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徹底的なフィールドワークから、確固たるデータを導く

毛見 純子 けみ じゅんこ さん maojian works(株) 代表取締役

Part.2

 

■パタンナーそして商社との出会いで、光が差す。

 

「自分が着たくなるような、日本人に合った、スタイリッシュで快適に着られるジャージードレスを作りたい」。震災をきっかけにそんな思いが芽生えた毛見さんは、すぐさまリサーチを開始する。まずは、最初に勤めた会社の同期会で、意見を聞いてみた。まず引っかかったのが、価格。

 

「愛用していた外資系ブランドのジャージードレスが6~8万円ぐらいだったので、それを目安に当初は4~5万円で考えていました。ところが元同期の女性達に話を聞いてみたら『高い。やはり2~3万円じゃないか』という話になりました」

 

 加えて、自ら足を使ったリサーチも行った。

 

「自分はないと思っているけれど、見つけられていないだけかも。そう考えて、スタッフと手分けして有楽町近辺を歩き、百貨店などを徹底的に調べました。ワンピースでトータル400着ほど見たのですが、やはり、胸の開きなどがそれほどなく、セクシーすぎず会社にも着ていけるデザインで、2~3万円代のジャージードレスは一つもありませんでした。

そこからは、日々華やかで楽、そして仕事力も女子力も上がり、私自身がほしくなるものをその値段帯で作るにはどうするかを、ひたすら考えていきましたね」

 

コンセプトと価格帯は見えた。そこから、服作りにおけるパートナー探しも開始した。

 

「そもそも、お洋服ってどうやって作るんだろう。それを知りたくて、東京と大阪にいる知り合いのテーラーさんを訪ね、お話を聞かせていただきました。するとお二人とも、キーになるのはパタンナーさんだとおっしゃるんです。

その時は正直、パタンナーという言葉すら知りませんでしたので、インターネットで検索して、パタンナーさんの役割を知りました。でも、パタンナーさんはどこにいるんだろう。友達にも知人にもいないけど、どうすれば知り合えるだろう。それすらわかりませんでした。

そんな時に、あるソーシャルネットワーキングサイトで、パタンナーさんの集うコミュニティを見つけたんです。そこで理念に共感してくださりそうなプロフェッショナルな方にメッセージを送り、企画書を見ていただき、二人の方に協力していただけることになりました」

 

そして、次に探したのが生産拠点。まずは国内の縫製工場を訪ねてみた。しかし専門知識がないため、なかなか取り合ってもらえない。門前払いの連続で心に寒風が吹き始めたころ、パタンナーがある商社を紹介してくれたことで、状況は好転する。

「洋服を作るには、糸やボタン、ファスナー、裏地の指定など、いろいろなことを整えてから工場に入れ、ブランド名やサイズ、洗濯表示の法律に沿ったタグを製品ごとに作り、品番を振るなどをせねばなりません。そこで商社の方が『果たしてそれができますか? 僕らはマージンを取るけれど、一緒に組んでやっていけば、ノウハウがなくても手助けできますよ』と言って下さったんです」

 

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■「お店を4カ月で開いたことが、早いとはまったく思いません」

 

  商社の担当者をそこまでの気持ちにさせたのは、コンサルティングを中心としたこれまでのキャリアの中で培ってきた、しっかりとしたプレゼン力あってのことだろう。

 

「フィールド調査の結果や同期会で聞いた話の他、客観的なデータをお見せして、これは絶対に世の中に必要なものだ、ということをお伝えしたつもりです。大事なのはやはり、しっかりとしたデータです。その部分のアプローチは、ボストンコンサルティングなどでやってきたマーケットリサーチの手法そのものでした。

もちろん、商社さんも川下戦略を模索していますからね。『ちょっとおかしなことを言う人だけれど、面白いし化けるかもしれないから、試しにちょっとだけつき合ってみよう』という感覚だったのだと思います。対応して下さった商社の管理職の方が、人間的に共感をして下さったことも大きかったですね」

 

商社と組んだことで、状況は一気に動く。実際に商品を作り、顧客と接してみた結果、コンセプトを見直して、ターゲットの対象年齢をやや引き上げることにした。

 

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お客様が、想定していたよりもいいものをご存じの層のお客様が思ったより多かったんです。デフレも進行していましたので、2万~3万円で洋服を楽しむ方は、30代~40代のいわゆるアラフォー世代に多かった。そこが少々仮説から外れていた面があり、当初の20代~30代前半という対象より年齢を少し上げました」

 

ショップができたのが、2013年7月。震災からわずか4カ月あまりという、異例のスピードだった。

 

「最初はホテルのお部屋を借り、移動式で試着会を行っていました。しかし徐々に扱う量が増え、置き場も必要になったので、銀座7丁目のマンションの一室を借りて予約制サロンとしてオープンさせました。

正直、4カ月という期間は想定していた範囲で、早いとはまったく思っていません。そこまでもスムーズにいった実感はまったくなく、上手くやればもっと早くできたと思っていますし、できる方も実際にいらっしゃると思います

実際に顧客と接して、自分の考えに共鳴してくれる人が数多くいるという確信を得ることもできた。

「『ジャージワンピースがこれだけ集まっているお店は見たことがない』『そうそう、こういうのを探していたの』と、皆さんおっしゃって下さり、私と同じ考えの方が多くいらっしゃるのだということを、日々痛感しましたね」


プロフィール
毛見 純子

毛見 純子 けみ じゅんこ

maojian works(株) 代表取締役

1976年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、ベネッセコーポレーション入社。営業職として活躍。その後プライスウォーターハウスクーパースにて組織人事コンサルティング、ボストンコンサルティンググループにて経営戦略コンサルティングに従事。
2007年12月にmaojian works株式会社を設立。金融、IT、エネルギー会社へのセールスおよびマーケティングコンサルティング事業を手がける。
2011年3月に自社事業として日本製ジャージードレスブランドkay meを立ち上げ、同年7月に銀座7丁目で予約制サロンを開業。
2012年7月に銀座4丁目に常設店舗を開設。
2014年2月には同じく銀座4丁目内に常設店舗を増床移転。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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