どんな職業でも“平均点以上”の活躍を約束するのが、実はマーケター脳!どんな仕事にも応用できる、マーケター的仕事術 5つのコツ

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あなたは自分の仕事のパフォーマンスに満足しているだろうか?

現代のビジネスで成功するには、その業界特有の知識とノウハウとコミュニケーションスキルが必要だが、どんな職種でも活かせるのが、実は「マーケター視点」。

そう説くのが『「仕事ができない」と言われたらマーケターのように考える』の著者で、トヨタ自動車、TBS、アクセンチュア出身の戦略コンサルタントである山本大平氏だ。山本氏によれば、マーケター視点には1)物事の見方、2)情報の取り方、3)情報のさばき方、4)戦い方の4つの観点があるという。

マルチカテゴリーのビジネスコンサルで活躍する山本氏に、どんな仕事ジャンルにおいても再現性高くハイパフォーマンスを叩き出す武器となるマーケター脳について聞いた。

 

■“平均点のパフォーマンス“から抜け出すマーケター思考5選

 

1.鳥の目・虫の目・魚の目を使い分ける

アイディアを生み出すには、まず最初にファクトの見極めありきだが、新しい有力な情報を取りに行く際には、鳥の目・虫の目・魚の目の3つの視点を活用するべし。鳥の目は俯瞰して全体を大局的に見ること、虫の目は、物事を近くでミクロな世界を集中して見る目、すなわち、実際に現場を見ること、魚の目とは、実際に水中に入り、魚群や波を感じる、すなわちトレンドを自ら感じられる環境に身を置き、肌身で感じることだ

この3つの目をバランスよく駆使することを心がければ、近視眼的な判断に陥らず、生産性のある気づきを得ることができる。どれか一つが突出するのではなく、すべてバランスよく使うのがポイント。

「周囲の優秀なビジネスマンを見回してみてください、恐らく、どの人もこの3つの視点いずれからも思考を深めているはず。だからこそ、会議などでも、経済トレンドの全体像、クライアント、エンドユーザーが実際にどう使っているか、買っているか、全方位についてのインプットに基づいた発言があるはずです。あなたもそんな発言を心がければ、たちまち“シゴテキ”人材に近づくはずです。」

 

2.「Why?」と「How」は分けて考える

 ビジネスにおいては事象や理由を探るシーンが多くある。よく言われるのが「なぜ?」と数回繰り返せということだ。トヨタ自動車では、トラブルに直面したときに「なぜそれが起きたのか」を繰り返し考えるために「なぜ?」を5回繰り返すことを新入社員の頃から徹底的に叩き込まれる。これにより、問題解決の核心に近づけるのだ。この「なぜ?」を繰り返すときに注意すべきことがある。

「『なぜ?』を5回繰り返しながら深めていくと、物事の根本原因である真意を見つけられますが、多くの人が間違えがちなことがあります。それは、『Why』で原因を深掘りしている最中に、『How』の解決策を考え始めてしまうことです。『Why』の思考フェーズでは、真因を突き止めることに集中しなければならないのに、途中でなぜか解決策を考えたくなってしまうのです。しかし真因が見つかっていないのに、原因の一つや二つから『How』を考え始めてしまうと、本当の意味で解決につながらないのは目に見えています。思考整理は必ず『Why』→『How』の順番で行いましょう

 

3.本当のニーズは、今だからこそ現場へ取りに行く。

商品開発にしてもマーケティングにしても、顧客ニーズを正確にとらえることが重要だ。AI活用も進んでいる現在では、顧客ニーズはインターネット上で手軽に収集できる。顧客ニーズをすでに分析している結果も販売されているため、いかようにも入手はできる。

しかし、あなたが本当に顧客ニーズをとらえたいなら、AI含め、ネットの情報は当てにしてはいけない。

「ネットの情報で満足してはいけません。ネットから集められる情報は、誰でも取れる鮮度の落ちた遅い情報なのです。現地現物での情報取りを徹底することで、誰よりも早くフレッシュな情報を得ることができます。

そしてもう一つ、顧客ニーズを探索する際に注意したいことがあります。それは自分がいつもいる環境とは大きく異なる、別の環境(世界)からサーチをすることです。例えば、自動車業界の製造現場で働いている人は、自動車に関連することにすべてが偏ってしまいがち。ですから社外に出て、例えばエンタメ業界、IT業界で働いている人にアイディアを求めましょう。自分がいる箱から大きく離れて情報を取らなければ、顧客の隠れたインサイトには決して気づけないのです。『そんな考え方もあるのか!』をたくさん探しに行ってください。」

 

 

4.ニーズは「意識ではなく事実」を集めて確かめる

一般的に、顧客ニーズを探る際には市場調査を行う。インターネットで自らサーチする方法の他に、アンケート調査やインタビューという手法もある。これらは直接的に顧客の声を聞くことから、よりリアルで有益な情報だと思いがちだが、実はそうとも限らない。

「市場調査でアンケートやインタビューを行う際には、情報の引き出し方に注意してください。結論から言えば、『意識ではなく事実を』集めることが重要です。

例えば、アンケート調査で『ゴミ拾いイベントに参加したいですか?』という聞き方では、意識は収集できますが、事実は収集できません。事実を収集するには『この2年間であなたはゴミ拾いイベントに参加しましたか?』という聞き方をしなければなりません。事実(行動)結果に勝る根拠は無いのです。」

 

5.ラテラルシンキングで戦う

「VUCAの時代」と言われるように、現代は未来予測が困難な時代。しかし裏を返せば、資本力がなくてもアイディア一発で勝てるチャンスが増えたと言い換えることもできる。従来存在しなかった市場を作り出すことも可能だ。では、そのためにはどう発想すれば良いのだろうか?

「自分で市場を作るということは、すなわち『世の中でまだ人々に対して与えられていないような“機能的価値”を見つけ出し、提供すること』です。未開拓の機能的価値を探すには、日常における小さな『あれ?』を自らの目線で集めること。そしてアイディアを生み出し、その実現に向けて行動数を最大限に増やすことが必要です。

この戦いの際に、最短ルートで問題を解決する最終兵器が、ラテラルシンキングという思考法。簡単にいえば、『真正面からではなく抜け道を考えてみること』です。自分の考えや固定概念、一般常識にとらわれず、新しい発想で問題を瞬時に解決するための思考法です。

例えば、お茶メーカーが新しいお茶の商品を開発するとします。現代の若者はお茶離れが進んでおり、忙しい現代人はカフェインの多いコーヒーやエナジードリンクを好んで飲んでいます。このままではお茶市場が縮小してしまう一方です。ここでラテラルシンキングを用いると、シュリンクするお茶市場をどう延命させるか、という発想から、『健康管理もできて、カフェインの量も多いお茶、と言い換えることができないか』という発想が生まれます。

お茶の抜け道を考えてあげることで、現在のカフェイン市場の飲料のネガティブ要素に対するアンサーとして、お茶にしかない機能的価値をアピールできることに気づけ、さらにこれまでのお茶への不満も払拭する形のアイディアに変換されていきます。」

敏腕マーケターが実践しているマーケター脳は、様々なビジネスにおいて応用できる。
否、マーケティングこそがビジネスそのものであるともいえるかも知れない。

ぜひ、山本氏の書籍でさらに詳しくそのノウハウに触れてみてはいかがだろうか。

 

『「仕事ができない」と言われたらマーケターのように考える』

 

【著者プロフィール】

 

 

 

 

山本大平(やまもとだいへい)
戦略コンサルタント/データサイエンティスト

2004年に新卒でトヨタ自動車に入社し長らく新型車の開発業務に携わる。トヨタ全グループで開催される多変量解析の大会で優勝経験を持つほか副社長表彰・常務役員表彰を受賞。その後TBSテレビへ転職。「日曜劇場」「SASUKE」「レコード大賞」など、主にTBSの注力番組にてプロモーション及びマーケティング戦略を担当。さらにアクセンチュアで経営コンサルタントの経験を積み、2018年にF6 Design株式会社を創業。トヨタ式問題解決手法をさらにカイゼンし、統計学を駆使した独自のカイゼンメソッドを開発。データサイエンス・AIを駆使した業務改善、マーケティング、ブランディング、および組織マネジメントが得意領域。

これまでにアコーディアゴルフ執行役員CMO、DMM.make AKIBA戦略顧問、BNGパートナーズCMOなど、大手からベンチャーまで数多くの企業の要職を歴任/兼任中。10万部超ベストセラーの『トヨタの会議は30分』など累計著書10冊(海外出版3冊含む)。

 

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