中国発。絶滅危惧種サイを救え!セレブリティが爪を噛むポーズで広告塔に
中国発。絶滅危惧種サイを救え!セレブリティが爪を噛むポーズで広告塔に
読者の皆様、こんにちは。
"Rhino/ライノー"
と呼ばれる動物をご存知ですか?
Picture:Screen shot from Defenders Of Wildlife
「鼻に角を持つもの」という意味が名前の、「サイ(犀/Rhinoceros)」です。
現在地球上には、アフリカ大陸に生息するシロサイ、クロサイ、インド・ネパールに
生息するインドサイ、ジャワ島に生息するジャワサイ、東南アジアのタイ、スマトラ、
カリマンタンに生息するスマトラサイの5種類が存在します。
しかし、そのいずれも絶滅の危機に瀕していて、その個体数急減の原因はというと、
人間によるサイの角=犀角(さいかく)を目的とした乱獲であり、現在も密猟、
ブラックマーケットでの取引が絶えず問題となっています。
アジアでは伝統的に漢方薬の原料として珍重されている犀角ですが、その効能
に関する医学的な根拠は示されていないと言われていました。
しかし、ベトナムや中国などでは長年にわたって、「癌に効く」、「滋養強壮
効果がある」などと喧伝され現在でも人気が高く、とりわけ、新興富裕層の間では、
高価で貴重な犀角は自身の成功の証でもあり、さらに健康にも良いということで
一際需要が高いのだそうです。
Picture:Screen shot from Planetsave
ちなみに、犀角のベトナムを中心としたブラックマーケットでの末端取引価格は、
1キロあたり、6万5千ドル(日本円で約772万円)とまで言われていて、金やプラチナ
よりも高価なものになっています。
英ポンドで表記された下図のような比較もありました(6万英ポンド=約1千16万円)。
Picture:Screen shot from Is It What It Is
さて、この絶滅危機に瀕しているサイを救おうとアクションを起こしたのが、
"WildAid"、"African Wildlife Foundation"の2団体と両者とタッグを組んだ、
"OgilvyOne Beijing"です。
"OgilvyOne"は、世界規模でブランディングやマーケティング、カスタマー
エンゲージメントを手掛けているエージェンシーで、中国北京にもその
支部があります。
※OgilvyOne Official Website
https://www.ogilvyone.com/
そして3者がスタートさせたのが、
"Nail Biters/爪を噛む人"
というキャンペーンです。
Picture:Screen shot from Marketing Interactive
英巨大企業Virginグループの創始者であるRichard Branson/リチャード・
ブランソン(Sir Richard Charles Nicholas Branson)氏が自身の爪を
噛んだ姿でポーズをとるこちらのビジュアルは、キャンペーン展開の
ターゲットとなっている中国、ベトナムのみならずイギリスやアメリカ
でも話題になっています。
この他にも、中国のセレブリティである Li Bingbing(リー・ビンビン)、
Chen Kun(チェン・クン)、Jing Boran( ジン・ボーラン)なども
ビルボード広告やビデオなどに登場しています。
Picture:Screen shot from 新媒力 NEWMEDIA
マイクロブログのWeibo上には、OgilvyOneによって、トピックページが
準備されていて、同ページを中心にユーザーがハッシュタグ "#Eat your nails"、
" not rhino horn#" (#啃指甲救犀牛#) を付けて、自身の爪噛み写真やコメントを
投稿することで、この動きを拡散していく仕掛けになっています。
Picture:Screen shot from Weibo
また、Wechat上には特設ページ(H5)が設けられていて、そこでユーザーはセレブの
ポスターと同様の自分自身の爪噛みポスターが作成できるようになっていて、
これを投稿、シェアすることで今回の取り組みを広める動きに参加できる
仕組みになっています。
Picture:Screen shot from 新媒力 NEWMEDIA
ではなぜ「爪を噛む」仕草がフィーチャーされたのでしょうか?
長きにわたって漢方薬の原料として珍重され、効能があると信じられている犀角ですが、
実はその成分のほとんどが"ケラチン"。
そしてそれは、私たち人間の「爪」や髪を構成するプロテインと同じなのだそうです。
そう、犀角の漢方薬を飲むのは、自分の爪を噛んでいるのと同じで病気を治癒
してくれるものではないというメッセージを表現しているのです。
今回のキャンペーンには、犀角を用いた漢方薬などを購入している人々に、
そこに効能は無いということを理解してもらい、結果として不買をすすめて
いくことで密猟を減少させ、サイの保護につなげていきたいという狙いが
込められています。
最後に、キャンペーンの英語でのキャッチコピーは以下の通り。
“Rhino horn has nothing your own nails don’t have”.
「サイの角には、あなたの指の爪がもつ以上に含まれる成分はない」
※ニュースソース
※Shanghai List
http://shanghaiist.com/2016/01/14/save_the_rhinos.php
※DIGITAL MARKET ASIA
http://www.digitalmarket.asia/2016/01/wildaid-enlists-celebs-for-the-rhino-nail-biter-campaign/
※MARKETING INTERACTIVE
http://www.marketing-interactive.com/wildaid-runs-nail-biter-campaign-to-save-rhinos/
※the gurdian
http://www.theguardian.com/environment/2016/jan/13/richard-branson-fronts-nail-biting-campaign-against-rhino-poaching