英発。人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」、キャストの衣装にイケアのラグ!報道に対する賢い即レスが話題

ヒューレット秦泉寺 明佳 [記事一覧]

愛媛県出身。大学卒業後、広島〜東京〜アメリカと移り住んだフリーランスライター。 通訳、英会話講師など英語スキルを生かした活動も行っています。趣味は料理、ホームパーティー、水泳、ハイキング。各国のユニークな広告やTVコマーシャルのウォッチで一日を費やしてしまうことも。

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 【SUMMARY】
・超人気ドラマの衣装にイケアの商品が加工して使われていた事実が発覚
・世界中で話題になったニュースにイケアはユニークな手法でスピーディーに便乗
・低コストで手間をかけずともアイディアとスピードで絶大なマーケティング効果に

【STORY】
「LOST」、「THE X FILES」、「ER」、「HEROS」、「CSI」、「SHEROCK」、「PRISON BREAK」、「24-Twety Four-」、「Breaking Bad」、「SUPERNATURAL」、「WWALKING DEAD」、「the BiG BAN THEORY」、「BEVERY HILLS 90210」、「glee」、「FRIENDS」、「THE WHITE HOUSE」。

例を挙げればきりがありませんが、これらはいずれもこれまでに世界中で大ヒットした人気ドラマシリーズのタイトルです。

世界中にファンコミュニティやサイト・フォーラムが存在し、毎回の放送後や翌日には職場や学校でエピソードがどれだけ面白かったかが仲間内の共通の話題になり、DVDやブルーレイでまとめ見して寝不足に陥る人が続出し、登場人物の発する言葉やファッションが同世代に大きな影響を与えた伝説のドラマです。

読者の皆様は、いずれかのドラマの世界にどっぷりとはまった経験をお持ちですか?

ちなみに現在放送中のドラマにも、世界中でこれこそ歴代最高のドラマだ!と絶大な人気を誇っているものがあります。それが、

' Game of Thrones / ゲーム・オブ・スローンズ '


Picture: Awesome Hoodiez

 

ゲーム・オブ・スローンズは、ジョージ・R・R・マーティンによるファンタジー小説シリーズ『氷と炎の歌』を原作としたイギリスのHBOのテレビドラマシリーズで、ストーリーの背景は中世ヨーロッパに類似していますが、まったくの架空のストーリーです。

物語の舞台となっているのはウェスタロスという架空の大陸で、そこには7つの王国があります。そしてその7つの王国をすべて治める王の座を狙って、数多くの登場人物が血を血で洗う壮絶な物語です。

2011年春から放送がスタートした同ドラマは現在第7シーズンが放送されていますが(2017年7月16日(日曜日))、去る2016年7月30日にイギリスHBOは同ドラマをシーズン8で完結させると公式に発表して、多くのファンに衝撃を与えました。

ゲーム・オブ・スローンズはその壮大なストーリーと映画にも負けない作品の作りこみでも定評があり、ロケは北アイルランド、マルタ、クロアチア、アイスランド、モロッコ、スコットランド、アメリカ合衆国、スペインで撮影されています。それゆえに、1エピソードの製作費は5~10億円相当と言われており、通常の他ドラマの製作費に比して2~3倍以上と高コストになっています。

キャス ティング、世界各地でのロケ、キャラクターのヘア・メークアップや緻密な舞台セットなど、細部にこだわって作られているため高額な製作費も納得ですが、意外にも節約できるところではコストカットの工夫をしていたのか!と驚きのニュースが先日メディアを騒がせました。

その工夫というのがこちらの衣装です。


Picture: Us Magazine

ドラマに登場する北方のNight's Watchたちの身を寒さから守るために彼らが身に着けているケープ。これが実は、スウェーデンの家具・インテリアブランドIKEA/イケアの商品を加工したものだったのです。

撮影に使われたのは、シープスキンのインテリアラグで 'SKOLD Dark brown’ラグ (40ポンド) と‘LUDDE White’ラグ (30£)なのだとか。どちらもリーズナブルで、北欧やヨーロッパの寒い冬を暖かく過ごすために人気の商品です。


Picture: Evening Standard

当のイケアは、同社の商品が超人気ドラマの衣装として使用されていることに気付いていなかったのだそうですが、去る8月7日の朝にメディアによって指摘されたことでニュースは即座に世界中に拡散しました。

そしてゲーム・オブ・スローンズのチーフ衣装デザイナーとしてエミー賞を受賞しているMichele Claptonさんは、実は2016年に米ロサンゼルスのThe Getty Museumで行った講演の際に、「Night's Watchのケープは、イケアのラグから作られている。」ということや、「衣装が古くくたびれて、匂いを放ちそうな雰囲気を出すために、イケアのラグを切ったり、削いだり、染めたり、皮ひもを付けたりするなどして作っている」という制作の秘話も明かしていたことが、今になって改めて注目されたのです。

彼女が実際に行った講演の模様はこちらからご覧になれます(イケアラグを使用したことが語られるのは動画の27分ごろからです)。

"  Designing the Middle Ages: The Costumes of GoT   "

 

さて、8月7日の月曜日の朝に同社のPRチームを驚かせたこちらのニュースを受けてからのイケアの対応は、とてもスピーディーでなおかつ機転の利いたものでした。

イケアは、せっかくの機会に便乗しない手はないと考え、同社のPR会社であるHope & Gloryと即座にアイディアを出し合い、リーズナブルなコストでなおかつ数時間で準備ができ実行に移すことのできる施策を打ったのです。

同日の午後に各メディアに送られ、SNS上に公開されたその成果がこちらです。


Picture: IKEA UK Official Facebook Page

イギリスのイケアWembley店に向かったチームは、ストアマネージャーとともにフロアを歩き回り、イケア版ゲーム・オブ・スローンズにマッチしそうな従業員を見つけ出しました。その後、同店のラグ売り場でいくつかのラグを試着し撮影に至ったのがこちらの写真でした。

イギリスイケアでコンシューマPRマネージャーに就いているAisha Furtadoさんは、「あるホットな話題が世間で持ち上がった時には、タイミングすなわちできる限り早くレスポンスすることが不可欠だ」と今回の取り組みを振り返っています。

そして取り組みの効果・影響は、既に各所に出ています。

例えば、イケアのユーモラスで迅速な対応に反応するように、各国のゲーム・オブ・スローンズ並びにイケアファンの中では、実際に店舗の出向いてラグをまとってセルフィーを撮影し投稿・シェアするムーブメントが起こりました。

さらには ' SKOLD rug 'とオンラインで検索する回数は通常時の775%と飛躍的にアップしたのだそうです。


Picture: IKEA Norway Official Facebook Page

このほかにもノルウェーのイケアは、8月11日に「マイケープの作り方」をFacebookに公開。こちらも話題になっています。

コストや手間を最大限に抑えながらも、大きな効果を得た今回のイケアのマーケティング施策ですが、今のところさらにこの話題について何か追加策を打つことは考えていないそうです。

 

 

※IKEA Official Website
http://www.ikea.com/gb/en/

※Game Of Thrones Official Website
http://www.hbo.com/game-of-thrones

 

 

※ニュースソース

※Creativity
http://creativity-online.com/work/ikea-norway-game-of-thrones-rug-fb-post/52448

※Evening Standard
https://www.standard.co.uk/shopping/the-ikea-sheepskin-rugs-used-as-night-s-watch-capes-in-game-of-thrones-a3610961.html

※THE DRUM
http://www.thedrum.com/news/2017/08/10/how-ikea-responded-the-news-hbos-game-thrones-uses-its-rugs-costumes

※R29
http://www.refinery29.com/2017/08/166757/game-of-thrones-jon-snow-fur-secret-ikea-rugs

※Us Magazine
http://www.usmagazine.com/stylish/news/jon-snows-game-of-thrones-capes-are-from-ikea-w496581

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