26
みんなが喜んでくれる投稿を、コツコツと続けていく
26
みんなが喜んでくれる投稿を、コツコツと続けていく
彼女のfacebookページのいいね!数は現在約71万。今のファン層を分析すると、うち日本人が9割。メインは彼女の実年齢に近い20代後半の女性で、男女比は6:4で女性が上回っているという。
「とはいえ、いいね!を増やす努力はほぼ何もしていなくて、他のページも特に意識していません。Facebookページでいえば、考えているのは『いい投稿をする』ということだけです」
facebookページの他、ブログも定期的に更新。ブログでは対照的に主観を出し、これまで行った所の印象や個人的な思いを綴る。そして書籍は、昨年までに自著を3冊リリース。今後も「年1冊ぐらいのゆっくりしたペースで」出していくつもりだという。また、昨年初めて製作した壁掛けカレンダーは、
「そのうち一つが、旅行会社と行っているツアープロデュース。例えば最初にお話したイタリアのランペトゥーザ島のツアーについては、視察から始め、交通インフラや周辺のレストラン、ホテルなどを調査。細かいところではパンフレットの作成まで、トータルで手がけました。旅行会社さんとの取り組みは他にも、ゼロからすべてプロデュースする場合もあれば、場所などはある程度決まっている場合もあり、お仕事の形態はさまざまです。
また、スポット的なプロジェクトも。例えば昨年10月に、ネスレ日本さんとコラボレートさせていただいた『死ぬまでに行きたい!絶景オーロラカフェ』というプロジェクト。これはもともと『絶景で何かやりたい』という、ざっくりとしたオファーからの始まりでした。最初は、カフェに絶景の写真を展示しよう、というイメージで考えていたものの、どうも面白くない。そこで、コンセプトと世界観をあらためて練り直していきました。
考えたのがまず、コーヒーは寒い時に飲むとおいしいよね、ということ。そこでテーマをオーロラに特化することに。めったに見ることのできないオーロラの映像を眺めながらコーヒーを飲むカフェを、2週間限定で開店しました。裏話ですが、企画が決まった翌日、すぐさまカメラマンさんにカナダへ飛んでもらったんです。そして4K動画でオーロラを撮影していただき、帰りの飛行機で編集して翌週流すという強行スケジュールでした(笑)。でも、反響は大きく、行列ができるほど大好評。本当によかったです」
他には、マネースクウェア・ジャパンさんの書籍『かけがえのない旅のつくりかた』の監修をさせていただきました。この9月にリリースしたのが第一弾で、ニュージーランドの3都市を巡る旅のガイド本になります。こちらは第四弾まで予定されていて、以後オーストラリア、トルコ、南アフリカ編が順次リリースされる予定です」
マネースクウェア・ジャパンはFX取引などを手がける金融企業。彼らがなぜ、旅の書籍を作るのだろうか。
「FXというとややリスキーな面もありますが、この4カ国は利息がとても高い国。そのため、ハードな運用をしなくても、その国の通貨を持って自動システムで運用するだけで、少しずつ、堅実にお金を貯めていくことができることが多いのです。そのためコンセプトは投資というより『これらの素晴らしい国を旅行するための旅費を、その国の通貨でFXすることで稼いでみたらどう?』というイメージ。要は『FXで貯めたお金を楽しく、有意義に使おう』という提案をすることで、新規のFXユーザーを開拓することが狙いです。この本については、私は写真の配置や余白の取り方を提案するなど、著者ではなく監修として参加しています」
絶景を使って何かをプロモーションしたい、企画をしたい。そう考えた時に、遡及するターゲットに対して何をすれば刺さるのか。それを考察し、絶景の"使い方"を提案する。そんな仕事が今、増えつつある。
■このfacebookページは、71万人の皆さんと一緒に作っていくもの。
さまざまな活動を行う中、ゆっくりしたペースで徐々に進めているのがウェブサイトのリニューアル作業。今後は、絶景の写真投稿サイトにしていこうと考えている。
「私のところには、
彼女のスタンスはいたってマイペース。すべきと思ったことだけをする。逆に言えば、すべきではないと思うこと、彼女でなくてもできることは、しない。そのスタンスは発信する仕事でも書籍作りでもクライアントのいる仕事でも、基本的に変わらない。
「将来の夢は? と聞かれることがよくあるのですが、基本的には「将来の夢はない」とお答えしています。未来のイメージは正直ずっとなくて、今もありません。今、私がすべきと思っているのは、私がしたいことよりも、まずはfacebookページを見て下さる71万人の方々が求めることの実現です。なぜならこのページは私一人が自分勝手に作っているものではなく、71万人の方々と一緒に作り上げていくものだから。みんなが受け取りやすく、喜んでくれる情報の発信を、コツコツと続けていきたいです。続けることにこそ、何より大きな価値があると思うので」
自分のしたいことよりも、まずは支持してくれる人達のニーズありき。詩歩さんはそんなスタンスで今だけを見すえ、多くの人との共感を、今日も一つ一つ積み上げていく。
(終わり)
1990年静岡県浜松市出身。早稲田大在学時代は環境問題に関心を持ち、大学2年で初めての海外への一人旅を経験。
2012年に卒業後、インターネット広告を扱う広告代理店に入社。新卒研修で制作したfacebookページ『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』がオープン1年で45万を超えるいいね!を獲得して話題になり、在職中に同名の著書を出版。2014年3月に退職し、フリーランスに。現在は71万人を超えるいいね!数を誇る同Facebookページをベースに、多彩な活動を続ける。著書に『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』『死ぬまでに行きたい!世界の絶景 日本編』『死ぬまでに行きたい!世界の絶景 ホテル編』がある。
※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです