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One To Oneマーケティングの時代に欠かせないMAツール

加來 幹久 かく もとひさ さん (株)デジミホ 代表取締役


最近「マーケティングオートメーション(MA)」というキーワードを目にする機会が増えてきている。2000年代にアメリカで生まれた「デジタルテクノロジーによって、マーケティング活動の実行作業を自動化する」ことを意味する概念。しかし「MAとは何か?」というテーマを的確にとらえているマーケターは、まだまだ少ない。そこで今回は、日本独自のMAツール「R∞(アール・エイト)」を展開する株式会社デジミホの代表取締役・加來幹久さんにお話をうかがう。MAツールは顧客の基本データをどのように解析・分析し、顧客ごとのキャンペーンシナリオを設計するのか。そしてMAツールを導入することで、企業のデジタルマーケティングと今後のマーケターの働き方はどう変わるのか。今回はそれらを、加來さんそしてデジミホのこれまでの歩みとともに、紹介していく。

文=前田成彦(Office221) 写真=三輪憲亮


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■従来のマーケティング手法を自動化し、効率的に運用する。

 

日々、多様化を続ける消費者の購買サイクル。それに伴い消費者へのコミュニケーションにも、一律ではなく、One to Oneでの個別アプローチが必要とされつつある。消費者一人一人に寄り添った、きめ細やかなコミュニケーションが求められているのだ。そんな背景の中、2000年代にアメリカで生まれたのが「マーケティングオートメーション(以下MA)」という概念。アメリカにおいて、MAはCRMと連携して利用されているが、日本での導入例はまだ少ない。

 

「マーケティングオートメーションという言葉は、直訳すれば『マーケティングの自動化』。従来のマーケティング手法を自動化し、効率的に運用するためのもの。デジタルテクノロジーによって、マーケティング活動の実行作業を自動化する仕組みやプラットフォームを指し、専用ツールで顧客のパーソナルデータやサイトへのアクセスデータなどを抽出・統合。顧客とのコミュニケーションシナリオを個別に作成し、最適なコンテンツを最適なタイミングで、最適な方法で届けます

 

語るのは、日本発のMAツール「R∞(アール・エイト)」を展開する株式会社デジミホ代表取締役・加來幹久さん。見込み顧客(リード)の顧客情報を得て、有力な顧客を絞り込み、育てる。MAとはその過程におけるさまざまなマーケティング施策を自動化するプラットフォームを指す。

 

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「MAツールは顧客の年齢、性別、趣味、嗜好などの情報や購入・利用履歴、他にも苦情や意見、要望などの問い合わせ履歴など、企業とのあらゆる接点におけるデータをストックします。そして顧客別のニーズ、ウォンツ、購買行動パターンを分析し、顧客をセグメント化。メールやSNS、LPOやDSPなどのWEB広告、ウェブ接客機能などを活用してコミュニケーションを取る。そして、その結果得られたデータを取り込み、効果検証を行います

 

狙いは、それぞれの顧客に適したサービスや商品を効率よく提供し、満足度を高めること。それにより、一人あたりの購買額を最大化させ、顧客維持率を上げることで長期的な収益の向上を目指す。最近のテクノロジーの進化、特にDMP(データマネジメントプラットフォーム。さまざまな種類のデータを一元管理して分析し、有効活用するためのプラットフォーム)の登場もあり、MAは日本でも本格稼働する兆しを見せ始めており、今後、導入を進める企業が増えていくと思われる。

 

「DMP(データマーケティングプラットフォーム)と呼ばれる多くは、データベースから顧客の行動データを集約・分析するものです。MAツールはデータの蓄積やセグメント化など、機能的に見ればDMPとかぶる部分がありますが、MAツールはデータに基づいた最適なコミュニケーションを顧客ごとの最適なタイミングで行うためのもの、と考えるべきでしょう」

 

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矢野経済研究所による調査では2014年のデジタルマーケティングサービスの市場規模(事業者売上高ベース)は 208億円。
今後のさらなる成長が見込まれている。※画像は「ビジネス+IT」のスクリーンショットです

 

 

■コンサルティングが凝縮されたMAツール。

 

海外から進出したMAツールは管理画面の項目が英語だったり日本人には使い勝手が合わないものが多かった。だからといって自社でオリジナルのシステムを構築しようと思うと、各種データの抽出・統合など、億単位の初期費用がかかることが、One to Oneのパーソナルマーケティングを行う際の障壁となっていた。しかしR∞は、月額2万9800円~という低価格でデータの一元管理から顧客分析、施策の実行までを行うことができる。

 

R∞は、4000パターン以上の対象者抽出条件とチャネルを駆使し、顧客の反応をうかがいつつ、キャンペーンのシナリオを自動設計。ウェブサイトやスマホアプリ、ディスプレイ広告やメール、SNSなどを通して、一人ひとりに最適化されたコンテンツを提供し、One to Oneのパーソナルマーケティングを展開していきます。

 

これまでに用いられていたツールは、導入に数億円かかるものもありましたが、WEBサイト上の売上をアップさせるために実際に「使う」機能は、全体の10%未満、ということも。確かにすごいツールは世の中に存在しているけれど、じゃあ、それをどう使うのか。その運用設計や、実際の運用におけるマーケティング視点での知見が大切になってくる。逆に言えば、その知見を企業が持ち合わせていなければMAを使いこなすことそれ自体が困難です。その点、ウチには10年以上のコンサルティングの実績があります。その知見をシステムに落とし込み、誰でも簡単にスグ使えるように、できる限り安価に作ったのがクラウド型のマーケティングオートメーションシステムであるR∞です」

 

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デジミホが提供する、“誰でも簡単にスグ使える”
既存顧客の売上アップを実現するパーソナルマーケティングプラットフォーム「R∞」。

 

 

R∞の低価格の背景にあるものが、デジミホの豊富なコンサル実績。大切なのはMAツールをただ導入することではなく、どう使うか、だ。

 

「MAツールは魔法の杖では決してありません。導入に当たって、まずは顧客データや購買データを活用・分析し、顧客のニーズや優良度を整理します。それを元にした顧客とのコミュニケーションシナリオの策定が重要です。つまり、どんな風に顧客をセグメント化し、どんなコミュニケーションをどんなタイミングで提供するか。それら一連の流れを策定するコンサルティングが必要になります。

 

そして次に、そのコミュニケーションを実現するための、プログラムの設計・開発がセットで必要になってくる。
R∞は、デジミホのコンサルティングが凝縮されたMAツールです。アパレル・流通小売業を中心に、不動産、人材、金融など自社でWEBサイトを持つ事業者向けに用途を絞り、あらかじめ予想されるニーズを網羅して設計。そこから先はコンサルティングに基づき、顧客ごとに個別対応していく
のです」

 

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デジミホには2004年の設立から一貫して、さまざまな企業のマーケティングコンサルを手がけてきた。R∞が誕生した背景を、加來さんはこう語る。

 

「コミュニケーション戦略を立て、それを運用してもらい、効果を見ながらPDCAを回す。それを長年続けていく中で、2010年ごろからEC事業者からのコンサル依頼が増えてきました。彼らは新規顧客の開拓はある程度やり尽くし、これから先はCRMに力を注ぎたい。でもCRM=メールを送ることだけでは、コンバージョン率0.02%ぐらい。それじゃあどうしようもない。既存顧客の優良顧客化に向けたOne to Oneマーケティングを実現するための策を考えてもらえないか、という依頼が来るようになりました。

当時、オンプレミスのキャンペーンマネジメントシステムなどを使って、MA型のマーケティングを行う企業が出て来つつありました。しかしそれらは巨額の費用がかかるため、導入できる企業は限られている。そこでわれわれは、今まで培ってきたデータ分析やセグメント化、コミュニケーション施策などのノウハウに基づいて、運用のコンサルとシステム導入のプロジェクトマネジメントを手がけるようになりました。それが、R∞が生まれたきっかけです」

 

第2回では、R∞のさらなるディテールと実際の導入事例について話を掘り下げていく。


プロフィール
加來 幹久

加來 幹久 かく もとひさ

(株)デジミホ 代表取締役

1974年栃木県生まれ。’96年から商社で半導体やハードウェアモジュールの輸出入などを手がける。2004年に株式会社デジミホを設立。デジタルマーケティングのコンサルティングを行う。2013年末にMAツール「R∞」をローンチ。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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