アメリカ発。ネット中立性撤廃の危険性と自社の姿勢をプランク動画を通して表明したバーガーキング

ヒューレット秦泉寺 明佳 [記事一覧]

愛媛県出身。大学卒業後、広島〜東京〜アメリカと移り住んだフリーランスライター。 通訳、英会話講師など英語スキルを生かした活動も行っています。趣味は料理、ホームパーティー、水泳、ハイキング。各国のユニークな広告やTVコマーシャルのウォッチで一日を費やしてしまうことも。

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【SUMMARY】

 

・アメリカでは前オバマ政権下で規定されたネット中立性に関する規制が撤廃に
・ネット中立性についてはネット通信業界内外の各企業によって意見が異なる
・バーガーキングはネット中立性撤廃がもたらす変化をプランク企画で消費者に警鐘

 

 

【STORY】

 

「Net Neutrality」

 

ネットワーク中立性またはインターネット中立性が、昨年末からアメリカでは注目を集めています。

 

アメリカにおけるインターネットの中立性に関する規制は、前オバマ政権時に制定されました。

 

これは、ブロードバンドサービスやプロバイダーなどが、特定のコンテンツをブロックしたり、通信速度を意図的に遅くするなどの行為を規制したもので、ネット上の全てのデータを平等に扱うべきという方針に則り2015年にFCC(アメリカ連邦通信委員会)によって明文化されていました。

 

 


Source metro

 

 

この規制が、米トランプ大統領が「過剰な規制によって通信各社の設備投資や技術革新が抑制されるなどの弊害がある」として、選挙戦当時から撤廃を公約として掲げていた通り、2017年12月14日に、大統領就任とともに委員長の変わった新生FCCによって撤廃が承認されたのです。

 

この結果、たとえばより高い利用料金を支払ったユーザーにはより多くの動画コンテンツをより速いスピードで提供するといった優先サービスの提供が可能となりました。

 

 

ネット中立性については、通信・インターネット業界内外各社によってその理解や規制に対する姿勢は様々に異なります。

 

そして今回の決定を経て、企業としてその姿勢をある仕掛けを通して明確に打ち出したのがバーガーキングでした。

 

「WHOPPER Neutrality」、同社を代表するハンバーガーの「ワッパーの中立性」と名付けられた試みでは、あるプランクがバーガーキングを訪れるカスタマ―に対して仕掛けられました。

 

こちらの動画をご覧ください。

 

" Burger King | Whopper Neutrality "

 

 

 

ワッパーの中立性が保たれなくなったバーガーキングの店舗では、新たな料金体系のワッパーメニューが登場しています。それは、三段階の「mbps」によってワッパー1個の価格が変わるというものです。

 

ワッパー1個あたりの最安値は4ドル99セント。最も高い設定では驚きの25ドル99セントとなっていました。

 

 


Source Burger King Official Youtube Video

 

 

通常「Mbps」はインターネットの速度を示すもので、"megabits per second."の略であることはご存知の通りかと思います。

 

しかしバーガーキングでは、同じ「mbps」でも、その言葉が意味しているのは "making burgers per second."という意味だったのです。

 

つまりは、mbps値が高くなるほどにワッパーは早く調理・準備されるため、それを選んだカスタマーは待ち時間なくより優先的に購入することができるということです。

 

その結果、一番安いSLOW MBPSの4ドル99セントのワッパーを注文したカスタマーは、15分から20分も待たされたり、たとえ既に提供準備ができているワッパーがあってもその商品はよりFAST MBPSやHYPERFAST MBPSの料金を支払ったワッパー購入者に優先提供されるという事態が発生したのです。

 

このような事態に直面したカスタマーは、その多くが驚き、そして納得できずに憤りを覚え、不満をぶちまけていました。

 

 

今回の取り組みについて、バーガーキングではその背景にあった意図を以下のように説明しています。

 

"This effort aims to help people understand how the repeal of Net Neutrality will impact their lives. The Burger King brand believes the Internet should be like the Whopper sandwich: the same for everyone."

 

「この取り組みは、人々にネット中立性の撤廃がどのような影響を生活に与えうるのかを理解してもらう手助けにと企画されました。バーガーキングは、インターネットもワッパーサンドイッチのようであるべきだと信じています。つまり、誰にでも公平であるようにと。」

 

 


Source Burger King Official Youtube Video

 

 

動画の最後には上の写真のように、バーガーキングの王様が、アメリカで人気のキャンディーブランドReese's Peanut Butter Cupのジャンボマグカップからドリンクを飲んでいる場面があります。

 

これは実は、トランプ政権になってからFCCの委員長になったAjit Pai氏が、メディアに登場した場面などで同ブランドの巨大マグカップを使用していて、それが世間の注目(と非難)を集めたことを思い出させるブラックユーモアです。

 

 


Source FOX NEWS

 

 

そして動画の最後には、ネット中立性の撤廃に反対しネット中立性を救う請願に署名・賛同を表明

 

プランク企画を活用して疑似教育動画を制作・公開したバーガーキング。ワッパーだけでなく、同社の提供するサービスは、どこでもいつでも誰にでも公平なものであってくれることでしょう。

 

 

※ニュースソース

※Business Insider
http://www.businessinsider.com/burger-king-releases-net-neutrality-prank-video-2018-1

※Fox News
http://www.foxnews.com/food-drink/2018/01/26/burger-king-slams-net-neutrality-repeal-in-whopper-commercial.html

※CNN Moneyhttp://money.cnn.com/2018/01/24/news/companies/burger-king-net-neutrality-ad/index.html

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