米国発。売り上げ前年比2500%を達成したアイスクリーム業界の新潮流を牽引するHalo Top

ヒューレット秦泉寺 明佳 [記事一覧]

愛媛県出身。大学卒業後、広島〜東京〜アメリカと移り住んだフリーランスライター。 通訳、英会話講師など英語スキルを生かした活動も行っています。趣味は料理、ホームパーティー、水泳、ハイキング。各国のユニークな広告やTVコマーシャルのウォッチで一日を費やしてしまうことも。

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【SUMMARY】

 

・アメリカ初の本格ヘルシーアイスクリームとして業界をけん引するHalo Top
・雑誌GQのアイスクリームダイエット特集以降注目度と売り上げが急上昇
・ミレニアルズを中心に支持を伸ばし売り上げ前年比2500%を達成

 

【STORY】

 

 

冷たくて甘いアイスクリームというと、耽溺/Indulgenceをどれだけ感じさせてくれるかが醍醐味と言われていましたが、気になるのはそのカロリーや栄養成分。ダイエット中の人なら、とりわけ避けたいデザートの一つとして挙げられることも多いデザートです。

 

ドラマや映画などでもよく見かける、アイスクリームの1パイントボックスを抱えて直接スプーンで食べるシーンは、アメリカ人がどれほどアイスクリームを愛してやまないかを象徴しています。

 

アメリカのスーパーマーケットのアイスクリーム通路は恐ろしく長く、各ブランドのパイントボックスがずらりと並ぶ姿は圧巻です。

 

 

しかし、近年の国民の健康への関心とヘルシーな食生活志向の高まりから、アイスクリーム業界にも例外なくその波が押し寄せています。そして、その新しいヘルシーアイスクリームの流れをけん引しているのが、" Halo Top "です。

 

 


Picture: Screenshot FOOD & WINE

 

 

昨年2016年に彗星のごとくアイスクリーム業界に現れたニューフェイスは、実はブランドの誕生は2012年に遡ります。

 

同社を立ち上げたのは、元弁護士のJustin Woolverton氏、36歳。プロダクトの誕生は、彼自身が低血糖症による食事制限を設けられていたために、自宅のキッチンでアイスクリームを作り始めたことがきっかけだそうです。

 

 

そして昨年に、同ブランドが大ブームとなるきっかけとなったのは、雑誌GQのライターが執筆した「Halo Topアイスクリームだけを10日間食べ続けてみたらどうなるか」という、アイスクリームダイエットに絡んだ記事がきっかけでした。

 

ローカロリーでプロテインを多く含み、砂糖を控えたヘルシーアイスクリームにも関わらずリアルアイスクリームのような味がするという商品特性をもつHalo Topのアイスクリームは、1パイント丸ごと食べてしまった後でも、" Guilt-free " すなわち " 罪悪感なし " でいられるフローズンデザートとしてもてはやされたのです。

 

 

こうして、ミレニアルズを中心に、フローズンデザートの中で最もインスタグラム映えするアイテムとなったHalo Topの売り上げは急上昇。IRIによれば、昨年2016年度には2880万パイント、額にしておよそ148億5千万円($132.4 million/2017年6月為替レートによる)を売り上げました。これは2015年度の売り上げ66米ミリオンドルと比較して、対前年度比2500%という驚異的な伸び率となりました。

 

この結果、一時は同社のおひざ元であるロサンゼルスを含め、ニューヨーク、はたまたワイオミング州であろうとも、小売店の陳列棚に商品が無い、ストックできないという超品薄状態が発生していたのだそうです。

 

 

さて、業績好調の同社は2017年6月に新しい広告キャンペーンをスタート。悪魔と天使をメインキャストにしたユーモラスな動画がリリースされ話題になっています。

 

 


Source: THE DRUM

 

 

罪悪感なしに食べることができるアイスクリームHalo Topを生み出した天使に対して、悪魔が「罪悪感を感じてもらわなきゃ困るんだよ!」と天界に抗議にやってきます。しかし実のところは、Hola Topの美味しさの虜になっている悪魔。「分析用に使うから」と言いいながら、アイスクリームを小脇に抱えてうきうきと悪魔界へと戻っていくというストーリーです。

 

こちらがユーモラスと話題の同ブランドが現在展開している最新の広告キャンペーン動画です。あわせてご覧ください。

 

" Halo Top - My Territory - Extended "

 

 

アメリカ国民の食に関する関心と健康志向の高まり、生来のお手軽で新しいダイエットが大好きな国民性も相まって、アイスクリーム市場で大躍進を遂げているヘルシーアイスクリームですが、消費者がやはり気になるのは本当に美味しいのかという点です。

 

そこで米ワシントンポスト紙が、実際に被験者に4つの健康志向アイスクリームを食べ比べて、最高評価5ポイント制で評価してもらうテイスティングテストを実施していましたので、そちらをご紹介しておきます。

 

 


Source: The Washington Post

 

 

>Entry Number 1

ブランド:Arctic Zero Fit Frozen Dessert

・フレーバー: Purely Chocolate
・平均スコア: 1
・1パイント当たりのカロリー:150
・特徴:プロテイン3g、グルテン・乳糖フリー、無脂肪、上質なホエイプロテインを配合し、抗酸化物質が豊富な羅漢果を使用。栄養価に優れ、 筋肉の質を改善。
・批評家コメント:
「粉っぽくてひどい」
「デザートの持つ楽しさを台無しにしている」
「このアイスクリームは誰も食べちゃいけない」

 

>Entry Number 2

ブランド:Cado Avocado Frozen Dessert

・フレーバー:Deep Dark Chocolate
・平均スコア:1.05
・1パイント当たりのカロリー:600
・特徴:大豆・グルテンフリー、ヴィーガン、カリウム220mg、植物性難消化性成分4g、パイント当たりアボカド丸1個使用。
・批評家コメント:
「売れすぎた果実がキャノーラ湯の中に浸かっているようだ」
「奇妙な脂っこいバナナチョコレートだ」
「CIAの秘密の毒が盛られているのか?」

 

>Entry Number 3

ブランド:Enlightened‘The Good-For-You Ice Cream’

・フレーバーTriple Chocolate
・平均スコア:1.3
・1パイント当たりのカロリー:360
・特徴:植物性難消化成分5g、プロテイン7g、低血糖、エリスリトールと羅漢果で甘みを出した。砂糖を控えてプロテインを増量。
・批評家コメント:
「チョコレートの味が全くしない」
「クリーミーな触感はまずまずある」
「後味が悪い」

 

>Entry Number 4

ブランド:Halo Top Light Ice Cream

・フレーバー:Chocolate
・平均スコア:2.2
・パイント当たりのカロリー:240
・特徴:植物性難消化成分2g、プロテイン6g、グルテンフリー、人口軟化剤不使用。プロテイン摂取源に良く、ベジタリアンにも優しい。
・批評家コメント:
「すごくココアっぽい」
「体重を気にしている人には良いだろう」
「アイスクリームというよりも、ジェラートのような触感だ」

 

 

ちなみに、上記4つのヘルシーアイスクリームとともに、従来の乳脂肪分たっぷりのアイスクリームもテイスティングしてもらったところ、評価者の平均スコアは3.8ポイントだったそうです。

 

従来の耽溺をもたらしてくれるアイスクリームには及びませんが、ヘルシー志向のアイスクリームの中では一つ頭が抜き出ている感があるHalo Top。売り上げ絶好調の背景には、競合を凌ぐ商品のクオリティもあるようです。

 

 

※Halo Top Official Website
https://www.halotop.com/

 

 

※ニュースソース

※CNBC
http://www.cnbc.com/2017/06/29/halo-top-and-the-future-of-ice-cream.html

※THE DRUM
http://www.thedrum.com/news/2017/06/29/the-devil-becomes-frustrated-with-halo-top-s-sin-free-ice-cream-brand-s-humorous-ads

※FOOD & WINE
http://www.foodandwine.com/desserts/frozen-desserts/

※The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/lifestyle/food/healthy-ice-creams-promise-indulgence-without-guilt-do-they-deliver/2017/06/26/425708dc-5525-11e7-ba90-f5875b7d1876_story.html?utm_term=.fc4558e64b43

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