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専門性の高い10のメディアを支える、独特のシステムとは?

冨田 和成 とみた かずまさ さん (株)ZUU 代表取締役社長

Part.2

 

■専門家を細かく指導し、質の高い記事をスムーズにアップ。

ZUUが展開する10のメディアで、コンテンツは基本的に無料提供される。その仕組みの中、彼らはどのように収益を上げているのか。

 

「私達のメディアには、お金への関心が高い資産家層が集まっています。私達は現在展開するメディアを通じ、彼らを金融機関や不動産会社へと送客しているのです。これを『送客課金ビジネス』と呼んでいます。

例えば、そろそろ資産運用をしてみようと考えた方が、私達のメディアから証券会社に飛んで口座を開設したり、不動産売買に関する資料請求をする。私達はそれに対し、送客先からお金をいただく。そういった構造で、今はこれが収益のベースになっています。現在のまま行けば、このビジネスモデルをベースに来期IPOできると予測しています」

 

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また、彼らの大きな特徴はメディア運営体制にある。実際のコンテンツ制作すなわち記事の執筆・校正は、外注のライターと校正者に委託。彼らとのやり取りの多くはクラウドコンピューティング化されており、ZUU社内にある編集部は企画、そしてライターへの記事の方向性提示に専念する。

 

「要は社内では企画に専念し、編集部はオペレーションを中心に行うということです。私達が世に送り出すコンテンツは、お金に関する専門性の高い記事。決して誰にでも書けるものではありません。記事の質を保つ上でも、外注しなくては成り立ちません。

ゆえに、会社を立ち上げた当初は社内で記事制作を行うことも考えたのですが、それよりもオペレーションを中心に行い、記事制作は専門のライターに委ねるという体制を築いてきました。

今お願いしているライターさんは、お金に関する専門家ばかり。最初のころは専門家でない方にもお願いしていたのですが、記事の内容が間違っていたり、『わかっていない人が書いているよね』といった指摘を受けることがあった。そのため、執筆は専門家経験のあるお金のプロにお願いし、私達は彼らへの方向づけや、文章内容に関するサポートに専念するようになっていきました。

この体制ができ上がったことで、今は合計600人のライターさんにお願いし、毎日2030本、月間で600900本のコンテンツをアップできるようになりました。おかげ様でお金に関するコラム系メディアでは、ナンバーワンと肩を並べるレベルまで来ることができたと実感しています」

 

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■ハイペースな記事配信を支える「鬼速PDCA」

 

 展開するのは、金融のプロが執筆するハイクオリティな記事。とはいえ実際は文章も長すぎず、読みやすくするための数々の工夫がなされている。

 

「前回語った通り、まず読ませるために大切なのは親しみの持てる企画作り。そして、文章の長さを的確なレベルにすることです。以前はSEO対策を重視しており、各コラムで本文量を2000文字以上取っていました。しかしその結果、全体に間延びして読みづらい印象になってしまった。そこで試行錯誤しながら、文章をシンプルでコンパクトにして、よけいな情報を入れないようにしました。結果、もちろんある程度の専門性はあるのですが、読みやすくなり、決してお金に詳しくない人でもわかる内容になったと思います。

ちなみにどんな記事でも、執筆いただく際、基本構成はこちらで決めます。コラムに関しては、序論・本論・結論、起承転結といった流れの中で、例えば『序論のこの部分はこういう内容で、これぐらいのワード数にして下さい』というように、ライターさんに対して事細かに方向性を指示します。

企画内容と構成を支持する編集者と、書き手であるライター。この関係の中で最も非効率なことが、方向性の違いによる書き直し。編集者の指示が曖昧だと、切り口と方向性のずれたテキストがライターさんから上がってきてしまうことがあるのです。

それを避けるためにも、私達は事前に企画タイトルと細かな構成案を作り、ライターさんに提示しています。こちらは構成案を作る分、手間はかかります。でも書き手と方向性がずれることがないので、書き直しは発生しにくくなる。その結果、トータル工数は確実に減る。

今はそのスタイルがさらに進化し、ライターさんに50~100文字ぐらいの長めのタイトルを提示するようになりました。通常、Googleのインデックスが28文字ですから、倍もしくはそれ以上ですね。それを渡すことで、ライターさんが企画内容をより深く理解してくれるようになりました」

 

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コンセプトを明確に示した長めの仮タイトルを提示することで、ライターの記事執筆が明らかにスムーズになった、という。そういった彼らの優れたオペレーションを支えるもの。その一つが「鬼速PDCA」という考え方だ。

 

「大切なのは、どれだけPDCAサイクルを速く回せるか。僕らは毎日、さまざまな壁にぶつかります。そこで、どうすれば課題を解決できるかを考える。そしてそれを実行し、その効果を検証する。そのプロセスは多くの会社では、週一度のサイクルで回っている。でも、僕らはそれを2分の1週で回しています。

一般の会社ならば、例えば週一度、1時間のミーティングをする。そう仮定し、僕らは30分の『半週ミーティング』を週2回行い、その都度、問題解決のためのアウトプットを示すことにこだわっています。問題解決のスパンを1週間ではなく3日間にして、その間でどういうソリューションを提示できるかを考える。これが鬼速PDCAです。

そこで出た改善策を僕らは『なるほど』と呼び、『なるほどシート』を作成。それを全員で共有しています。一人一人の担当分野におけるなるほど(気づき)を言語化し、それを知見としてストックするためです。業務に追われるだけではなく、振り返る時間を常に作る。そして、再び同じ事態が起きた時に、そのなるほどを再現する。これが狙いですね。 このなるほどシートを、半週ミーティングで全員が5つ以上提出することを義務づけ、それをジャンルごとに区分して管理。その結果、社内に膨大な量のノウハウが蓄積されていくのです

 

そんな独特のシステムに支えられ、順調な成長を遂げるZUU。
次回は冨田さんのキャリア、そして今後の方向性について掘り下げていく。


プロフィール
冨田 和成

冨田 和成 とみた かずまさ

(株)ZUU 代表取締役社長

1982年神奈川県出身。一橋大在学時にソーシャルマーケティングにて起業。
大学卒業後は野村證券に入社。支店営業にて同年代のトップセールスや新規開拓や総収益の最年少記録を打ち立て、最年少で富裕層向けプライベートバンク部門へ異動。
その後、東南アジア駐在やビジネススクールへの留学、超富裕層向け事業承継や資産運用・管理などのコンサルティング事業を手がける。
2013年3月に野村證券を退社し、同年4月、株式会社ZUUを設立し、代表取締役社長に就任。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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