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挑戦するチャンスは、もっとたくさんあっていい

原田 未来 はらだ みらい さん (株)ローンディール 代表取締役

Part.2

 

■「戻って活躍する」ことを最も大事に

 

 

主に大企業の人材をベンチャーに「レンタル移籍」させ、多様な経験を積ませているローンディール。実際にレンタル移籍させているのは、どんな人材なのか。

 

年次は入社5~年ぐらいでしょうか。年齢は30歳前後が多いですね。理想は、会社の業務をしっかり覚えて自分なりに考えて仕事を進めていけるレベルの方に、その会社で得られない新たな経験をしてもらうこと。大企業の入社2~3年目ぐらいだと、少し早いかもしれません。まだ適性が見えていないでしょうし、会社のカルチャーも理解し切れていない可能性がありますから。

 

もちろん未来永劫、その会社に縛りつけるという意味ではありませんが、僕らが最も大事にしているのは、レンタル移籍から戻った後に、会社にしっかりとアウトプットをもたらし、活躍してもらうことです」

 

では人材の受け入れ側には、どのようなメリットがあるのか。

 

「まず、バックグラウンドの異なる新しい視点が加わることで、プロジェクトの完成度が高まることが期待できます。他業界のノウハウの中に、プロジェクトに有効な考え方があるかもしれない。異業種からの斬新な発想が、新しい視点を生み出す可能性があります。

 

 

いわゆるベンチャー企業には、挑戦したいけどできないことがたくさんあります。ベンチャーですから、どうしても、今をしっかり回すことで手いっぱいになりがち。今すでに事業内容は固まっているのだけど、本当はここにもう一つ、何かしらの要素を乗っけたい。でもその作業をする余力がないし、乗っけても上手くいくとは限らない。そこで人を採用すると、人件費が固定費となってのしかかる。さあ困った…。そんな状況は、ベンチャーによくあるんですね。レンタル移籍は、そんな時こそ役立つと思っています」

 

大事なのはあくまで、レンタル移籍によって経験を積ませて人材を育てること。そのため、受け入れ側の企業がレンタル移籍してきた人材をリクルートすることはご法度である。
「受け入れ企業には、事前にそれはやめて下さいと言っています。僕らも企業と信頼関係を作り、レンタルする人材とも密にコミュニケーションを取るので、もしそういうことがあっても、すぐにわかります。
レンタル移籍させた人材とは、月に一度はお会いしてメンタリングします。今月は何をしたか、どんな学びがあり、それは戻った後にどう生かせるのか。そういったことを常に問いかけていく。新しい環境で新しいことをするとインプットが多いので、それをきっちりと、定期的に言語化させます。これは非常に大事ですね。

 

他にも電話やメールで1週間~2週間に一度は何かしらの会話をして、常に状況を確認しています。大事なのはやはり、レンタル移籍をした人材がもともとの会社に戻って活躍すること。その実績を今後どれぐらい作れるかが、大きな勝負になってくるでしょう」

 

 

 

だが、レンタルされた人材が受け入れ企業への入社を希望するケースはないのだろうか。

 

「可能性としてはもちろんありますし、職業選択の自由もあるので、最後は止められません。ただし、あくまで目的は人材の育成ですから、レンタル移籍の前に『会社はあなたにこういうことを期待しています。そして、戻ってきたらあなたにはこういう仕事をしてほしいと考えている』というメッセージを、しっかりと出してもらうようにしています。

 

もちろん、会社に戻って数年後に辞めるようなケースはあるでしょう。それに関しては仕方がない。ですからレンタル移籍を経験した人には、戻って数年の間にしっかりとしたアウトプットを会社に残してもらう。それをしっかりと伝える必要がありますし、企業側もその意識をしっかり持つことが大事だと思います」

 

■今後はさまざまな形が生まれる

 

「新しい経験をしたい」と考えた時、これまでは所属する会社を退職し、転職するしかなかった。ローンディールはそこに、レンタル移籍という新たな形を示した。

 

「ベンチャーでしか学べないことも、大企業でしか学べないこともそれぞれある。挑戦するチャンスは転職以外に、もっとたくさんあっていい

 

 現在の主なパターンは「大企業→ベンチャー企業」。今後は別の形も生まれてくる可能性があるという。

 

他業種の同じぐらいの規模の企業同士で、レンタル移籍を"人材の交換トレード"のような形で行うことは、よく話題に上りますね。あとは都市部で働いている人に、地方でのビジネスを経験してもらうのもいいですね。実際にそういった相談もいただいています。

 

今までとは逆に、ベンチャーの人材に大企業で経験を積ませるようなケースも、今後は出てくるかもしれませんね。ベンチャー企業に長く勤めると"大企業の作法"がわからないことがあります。例えば大企業に何かの提案をする時、どこをどうたたけばいいのか、見えなかったりする。そういった時に、大企業の作法を知っている人材は強いと思います。大企業には大企業の戦い方があるのも確かなので」

 

 

 

そんな中で原田さんは、最近話題になっている「副業解禁」の流れについて、警鐘を鳴らす。。

 

「働き方の多様性についてはよく話題に上りますが、副業については、誰でもやればいいってものじゃない。やっぱり、軸が必要なんだと思うんですよ。その人のベースとなる、しっかりした軸。それがない人が副業をしても、正直難しい。一つの会社の中でしっかりと得たものが1本目の軸としてあるから、2本目が成り立つ。

 

確かに副業はリスクヘッジにもなりますし、決して悪いことではない。でも、副業のせいでメインの会社の仕事が上手くいかなかったら仕方ない。確かに副業をする場合、稼ぎたいとかキャリアアップしたいとか、夢を追いたいとか、いろいろなケースがある。その中で、もしもスキルを高めたい、キャリアアップしたいと考えているならば、まずは今ここで全力を尽くせているか、ということをよく考えた方がいいと思います」

 

 

次回Part.3では、原田さんの発想の原点とキャリア、そして実際のレンタル移籍経験者について、話を聞いていく。

 

文=前田成彦(Office221)/写真=三輪憲亮/撮影協力=PR TIMES


プロフィール
原田 未来

原田 未来 はらだ みらい

(株)ローンディール 代表取締役

1977年千葉県市川市生まれ。2001年に立教大を卒業後、ラクーン入社。同社営業部長として2006年東証マザーズ上場に貢献。その後カカクコムを経て、2015年に株式会社ローンディールを設立。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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