蚊にまつわる取り組みをご紹介します。

 

 

' World Mosquito Day '

 

 


Picture: SOUTH COAST SUN

 

 

皆様は、' 蚊の日 'という記念日があることをご存知でしょうか?

 

世界で毎年8月20日に制定されている蚊の日は、イギリス人医学者Sir Ronald Ross(ロナルド・ロス氏)が1897年にハマダラカの胃の中からマラリアの原虫を発見し、このことでメスの蚊が人間にマラリアを媒介することを翌年証明したことから、この日と定められました。

 

同氏はこの功績が認められ、1902年に生理学・医学分野における第2回ノーベル賞を受賞しています。

 

 

マラリアは世界の熱帯や亜熱帯地域で今も広く流行している原虫感染症・熱病ですが、2013年12月に公表された統計によれば、1年間に約2億700万人が感染し、推計62万7,000人が死亡しています。日本でも100人近くの方が、海外渡航などをきかっけとしたが輸入感染で発症しています(厚生労働省検疫所FORTHより )。

 

インドには熱帯熱マラリアと三日熱マラリアが分布していて、非都市部(農村部)での流行が主にみられるを言われています。もちろんデリーなどの都市部でも感染が起こらないわけではありませんが、デリーやムンバイなどの都市部でよりその流行が危険視されているのは、同じく蚊によって媒介されるデング熱・デング出血熱です。

 

デング熱はネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介される病気ですが、同種の蚊によって媒介される病気にはデング熱によく似たチングニヤ熱もあり、昨年2016年にはデリー・グルガオンではデング熱以上の患者数が報告されているそうです。

 

蚊によって媒介されるこれらの病気は、インドでは例年雨季が明けて8月末から11月頃にかけて蚊の増加とともに患者数が増えます。そのためとりわけこの時期に、適切な対策や備えをしておくことはインドの人にとって大切なことなのです。

 

 

さて、インドではマラリアやデング熱対策としてGodrej Consumer Products社が展開している家庭用殺虫剤が広く流通しています。

 

 


Picture: Godrej Consumer Products Official Website

 

 

同社は、インド経済において大きな役割を果たしている財閥の一つであるGodrej Group(ゴードレージ財団)傘下の企業です。同財閥は、インドであれば知らない人はいないほどの有力財閥で、工業製品や消費者製品を製造する数々の企業を所有しており、家庭用殺虫・防虫剤ブランドには' HIT 'や' Good Knight 'などがあります。

 

中でも家庭用殺虫・防虫商品はインドにおけるマーケットシェア約4割を占め、デング熱やマラリア対策への人々の関心の高まりも影響し、売り上げが継続的に伸びている同社の主力商品となっています。

 

 

さて同社では8月20日の蚊の日に、今年もまたマラリアやデング熱の流行する時期を迎えるインドの人々に、病気に対する注意を喚起するとともにある具体的なアクションを起こしてもらうことを目的に、ユニークな試みをソーシャルメディア上で展開しました。

 

それが、FacebookのPoke機能(ポーク、あいさつ機能とも)を活用したキャンペーンです。

 

 


Picture: ODYSSEY

 

 

Facebook上で知人・友人などに、「よっ!」「どう?元気?」などととても軽いニュアンスで呼び掛けることができ、Pokeを受け取った人はそれを送り返すことでリアクションできます。

 

ゴードレージコンシューマープロダクツ社は蚊の日に向けて、顧客エンゲージメントエージェンシーOgilvyOneと協力し、Facebook上に同社ブランドHITの` Kill Pests Kill Diseases ` というページを開設。

 

8月20日の蚊の日には、こちらのページのDengue Mosquito(デング蚊)が多くのFacebookユーザーにPokeを送りました。

 

Pokeを受け取った人=蚊に刺された人は、見慣れないアカウントだなと思いつつも送り主であるデング蚊のプロフィールを確認すると、ゴードレージコンシューマープロダクツ社が仕掛けた今回のキャンペーンページの主旨を理解するという流れになっていたのです。

 

Picture: Kill Pests Kill Diseases Official Facebook Page

 

 

そしてそこには、血小板のドナーとして登録することを呼び掛けるメッセージが表示されるのです。

 

なぜ血小板ドナー登録が重要なのかというと、デング熱の重症度を測る目安として血小板の減少がありますが、デング熱に罹患し危機的な状況にある患者の命を救うためには、血小板輸血が必要となる場合があるためだそうです。

 

 

今回のキャンペーンについてゴードレージコンシューマープロダクツ社インドのマーケティングトップであるKapil Dev Pillai氏は、以下のように取り組みを振り返っています。

 

「家庭用殺虫剤というトピックスは、人々が普段あまり関わりたがらないカテゴリーです。みんな蚊や蚊が引き起こす病気について話したがらない。それゆえに、人々にこのトピックスについて会話を促すこと、話題として目立たせ認知してもらうことは、とてもチャレンジングな試みでした。」

 

 

Facebookのキャンペーンページはそれぞれ62万前後の「いいね」と「フォロー」を獲得するとともに、ネット上ではある一定量のポジティブな会話が成立し、キャンペーン情報の拡散がみられたそうです。

 

 

※Godrej Consumer Products Official Website
http://www.godrejcp.com/

 

 

※ニュースソース

※mxm india
http://www.mxmindia.com/2017/08/godrej-hit-warns-users-with-hitdengueback-initiative/

※media infoline
http://mediainfoline.com/advertising/world-mosquito-day-dengue-mosquito-pokes-people-facebook

※afaqs!
http://www.afaqs.com/news/story/51154_Why-is-this-mosquito-poking-people-on-Facebook

※厚生労働省検疫所 FORTH
http://www.forth.go.jp/useful/malaria.html

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