イギリス発。著名なアントレプレナーの新たな挑戦は長寿・健康効果を期待させるローズマリーウォーター

ヒューレット秦泉寺 明佳 [記事一覧]

愛媛県出身。大学卒業後、広島〜東京〜アメリカと移り住んだフリーランスライター。 通訳、英会話講師など英語スキルを生かした活動も行っています。趣味は料理、ホームパーティー、水泳、ハイキング。各国のユニークな広告やTVコマーシャルのウォッチで一日を費やしてしまうことも。

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<SUMMARY>

 

・成長を続けるボトルウォーター市場に長寿・健康維持効果を期待させる新たな商品が登場
・新商品の考案者はイギリスの著名なアントレプレナー・デイビット・スペンサー・パーシバル氏
・ローズマリーウォーターは現段階では大量生産が不可能なため限定的な販売にとどまる

 

<STORY>

 

イタリアのナポリから南に2時間半ほどのところにある小さな村、Acciaroli / アッチャロリをご存知ですか?

 

実は昨年2016年に、ヨーロッパを中心に欧米や世界中のメディアで驚くべき村としてニュースに取り上げられて話題になりました。

 

その理由は、「村人の10人に一人が100歳まで生きる」という長寿の村だったからです。しかもただ寿命が長いのではなく、アルツハイマーやリウマチ、白内障などの加齢に伴って患うことの多くなる各種症状の罹患者がかなり少なかったのだそうです。

 


Picture: ABC.Net AU

 

研究者たちもその事実に驚愕し、同村の長寿の背景にあるものは何かと探ったところ、どうやらそこには村人が日々消費しているローズマリーの量が関係しているのではないかという説が浮上したのです。

 

肉の鮮度を長持ちさせる効果があったため古代からお肉料理によく使われるハーブのローズマリーは、地中海沿岸原産でアッチャロリにも広く自生しています。実は様々な効能が指摘されているローズマリー。古代には記憶力を高める作用があるとして薬として用いられていたそうです。

 

そして今回の研究でも、ローズマリーの持つ効能として、抗発がん性、抗酸化作用、抗炎症作用、記憶力向上の作用などが指摘されました。

 

さてこのニュースにただ驚いただけではなく、実際にローズマリーの効能を生かした商品を考案し販売をスタートさせたのが、エネルギー業界に特化したグローバルリクルートエージェンシーSpencer Ogdenを立ち上げて、2013年にNational Business Awards Entrepreneur of the Yearを受賞した起業家のDavid Spencer-Percival(デイビット・スペンサー・パーシバル)氏でした。

 


Picture: THE TIMES

 

ニュースを読んだSpencer-Percival氏は、「僕ももっとたくさんローズマリーを食べるべきだ!でもどうやって?」と思ったそうです。アッチャロリでは村人たちはローズマリーをそのまま生食していたそうですが、それは少々難しいと感じた氏は、「飲み物としてごくごく飲めれば良いのではないか?」と思いつき、グーグルでローズマリードリンクを検索してみたところ、商用に販売されていないという検索結果に行きつき、一念発起したそうです。

 

始めは自宅の冷蔵庫いっぱいに様々な量のローズマリーを漬けた水を冷やして実験。すると、そのとても爽やかでリフレッシングな味わいに感激したのだそうです。そこから半年間の紆余曲折を経て、ついに世界初の本物のローズマリーのエキスを含んだローズマリーウォーターを世に送り出しました。

 

 


Picture: INDEPENDENT UK

 

商品ラインナップは、炭酸入り750ml(6本入り一箱£23.70)、炭酸入り350ml(12本入り一箱£35.40)、炭酸無し750ml(6本入り一箱£23.70)、炭酸無し350ml(12本入り一箱£35.40)の4種類(価格は公式HP参照)。350ml一本が日本円で約426円(1£=144.39円として換算)となっています。

 

同商品の販売スタートに際しては、どのように商品を市場にアピールすれば良いのか、そのアプローチが難しかったというSpencer-Percival氏。ローズマリーの持つ効能は様々な研究によって指摘されているものの、それが実際にアッチャロリ村の人の健康寿命の長さの要因であるのか、その人体に対する効果をきちんと証明するには医学的検証を10年間続ける必要があったからです。

 

そこでまずは商品の独特なパッケージ、ノンアルコールドリンクとしてはとても珍しい真っ白なボトルをメイン素材に、商品開発のきっかけとなったアッチャロリ村に触れながら、ローズマリーの持ちうる効能には大げさにメインとして触れないコピーを添えたビジュアルを制作しました。

 


Picture: No1 Rosemary Water Official Website

 

 

そして合わせて、商品PRのためのコマーシャル動画も制作。制作を指揮したのは元ロックミュージシャンのKevin Godley氏。Godley氏は、U2やBlur、Bryan Adamsなどの著名なアーティストのミュージックビデオをこれまでに多数制作しており、モーフィングなどのビジュアルエフェクトに長けていることで知られています。

 

制作された90秒の動画には、現役世界最高齢モデルである88歳のDaphne Selfeさんが登場しています。作中では時間の経過とともに、ローズマリーウォーターを飲む彼女の姿がどんどん若返っていきます。

 

 

 


Picture: Both from Campaign Live UK

 

しかしながらこちらの動画、「ローズマリーウォーターを飲むことで若返ることができる」と消費者に受け取られかねないということで、イギリスのテレビコマーシャルの事前審査を行うNGOであるClearcastから待ったがかかったそうです。

 

ローズマリーウォーターの発売当初は、イギリス国内外に店舗を展開している百貨店Harvey Nichols(ハーヴェイ・ニコルズ)のみでの限定販売でしたが、現在ではその他の高級小売店での取り扱いもスタートしています。

 

現段階では生産コスト(原材料費)の問題もあり、大量生産をすることは現実化していないそうですが、Spencer-Percival氏は「誰もが手軽に飲めるようになっているところをいずれは見たいものだ」とまだまだ意欲旺盛なようです。

 

 

※No1 Rosemary Water Official Website
https://rosemarywater.com/

 

 

※ニュースソース

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