アメリカ発。大統領選挙を巧みに活用したフロリダズナチュラル&ドリトスのマーケティング
※Picture:Screen shot from CBS NEWS LIVE
昨日2016年11月8日火曜日は、アメリカ大統領選挙の投票日でした。
米各メディアでは、24時間体制の選挙特番が日本時間11月9日の朝にスタートし、投票時間の終了した東部各州の出口調査の結果などを基にした速報から次々と発表され、その大勢がだいぶ判明してきました。
今回は、大統領選挙及び開票当日にちなんで、今回の選挙を上手に活用したマーケティングキャンペーンや選挙広告をご紹介します。
以前に、こちらの海外マーケティング最前線では、ファミリーレストランのBob Evans/ボブエバンスが実施した"ソーセージ選挙"をご紹介しました。
※アメリカ発。大統領選挙イヤーにもう一つ注目の選挙戦!?アメリカ人が好む朝食のソーセージは?
https://nipponmkt.net/2016/09/20/sugoipr-165/
アメリカでは政治家だけでなく俳優、歌手、文化人など著名人が、特定の候補者への支持を表明し、積極的な応援活動にあたったり、ソーシャルメディアなどで政治や選挙に関する投稿をしたり、投票を呼び掛けたりすることは珍しくありません。
また、学生も含めて一般の人々も熱心に選挙スタッフとして活動する人も多いですし、そんな人々を、遠巻きに見たり偏見をもったりということはありません。
選挙が間違いなく国民的一大行事であり、最大の関心事である(イベントでもある)アメリカだからこそ、様々な取り組みやドラマが生まれています。
企業やブランドのマーケティングでは、どちらかの政党や候補者に肩入れした姿勢が読み取れる広告やキャンペーンはほぼありませんが、彼らなりにこの注目度の高い選挙を上手に活用しています。
そのいくつかの事例をご覧ください。
まずご紹介するのは、オレンジジュースブランドの'Florida's Natural/フロリダズナチュラル'が行っているマーケティングキャンペーンです。同ブランドが展開しているのは、
“The Great Pulp Debate”
と称した、「オレンジジュースにつぶつぶ果肉(Pulp)は必要か、不要か?」 という究極の命題について議論をし、投票をしようという企画です。
Picture:Screen shot from The Stable
同ブランドが賢かった点は、キャンペーンの拡散を高めるため、人気動画サイトの'FUNNY OR DIE'とチームアップ。そしてFacebook Liveを用いて、そのディベートの模様をライブ中継したという点です。
去る10月24日にライブされたディベートの模様がこちらです。
" 1 Florida's Natural Great Pulp Debate FB Live Debate "
こちらの模様は、11月2日時点の集計で30万9,000ビューを獲得。この時にディベートを放送しながら、同時に視聴者からの投票を受け付け結果を表示していたのですが、それはFacebook Liveとして初の試みだったのだそうです。
この他にも、グループディベートの模様や2度のディベートについてニュース番組のように分析した模様の2つの動画も放送され、それぞれ12万3000ビュー、8万3000ビューを記録しました(いずれも11月2日時点)。
ディベートのライブ中継以外では、クイズ形式であなたがパルプ派かNOパルプ派なのかを判断できる'The Great Pulp Propensity Quiz'を準備。ユーモラスなクイズは解答するのも楽しく、その結果をついついシェアしたくなります。
Picture:Screen shot from FUNNY OR DIE
※The Great Pulp Propensity Quiz
http://www.funnyordie.com/articles/df73bb1e32/florida-s-natural?_cc=__d___&_ccid=188891dd4367a2b2
気になる投票の結果は、大統領選挙前日の11月7日に発表され、勝者は36%の支持を得た“most pulp/つぶつぶたくさん”派に決まりました (“some/そこそこつぶつぶ”派と“no/パルプ無し”派は32%で同率に)。
続いてご紹介するのは、人気スナック菓子の'Doritos/ドリトス'の行ったマーケティングキャンペーンです。
“Doritos No Choice”
と名付けられたキャンペーンでは、選挙に行かない、投票をしない、興味がない人たちをターゲットとして据え、彼らに投票をしないということはどういうことなのかをユニークな方法で訴えました。
Picture:Screen shot from Creativity Online
ドリトスは、通常のパッケージ(ナチョチーズ味は赤、クールランチ味は青)とは違い銀色でフレーバー表記などのないドリトスバッグに段ボール紙で作ったドリトスを詰め込んだ偽ドリトスを準備しました。
そして、カレッジのキャンパスなどへ、見た目には通常のドリトスの自動販売機を設置。生徒たちが自動販売機に近づくと、いつもの自動販売機にはなかった、「あなたは選挙人登録をしましたか?していませんか?」という問いが画面に表示されます。
いずれかの答えを選ぶと、ナチョチーズ味かクールランチ味を選ぶ画面へと変わります。そして、出てきた商品にびっくり!「選挙人登録をしていない」と答えた人には、銀色のパッケージで中身は段ボールのドリトスが出てくるのです。
カレッジの生徒たちがドリトスの仕掛けにはまり、驚き、学んでいった模様はこちらでご覧ください。
" Introducing Doritos® No Choice "
https://youtu.be/XGZw50ACcys
最後にご紹介するのは、番外編。
デンマークで登場していたアンチトランプを打ち出したラッピングバスです。
アンチトランプのメッセージを打ち出した広告やデモンストレーションは、今回の選挙期間中を通してアメリカ本国のみならず世界各地で様々なものがありましたが、こちらもなかなかユニークです。
Picture:Screen shot from ADWEEK
このバスは、The Socialist People's Party (デンマークではThe Socialistisk Folkeparti(略:SF))が、クリエイティブエージェンシーのUncle Greyと組んで仕掛けたものです。
デンマークには8714人の選挙権を持つアメリカ人が住んでいるそうです。"American Abroad Vote"と記載されている通り、在デンマークのアメリカ人に一票の大切さをリマインドし、投票を呼び掛けるということが最大の目的なのだとか。そうは言っても、バスが動くとともにスピンし続けるクレイジーさを感じさせるトランプ氏の目玉のビジュアルからは、彼が大統領となった場合のリスクもしくは恐怖を訴えているようにしか見えませんよね。
いかがでしたか?
次回こうした企業・ブランドや団体による大統領選挙にちなんだマーケティングキャンペーンがみられるのは、おそらく8年後(もしくは4年後)。その時は、今回の大統領選の結果やキャンペーンをどのように振り返るのでしょうか。
ニュースソース
※The Stable
http://www.thestable.com.au/pulp-or-no-pulp-merkley-partners-upstages-the-other-us-debates/
※Vox
http://www.vox.com/policy-and-politics/2016/10/28/13441552/verdict-whedon-save-the-day
※ADWEEK
http://www.adweek.com/adfreak/denmark-rolls-its-eyes-us-election-hilarious-anti-trump-bus-ad-174299
※Creativity Online
http://creativity-online.com/work/doritos-no-choice/49190
※abc
http://www.abc.net.au/news/2016-09-22/us-celebrities-criticise-trump-in-video/7869410