DX(デジタルトランスフォーメーション)にはマーケター的発想が欠かせない

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DX(デジタルトランスフォーメーション)が世界的に注目される中、日本コカ・コーラ、日本マイクロソフト、ディー・エヌ・エー等にて要職を歴任してきた次世代マーケティングプラットフォーム研究会を主宰する江端浩人さんの新刊『マーケティング視点のDX』(日経BP)が10月19日に発売になる。今回、江端さんに日本企業のDX化の課題、新刊に託す想い、その内容についてお伺いした。

 

■DXの障害になっている、日本の縦割り型組織

 

2020年9月の新政権発足に伴う目玉政策の一つが「デジタル庁」の設立です。おそらく、日本社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、ここから一気に進んでいくと思われます。

日本ではここまで、DXがスムーズに進んできたとは決して言えません。
理由は何でしょうか。

一つが、日本の会社に多い縦割り型の組織構成です。特に大企業で、それがDXの障害になっているケースが多くあります。

私はここまで、長年にわたってデジタルに携わってきました。その中で、多くの企業の発想が「DXのためにはツールやシステムを導入すればいい」という方法論に近いものでした。日本企業においてDXは、「デジタル化ならIT担当や情報システム部門」みたいな形で、専門部署に丸投げされている印象があります。

それは企業が「すでにアナログで存在しているものをデジタルに変える」という視点でしか、DXを見ていないからだと思います。それではダメ。DXは、IT担当や情報システム部門が、単独でカバーできるものではありません。

DXに必要なのは、マーケティング思考です。

DXが自らの顧客に対し、どのようなメリットをもたらすのか。そして消費者動向を調べ、未来が見えにくい中で理想を考え、そこから今すべきことを逆算する。DXにはそんな発想が欠かせません。マーケティング思考を持っている人がDXの中心にいるべきであり、それを経営陣がバックアップ。そんな形が理想だと思います。

つまり、組織作りも大事。縦割りを廃する、もしくは組織を統合する。または海外の企業のように、DXを横断的に進めていくCDO(Chief Digital Officer)やCDMO(Chief Digital Marketing officer)のような役職を作ることも必要になります。

 

■DX成功のカギを握るのはマーケター

 

日本でこれまでDXが進んでこなかったもう一つの理由が、この国は「アナログ先進国」である、ということです。

日本では、アナログ生活を送ってもそれほど不自由がありません。例えば現金を持ち歩いても盗まれることはまれ。偽札もほとんど出回っていない。治安は良好で街は清潔。そして勤勉な国民性。非常に優れたいい国だからこそ、DXを急がねばならない理由が少なかった。そのため、世界に遅れを取っていたわけです。

ところが、時代は急に変わりました。新型コロナウイルス感染症により、人々は対面の接触を避けるようになりました。その結果、リモート会議や在宅勤務などの導入が急速に進み、日本企業はこれまでのやり方を続けていくことが難しくなった。世の中が思いもよらぬ方向に動き、誰も予測していなかった未来が来た。その結果、企業のDXは待ったなしの状況になり、DXの必要性を説明・啓蒙する必要はもはやありません。

そんな中、10月19日に新刊『マーケティング視点のDX 』(日経BP)が発売されることになりました。

 

『マーケティング視点のDX 』(日経BP)

 

本の中で紹介しているのが「4P」という要素です。

①Problem(問題提起)

②Prediction(未来を予測する)

③Process(実際の導入)

④People(DXを支える人材)

この4つをきちんと分析することが、DXを成功させるためには欠かせません。

 

「DX2.0(マーケティング視点のDX)の4Pモデル」

 

それに加えて、国内外さまざまな企業やお店のDX事例を紹介しています。大企業やスタートアップ、個人店などが、難易度の高いDXをいかにして成功させたのか。詳しく解説しています。

DXの成功の背景には「ほんの少し先の将来」を考え、道を示したマーケターがいます。

例えばZOOM。この本の企画段階では、ZOOMのことを知っている人はまだ少なかった。会社に通勤せず、みんながオンラインで会議できる世の中を目指していたら、それが思わぬ形で早く来た。そして彼らの成功例は、コロナウイルスによって多くの人に知られることになりました。

他にも、「Digitize or Die」というスローガンを掲げ、フィルム市場喪失を乗り越えて成長した富士フィルム、緊急事態宣言で営業できなくなったものの、facebookと通販を使って売り上げを伸ばしたウルトラチョップ、コロナ禍の中で受講者を大きく増やしたオンラインヨガ教室SOELUなどを、この本では紹介しています。

でも、ただ4Pの内容や事例を理解するだけでDXは進みません。そこで「自社はどうなのか」を考えるためのフォーマットを用意しています。本を読んだ方が実際にDXに取り組むための手引きとして「企業のDX診断」、そしてすぐに活用できる6種のワークシートや、重要キーワード集も含まれています。

マーケティングに携わる方はもちろん、経営者の方、そしてIT担当者の方など、ぜひ、多くの方々に読んでいただきたいと思います。

DXの成功のカギは、マーケターが握っている。それは、間違いありません。

 

『マーケティング視点のDX 』(日経BP)は、10月19日(月)発売です。

 

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プロフィール

江端浩人|Hiroto Ebata
江端浩人事務所代表 次世代マーケティングプラットフォーム研究会 主宰
米ニューヨーク・マンハッタン五番街生まれ。 上智大学経済学部、米スタンフォード大学経営大学院、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラ社iマーケティングバイスプレジデント。日本マイクロソフト社業務執行役員セントラルマーケティング本部長、アイ・エム・ジェイ執行役員CMO、株式会社ディー・エヌ・エー執行役員メディア事業本部長、株式会社MERY取締役副社長などを歴任。2018.4より江端浩人事務所代表、 2018.7よりエバーパークLLC代表、CDOシェアリングを提供。 2020年4月よりiU情報経営イノベーション専門職大学教授就任 。次世代マーケティングプラットフォーム研究会 主宰
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