LOVE(LUV)にこだわり続けたサウスウェスト航空が、35年にわたるダラス・ラブフィールド空港での戦いに勝利|スゴい★PR《世界のマーケティング最新事例》
LOVE(LUV)にこだわり続けたサウスウェスト航空が、35年にわたるダラスラブフィールド空港での戦いに勝利|スゴい★PR《世界のマーケティング最新事例》
読者の皆様、こんにちは。
今回は、アメリカでも最優良の航空会社、最強のLCCと言われて人気の、 「Southwest Airlines/サウスウェスト航空」の取り組みを紹介したいと思います。
Picture:Screenshot of Southwest Airlines Facebook Page
テキサス州ダラス、「ラブフィールド空港」を本拠地とする、「Southwest Airlines/サウスウェスト航空」は、1967年3月に設立、1971年6月から、 たった3機のボーイング737型機を使用して運航を開始しました。
しかしその後、アメリカの航空自由化政策を追い風に、自力で路線拡大や 小さなエアラインの買収などを繰り返し、現在では全米全土に路線を展開、 さらには国際線も運航する一大エアラインに成長しています。
ちなみに、国際線の運航開始は、この2014年の7月1日に開始されたばかり。
同社も、記念すべき国際線1号機のジャマイカ便に搭乗した利用客とともに、 ホームページやSNSなどで、その大きな喜びを表現していました。
Picture:Screenshot of Southwest Airlines Facebook Page
定時運航率の高さ、手荷物紛失や遅延の少なさ、客室乗務員やスタッフの フレンドリーな人柄、航空運賃の安さ、顧客からのクレームが 圧倒的に少ない(10万人につき0.25%)など、アメリカでは大人気の同社 ですが、同社が今日の一大航空会社に成長する過程には、実は大きな足かせ があったのです。
それが、
「The Wright Amendment/ライト修正法」
と呼ばれる、ダラス・ラブフィールド空港から直行便の運航を行うこと ができる目的地を、テキサス州内と隣接州に制限した法律です。
この法律は、1979年に制定され、その後1997年、2005年にそれぞれ一部緩和、さらに2006年にはこの制限を撤廃する法律が新たに制定されました。
この法律が制定される前段階としては、1960年代初めごろから、アメリカ連邦 航空局は、当時既に存在していた2空港、テキサス州ダラスのラブフィールド 空港や、同じく同州フォートワースのグレーターサウスウェスト国際空港では、 将来の航空需要に対処できないとして、この2空港への補助金の提供を停止 することを決定したということがありました。
またこれを受けて、アメリカ民間航空委員会は、新たに2都市共同の空港を 設置することを命じたため、1974年にダラス・フォートワース国際空港が 開港しました。
各航空会社は、新しい国際空港の事業を軌道に乗せるためにも、旧空港から サービスを移動させることに同意・協定に調印していたのですが、実は サウスウェスト航空が設立されたのはこの協定への調印が行われた後 だったのです。
新空港側は、それでもサウスウエスト航空に、空港利用料を払い、新空港 建設の設備資金の調達に動くようにと要求したのですが、サウスウエスト 側は、
「利用者の利便性に応えられる都市に近い空港に発着しているものを、 わざわざ遠く離れた新空港へ移転することは理にかなわない」
とし、新空港の開港が近くなったとき、他の航空会社のように、業務を新空港に移さず、もともとのラブフィールド空港で業務を続行すると 宣言したのでした。
と、「ライト修正法」とサウスウェスト航空の関係についての説明が長く なりましたが、「顧客を大切にする」姿勢でも評価の高い同社は、強い逆風の中、1979年以来、同空港からはテキサス州内、および近隣州の空港 (ルイジアナ、オクラホマ、アーカンソー、ニューメキシコ)にしか 直行便が飛ばせないという悪条件の中でも、利用者の利便性のために 業務を続行し続けてきたのです。
そしてついに、同社の35年に渡った孤独なダラス・ラブフィールド空港 での戦いに幕を下ろす時が、今年の10月13日にやってくるのです。
2014年10月13日に、ライト修正法が期限切れ・撤廃となることで、全米の 各主要都市(15都市からスタート)への直行便を、ラブフィールド空港から飛ばすことができるようになります。
Picture:Screenshot of Airliners.net
そこで、同社が現在展開しているのが、
「All You Need Is Love(LUV)/愛こそすべて」
というPRキャンペーン。
Picture:Screenshot of Southwest Airlines Facebook Page
同フレーズは、ビートルズの名曲のタイトルとしてもお馴染みですが、今回の PRでは、この曲を、「Echosmith」というアーティストがカバーしたものを テーマソングに用い、コマーシャル動画などを制作しています。
これらの動画は、ダラス・フォートワース国際空港などでも盛んに流され、 ダラス中心部からより利便性の高いラブフィールド空港発各都市行の サウスウェスト航空の新路線を利用客にアピールしています。
そして、これらの動画がなかなか秀逸で、心を動かすと、既にネットなどでも高評価になっています。
※LOVE MOMENT
※FIREWORKS
※SEVENTH-INNING-STRETCH
※WATER CANNON
実はサウスウェスト航空の「LOVE/愛」の関係はとても深く、同社のシンボルマークにもハートが使われています。
Picture:Screenshot of Southwest Airlines Facebook Page
また、同社の2004年に就任したCEO、ゲイリー・ケリー氏は以下のようにコメントしています。
"Love is part of the fabric at Southwest Airlines,"
「愛はサウスウェスト航空の一部なのです」
"Love Field is our headquarters in Dallas. LUV is our three-letter symbol on the New York Stock Exchange. It's a word that we're not embarrassed to use about how we feel about the company, our employees and our customers."
「ラブフィールド航空は、我々のダラスの拠点であり、「LUV(=LOVE)」 は、NY株式市場での我々を表す3文字でもあります。そして「愛」という 言葉は、私たちの、サウスウェスト航空、その従業員、そして私どもの顧客に対する思い を、臆することなく表現してくれる言葉なのです。」
長年にわたり、そのダラス・ラブフィールド空港への「愛」を貫いてきたサウスウェスト航空、今後も他の大手航空会社を尻目にした独自の路線と、 「愛」に溢れた精神で、より良い航空会社であり続けて欲しいものですね。
※ニュースソース
※Denverpost.com
http://www.denverpost.com/ci_23241159/southwest-ceo-says-all-you-need-is-luv
※ALTER the PRESS!
http://www.alterthepress.com/2014/05/echosmith-cover-beatles-for-southwest.html
※Airliners.net
http://www.airliners.net/aviation-forums/general_aviation/read.main/6085390
※ADWEEK.com
※Nuts About Southwest
http://www.blogsouthwest.com/video/southwests-international-future-isnt-near-its-here/