地方と旅人をつなぐIRORIで、中国人に会えないか4時間粘ってみた
Vol.1
「インバウンドの今!話題のゲストハウスに泊まっている外国人に聞いてみた」
はじめまして。トレンダーズ株式会社の三科です。三十路です。現在は昨年4月にオープンした訪日外国人向け観光情報サイトのZEKKEI Japan(http://zekkeijapan.com/)の編集長をしています。
「インバウンド」という言葉は昨年流行語大賞にノミネートされたほど、2015年急速に市民権を得ました。日々のニュースの中で、「爆買い」「インバウンド」という言葉を聞かない日はないくらいの勢いですよね。
「この勢いは2020年の東京オリンピックまでだ」と言っている方も多々見かけますが、旅行市場は世界的に伸び続けている、唯一と言っていいほどの成長市場。私は日本の観光客はこれからも増えていく(また、増えるべきですし、そのためにやらなくてはいけないことがたくさん!)と予想しています。
さて、雑誌『ソトコト』2016年1月号でも特集されていた、最近話題の「ゲストハウス」はご存じでしょうか? 観光客増加に伴い、スタッフさんやゲスト同士との交流ができる、おしゃれで特徴のあるゲストハウスが続々登場。今、国内外から注目が集まっています。このコラムでは東京の話題のゲストハウスを訪問して、実際に泊まっているゲストにも話を聞いてみたいと思います。
地方と旅人をつなぐIRORIで中国人に会えないか4時間粘ってみた
1回目は、2015年10月にオープンしたばかりのIRORI Nihonbashi Hostel and Kitchen
(http://irorihostel.com/)さん(東日本橋)を訪れました! ZEKKEI編集部スタッフ中国人劉ちゃんを引き連れて……。せっかく劉ちゃんがいるから、ぜひ中国語を披露してもらいたい。中華圏のゲストに出会うことはできるのでしょうか!?
まずは、ゲストハウスのマネージャー堤さんと広報の金子さんにインタビューしました。
―ゲストハウスのコンセプトが「日本の地方と旅人をつなぐ」というところにシンパシーを感じました。(ZEKKEI Japanも同じコンセプトです!)どうしてこのようなコンセプトで、東京にゲストハウスを建てることになったのでしょうか?
母体である株式会社R. projectという会社はもともと、千葉で複数の合宿施設を運営しています。外国人も泊まれるようにしているのですが、なかなか人が来ないんです。地方に人を送客するのって口で言うのは簡単ですが、実際には結構難しいですよね。東京ならばみんなが1度は来る。だから、東京にゲストハウスを作ることによってそこを「メディア」にする。ゲストハウスで地方の魅力を伝えることによって、次の旅行先に地方を選んでほしいと考えました。
―なるほど、ゲストハウスが「メディア」という視点は面白いですね。リアルな接点による情報の価値は大きいと思います。IRORIの場所を東日本橋に決めたのはなぜでしょうか?
ここは馬喰町、馬喰横山、東日本橋の3つの駅が使えてとにかくアクセスが良いんです。羽田・成田に到着してまず荷物を置きに来たい観光客には、とても便利です。それにこの地域は低いビルが残っている上、問屋街で独特の雰囲気があるので、外国人にとっては珍しい光景。我々がオープンした後、周囲にホステルが増えていますよ。
―泊まっているのはどんな人が多いですか?
外国人が6~7割で、日本人も3割います。最近日本のメディアに取り上げられることが増えてきたので、記事を読んで興味を持って予約いただくケースもあります。そして実は、出張に来たビジネスマンや就活生も多いです。というのも最近都内のホテル(特にビジネスホテル)がすぐに満室になってしまうので、ゲストハウスに流れてくるようですね。ビジネスマンから歯ブラシを置いてないのかと怒られることもあります(笑)。ゲストハウスなのでアメニティは置いていないんですよ(苦笑)。
外国人については欧米・アジアが半々ずつくらいで、アジアの半分が中華圏。20~30代が大半ですが、東南アジアの方はご家族で利用されることも多いです。
―なるほど、本当にホテルが足りていないという感じが伝わってきますね。外国人に地方の魅力を伝えるにあたって、具体的にはどんなことを企画されているのですか?
月3~4回はこの宿の特徴である「囲炉裏」を使ったイベントをやっています。秋田のきりたんぽ鍋を囲んだり、島根の日本酒を飲んだり。今度、茨城の干しイモをあぶる会もやりますよ。今後はバスを出して千葉にある弊社の施設に連れて行くツアーみたいなことも企画したいと思っています。
この囲炉裏ですが、朝ごはんも千葉の干物を自分で焼いて食べられる定食をお出ししますし、夜もフロントで干物やお餅を売っているので、自由に焼いてもらってOKです。日本の文化である囲炉裏を囲んで交流をしてもらいたいと思って宿名にもしました。
さらに言うと、宿泊者じゃなくても1ドリンクオーダーしていただけたら、使っていただけます。70人のゲストに対してスタッフが2名くらいなので、スタッフとの交流だけだと「メディア」としても限界があります。日本人のゲストと外国人のゲストの交流で、ゲストからゲストに日本の魅力を伝えていくような場づくりをしたいと思っています。日本人が自分の地元の料理を作って外国人ゲストに食べてもらいながら、地元を知ってもらう場にしていけたら面白い。あ、この前はインド人がカレーを作ってふるまっていましたね(笑)。理想としては、ここに来ればいつも何かやっている!という感じにしたいですね。
―それは楽しそう。私も地元のほうとうを作りに来ようと思います(笑)。
それでは、ゲストにもインタビューしたいと思います。
しかし、待てど暮らせど、中国人と台湾人には出会えませんでした・・・。
というわけで、気を取り直してタイ人にインタビュー。
バンコクからきたTaewさんとTuituiさんです。
―日本に来たのは何回目ですか?
Taewさん:2回目です。前回は北海道の小樽で寿司を食べました。
Tuituiさん:はじめて来ました。日本の寿司が好きです。美しい景色やお店を楽しみに来ました。
―今回はどのくらいの日数東京にいますか?
Taewさん:5日間です。新宿、原宿、渋谷、秋葉原、浅草寺、東京スカイツリーに行きました。
―東京では何が面白かったですか?
Tuituiさん:渋谷が一番好きです。昨日ドラえもんのフィギュアを買いましたよ! 牛丼もおいしかった。
Taewさん:私は浅草寺が好き。仏像が好きだし、写真を撮りたくなるスポットでした。
―IRORIを選んだ理由は?
Tuituiさん:駅から近くて安いからですね。
お二人へは英語でインタビューしたのですが、ネイティブではない者同士の会話はツライ! 残念ながら、この辺りで断念しました。
続いて韓国人のSong heeさんにもインタビューしました。笑顔が印象的な美人さんです。
―日本に来たのは何回目ですか?
2回目です。10日間の日程で、日本の食べ物・人・文化を楽しみに来ました。
―どんな食べ物が気に入りました?
ラーメンです。それから新橋の「牛かつ もと村」に今日行き、とても気に入りました。日本のスナックも大好きでたくさんお土産に買いましたよ。チョコチップクッキーやキャンディーやガムなど……。
―明日はどんな予定ですか?
まだはっきりとは決めていないけれど、東京スカイツリーに行くと思います。日本人の友人とも会うつもりです。
―日本に友人がいるんですか?
実は先週できたばかりなんです(笑)。新宿駅の南口で道に迷っていて、そうしたら彼女が助けてくれたのです。英語が得意ってわけじゃなかったけど、頑張ってくれて。
―あら、それはとても素敵な出会いですね!
そうですね。それから私は日本のユニークなファッションスタイルがとても好きなんです。韓国人は同じメイク、同じファッションで歩いているから面白くない。日本人はみんなとてもユニークな格好をしていますよね!
―IRORIを選んだ決め手は?
清潔で、快適だからです。
TaewさんとTuituiさん、Song heeさん、ありがとうございました。IRORIさんはシンプルなデザインの中に和と現代がうまくマッチしている空間。地方送客という同じ志を持つ者として、ぜひ応援したいゲストハウスでした。今回は中華圏の方に会えず残念……。次回はより濃いインタビューを届けられればと思います!
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