マレーシア発。腐敗した政治にNO!風刺画で逮捕・罰金となったアーティストがクラウドファンディングで資金を調達

ヒューレット秦泉寺 明佳

ヒューレット秦泉寺 明佳 [記事一覧]

愛媛県出身。大学卒業後、広島〜東京〜アメリカと移り住んだフリーランスライター。 通訳、英会話講師など英語スキルを生かした活動も行っています。趣味は料理、ホームパーティー、水泳、ハイキング。各国のユニークな広告やTVコマーシャルのウォッチで一日を費やしてしまうことも。

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【SUMMARY】

・マレーシアのアーティスト兼活動家に反体制的な活動を行ったとして逮捕・罰金等の判決
・科せられた罰金の調達並びに抗議活動の拡散にクラウドファンディングを利用
・事業資金や活動資金を調達するクラウドファンディングはその利用用途が多様化
・SNSの発展と活用によって、クラウドファンディングのプロセスと情報拡散はスピードアップ

 

【STORY】

起業家やアーティスト、クリエイターが事業資金・活動資金を集める方法として注目を集めているクラウドファンディング。

群衆(crowd)と資金調達(funding)を意味する英語を組み合わせたクラウドファンディング(Crowdfunding)という造語自体は比較的新しいものですが、不特定多数の人々から資金を募ってり、新規事業の立ち上げなど何かを実現させるという手法自体はもっと古くから存在しています。

近年では、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアの発展によって、個人でもプロジェクトの立ち上げや告知と情報拡散が容易になったため、さらにクラウドファンディングによる資金調達が活発になっています。

今回のトピックスでは、クラウドファンディングを通して科せられた罰金を調達することに成功したマレーシアの活動家兼アーティストについてご紹介します。

 


Source The Star

 

写真の男性は、Fahmi Reza(ファミ・レザ)氏(フルネーム:Mohd Fahmi Reza Mohd Zarin)です。

1977年生まれの40歳の彼は、 マレーシアのクアラルンプールを拠点として、グラフィックデザイナー、フィルム制作、ストリートアーティストとして活動しています。

彼の存在がマレーシア国内のみならず世界的に注目されるようになったきっかけは、2016年に彼がTwitterアカウントに投稿したマレーシアNajib Razak(ナジブ・ラザク)首相の風刺画がきっかけでした。

 


Source  BBC News

 

ナジブ首相をサーカスのクラウンに模した風刺画には、下記のようなコメントが添えられていました。

“In 2015, the Sedition Act was used 91 times. Tapi dalam negara yang penuh dengan korupsi, kita semua penghasut (But in a country full of corruption, we are all instigators).”

「2015年には91回も治安法が適用されました。腐敗した国家では、私たちはみな扇動者なのです。」

 

この風刺画並びにFahmi氏のコメントは、ナジブ首相の汚職問題と腐敗したマレーシアの政治に対してプロテスタント(抵抗)する姿勢を示したものでした。

マレーシアでは、2009年にクアラルンプールを「イスラム金融のロンドン」にしようと、国を挙げての最優先事業として国有投資会社「1Malaysia Development Berhad (1MDB)」が設立されました。しかしその後。2014年時点で420億リンギ(約1兆4000億円相当)の巨額負債を抱えていることが発覚し、ナジブ首相一族と華僑系大富豪による不正疑惑も噴出するなど、マレーシア国内を震撼させました。

その後、2015年7月には、1MDBからナジブ首相の銀行個人口座への約7億ドル(約850億円)の不正入金も報じられるなど、同氏の不透明な政治資金疑惑が発覚。同年の夏にはナジブ首相の退陣を求める大規模デモに発展するなどした背景がありました。


Source  BBC News

Fahmi氏が制作したクラウンの風刺画は、マレーシア国民の反ナジブ政権活動、抗議活動のシンボルとして、瞬く間にマレーシア全土に拡散。市内各所やインターネット上などに多くのクラウンが掲げられていました。

しかしその結果として、Fahmi氏は首相を侮辱したとされ2016年にKL Alternative Bookfesで逮捕されて取調べを受けることになってしまいました(その後釈放)。

そして先日2月20日には、同氏に対してIpoh市の法廷で、禁固1ヶ月、罰金30,000リンギット(£5,500, $7,700)の判決が下されたのです。

この判決に対して、Fahmi氏や同氏の弁護士は早速アクションを起こしました。

インターネット上で罰金分に相当する資金を募るクラウドファンディングを呼びかけたのです(同氏のクラウドファンディングページはこちら )。

 


Source  Pozible Penghasut Solidarity Defense Fund

 

 

取り組みに賛同する人は、単純に資金を寄付するか、首相を模したクラウンのオリジナルグッズ(Tシャツやピンバッジ、ステッカー、ノートブック)などを購入することで(&身に着けて、使用しさらに抗議活動の輪を広げることで)資金調達に協力できる仕組みになっていました。

 

サポーターと資金は、あっという間に集まりました。目標としていた30000リンギットには2月23日金曜日の午後二時、クラウドファンディングを立ち上げてからたった18時間で到達したのでした。

 

この結果に対して、Fahmi氏は自身のFacebookページで下記のように謝辞を述べています。

 

"I didn't think that I would be able to reach the target as quick as this. I'm speechless and don't know what else to say except thank you."

 

「こんなにも早く目標に到達できるとは思ってもみませんでした。ありがとうございますの感謝の言葉以外ありません。」

 

 


Source  Fahmi Reza Official Twitter

 

 

世界中から注目を集めるFahmi氏は、2018年2月27日火曜日の夜には急遽東京新宿にあるIRREGULAR RHYTHM ASYLUMを会場に入場無料(投げ銭制)の講演会も開催されました。

 

 

ちなみに同氏のクラウンシリーズの作品には、ファーストフード大手、飲料大手をパロディにしたものも。

 

今年のイギリスの「表現の自由賞」にもノミネートされている同氏の活動とクラウドファンディングの手法は、ますます世界の注目を集めることとなりそうです。

 

 


Source  Fahmi Reza Official Twitter

 


Source  Fahmi Reza Official Twitter

 

 

※Fahmi Reza Official Twitter
https://twitter.com/kuasasiswa

 

 

※ニュースソース

※BBC

http://www.bbc.com/news/world-asia-43127199

※Marketing Interactive

http://www.marketing-interactive.com/malaysian-activist-fined-for-caricature-of-pm-najib/

 

※The Star

https://www.thestar.com.my/news/nation/2018/02/23/fahmi-reza-raises-over-rm30000-through-crowdfunding-to-pay-fine/

 

 

 

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