日本のメンズスキンケア市場で絶大な支持を集めるミドル・シニア男性向けブランド成功の秘訣とは?

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メンズのスキンケアブランドはすでに数多く存在し、市場競争もますます激化している。ブランドやSKUの急激な増加に伴い、いよいよ完全にコモディティ製品カテゴリーの様相を呈するメンズスキンケア業界において今後重要になるのは、当然のことであるが“メンズ向け”からより解像度を上げ、“何歳の、どんなメンズに向けたスキンケアなのか”というターゲットペルソナの明確化だ。

メンズスキンケア市場において注目に値するのが、流星のごとく現れて瞬く間にメンズスキンケアブランドのトップに躍り出た、サントリーウエルネスの「VARON」だ。

「VARON」は、2023年度の売上で、長年国民的ブランドの地位を死守してきたいくつかのメンズスキンケアブランドも、コロナ禍以前から盛り上がりを見せつけてきたD2Cのトップブランドをも抜きさり、とうとう悲願の“メンズスキンケア(保湿ケアカテゴリー)売上No.1”の称号を獲得した。

快挙の裏には、いったいどんな秘策があったのだろうか?

 

■メンズスキンケアのメインストリームである「保湿ケア」カテゴリーで売上No.1に

 

 

メンズ向けスキンケア製品といえば専ら美容に関心が高いと見られる若年層をターゲットに据えることが多い中、このブランドは、ミドル・シニア層の男性、いわゆる40代以上の中高年層をターゲットに見据えた。

看板商品であるオールインワンスキンケア商品「VARON オールインワンセラム」が、富士経済「化粧品マーケティング便覧2024 No.2」2023年実績 メンズ整肌料市場の「保湿ケア」カテゴリーで売上No.1を獲得。

初年度の売上は10億円、2023年には売上30億円を達成し、累計体験人数は70万人(※1 2024年5月1日時点)を達成している。

 

■「VARON オールインワンセラム」がミドル・シニア男性に響いた理由

 

「VARON オールインワンセラム」4種 ミニボトル 20mL:2,200円(税込)/レギュラーボトル 40mL:3,300円(税込)/ラージボトル 120mL:8,250円(税込)

「VARON オールインワンセラム」は、化粧水・美容液・クリームを連続で使ったかのような成分浸透を1本で実現するオールインワンコスメ。

コロナ禍でオンラインビデオ会議が定着し、自分の顔を自分で見る機会が増えたことから、美容意識が芽生えた男性が増えたと噂される中、ミドル・シニア世代にもその波が押し寄せているようだ。実際、初回購入者の約半数はスキンケア未経験者やスキンケアに馴染みの薄い層だそう。美容初心者には、普段から酒や飲料でも親しみのあるサントリーブランドのほうが手に取りやすかったようである。

スキンケア成分として使用されている成分も、ウイスキーやウーロン茶に由来し、化粧品成分の知識をまったく持たない層にもとっつきやすい。

ウイスキー原酒の熟成に用いられる樽の木材種の1つである、スパニッシュオークの木材から抽出した当社独自の「ウイスキー樽材エキス(※2)」や、ウーロン茶のポリフェノールパワーを応用し、生き生きとフレッシュな印象に導く「ウーロン茶エキス(※3)」など、“サントリーといえば”の原料由来で、一度聞いたら思わず人に話したくなる。

※2 ヨーロッパナラ木エキス、BG(保湿)
※3 チャ葉エキス、BG(保湿)

 

■家族・友人・知人からの口コミも顕著に後押し

 

好調なのは、「体験者やファンとなったユーザーからの口コミが広がったことも寄与した」とサントリーウエルネスはプレスリリースで発表している。「特に、スキンケア未経験者の方に商品を試していただくには、家族や友人・知人との会話・口コミ・評判がポイントになっています」と、同社の2023年11月実施WEBアンケート調査(30~79歳 男性 N=870)からわかっているそう。

実はVARONは、商品の満足度に加え、「自己肯定感の回復、人や社会との繋がりを充実させ人生の幸福度を高めることをサポートする」との深いコンセプトを持つ。

このコンセプトをさらに広げる販売プロモーションも実に練られている。

例えば、「VARON オールインワンセラム」継続購入者とその家族・友人の “いい表情”をプロカメラマンが撮影し、スキンケアをした男性のいきいきとした姿に対する即時的な周囲の反響が生まれる「写真館イベント」を実施。2024年3月~4月に全国5ヶ所で開催された直近の回では、過去最大人数の約370組が参加し盛況だったという。

2024年3月にオンエアされたCMも一貫したメッセージで展開し、“いい表情”に変わった夫に、妻がポジティブな感情を表現し、夫が自信を新たにするというストーリー展開だ。

 

CMイメージ

 

■今後の展開にも期待

 

今年の父の日周辺にはポップアップストアを西武池袋本店、そごう横浜店で展開するなど、空中戦・地上戦双方でますます認知拡大をはかるVARON。

今後はさらに、他アイテムへの展開なども期待したいところ。ミドルシニアのスキンケア初心者の身だしなみ意識が育っていく過程も、人生100年時代をよりプレシャスなものにする一助となりそうだ。

 

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