スペイン発。国民的行事クリスマス宝くじのキャンペーン動画は今年も感涙必至の名作
※Picture:Screen shot from LAVANGUARDIA
年末のお楽しみといえば、年末ジャンボ宝くじ!という方もいらっしゃるかもしれません。
今年も、11月24日の木曜日から全国で販売が開始されるそうですが、既にメディアなどでは「この売り場が狙い目!」といった記事も取り沙汰されていますね。
世界各国に様々な宝くじ/Lotteryがありますが、今回はスペインの宝くじにまつわるトピックスをご紹介します。
' Lotería de Navidad '
これは、スペインで毎年発売されるクリスマス宝くじの通称です(正式名称:Sorteo Extraordinario de Navidad)。もともと宝くじ人気が高いといわれるスペインにおいて、このクリスマス宝くじはさらに別格の人気を誇っています。
国民の8割以上が購入するともいわれているクリスマス宝くじは、1812年から発売されており、なんと200年以上の歴史を誇ります。そして、宝くじの売上金の7割以上を賞金として還元するなど、その賞金総額・規模でも世界で群を抜いています。
さて、スペインのクリスマス宝くじは日本の宝くじとは少々システムが異なっています。
昨年を例に説明します。
2015年のスペインのクリスマス宝くじには、00000から99999の10万個の宝くじ番号がありました。そして、それぞれの番号につき、昨年なら180シリーズ(1シリーズはA4サイズほどの用紙に10枚の同じ番号の宝くじチケットが印刷されています)が販売されました。つまりは同じ番号の宝くじチケットを持つ人が自分以外にもたくさんいるというわけなのです。
ちなみに、宝くじ番号の数とシリーズ数は毎年変わります。
価格はというと、"billete"と呼ばれるフルチケットシート=1シリーズ(10枚の"décimos/デッシモ"と呼ばれる宝くじチケットセット)が200ユーロ。シリーズを10分割したデッシモと呼ばれる宝くじチケット1枚が20ユーロです。200ユーロは少々高額なので、個人ではデッシモを1~数枚購入する人が多いのだとか。
そしてたとえば、1シリーズを購入した人が見事"El Gordo"と呼ばれる1等に当選したとします。1等の賞金が400万ユーロだとすると、フルチケットの1シリーズを購入していれば400万ユーロが手元に。そうではなく、1/10のデッシモを購入していたなら、配当は40万ユーロとなります。
Picture:Screen shot from LAVANGUARDIA
実は、スペインのクリスマス宝くじの特徴は、宝くじは1人が当選して大金を獲得・独り占めするのではなく、多くの人で賞金を分け合うことにあります。
同じ番号が印刷されたシリーズは、特定の地域や販売店などでまとまって販売されることが多いのです。そのため、友人・家族同士、コミュニティや商店街、バーや会社などが同じ番号の宝くじシリーズをたくさん準備しておいて、この賭けに乗っかって何口かのデッシモを個々に購入。当選する時はみんなで当選、幸せを分かち合おう!というスタンスがとてもポピュラーなのです。
そんなこともあって、毎年12月22日に当選番号が決まったあとは、当選番号の出た町や村は大賑わい。見事当選した人たちの顔がテレビやメディアに露出するのも当たり前という、日本では考えられない状況が起こります。
Picture:Screen shot from LAVANGUARDIA
前置きが長くなりましたが、まさに国民的行事のスペインのクリスマス宝くじ。先述の通り、多くの人で賞金・当選の喜びを分かち合うことがその特徴でもあります。
そして実は、この特徴によりフォーカスしたキャンペーン・コマーシャル動画が一昨年から制作されるようになり、スペイン国内のみならず世界中から高い評価を得ています。
"There's no bigger prize than sharing"
"分かち合うよりも大きな賞金なんてない"というテーマのもと、今年も感涙、そして見終わった後に温かい気持ちになること必至の動画がリリースされました。
それがこちらの動画です。
" Anuncio Lotería de Navidad 2016 – 21 de diciembre [Oficial] "
"December 21st"と名付けられた今回のキャンペーン動画。小さな町の、定年退職した教師のCarminaさんを主役にストーリーが展開します。
本来は、12月22日がクリスマス宝くじの抽選日なのですが、Carminaさんは12月21日の朝にたまたまテレビで放送していた過去の抽選の模様を、今年のものと勘違い。しかも自身の持っているチケットがなんと当選しているではありませんか。
近くにいた家族は、Carminaさんが勘違いをしていることに気づいているのですが、真実はそこでは告げずに、彼女の喜びをともに分かち合い、シェアし、祝うことを選びます。町中の人や、取材を装うテレビクルー、そしてぶっきらぼうな態度をみせていたCarminaさんの孫までを巻き込んで、最後は心温まる和やかで楽しそうなお祝いのパーティーを町の人皆で開きます。
Picture:Screen shot from Anuncio Lotería de Navidad 2016 – 21 de diciembre
ストーリーの最後では、Carminaさんに真実を息子さんが告げようとしますが、その時にも彼女は「(当選チケット)これはあなたが持っていてくれたなら私はもっと嬉しいわ」と伝えます。
実際には当選者が出ていないストーリーをあえて選び、「幸せを共有すること」の素晴らしさにどこまでもフォーカスした素敵な動画に仕上がっています。
ちなみに、一昨年からスタートした同コンセプトで制作された動画はいずれも高い完成度で、口コミで世界中に拡散しました。
昨年2015年は、マネキン工場の夜警として働く初老の男性を主人公にしていましたが、こちらはカンヌでCyber Grand Prixに輝くなど、数々の広告賞を獲得しました。
こちらもぜひ、合わせてご覧ください。
" Anuncio LOTERIA NAVIDAD 2015 HD "
※Loteria de Navidad Website
http://www.laloterianavidad.com/
※December 21st Campaign Website
https://21dediciembre.es/
ニュースソース
※BEST ADS ON TV
http://www.bestadsontv.com/ad/75427/Loteria-Night-Shift
http://www.bestadsontv.com/ad/83122/Loteras-y-Apuestas-del-Estado-Spanish-Lottery-Carmina
※Campaign Brief Asia
http://www.campaignbriefasia.com/2016/11/touching-spanish-lottery-spot.html
※Campaign UK
http://www.campaignlive.co.uk/article/1374825/spanish-christmas-lottery-created-unexpected-viral-christmas-ad-winner