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“ソフト”を重視して建築や不動産をプロデュースする

関口 正人 せきぐち まさと さん (株)THINK GREEN PRODUCE 代表取締役

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TABLOID」「MIRROR」「THE TERMINAL」「GARDEN HOUSE」といったさまざまな施設、店舗のプロデュースやブランディングと完成後のオペレーションの他、ファッション、フードなど、さまざまなプロジェクトを多角的にプロデュースするTHINK GREEN PRODUCE代表の関口正人さん。気鋭のプロデューサーの考える快適なライフスタイルとは、どのようなものなのか。そしてこれからのマーケットをどう捉え、より高い価値作りにつなげていくのかについて、話を聞いた。

文=前田成彦(Office221) 写真=三輪憲亮


Part.1

 

■「土地にある物語」を生かして作られた「GARDEN  HOUSE

 

  由緒正しい観光地でありつつ、ナチュラルでオーセンティックなライフスタイルが根づく鎌倉。そんな街に一昨年誕生した「GARDEN HOUSE」は、築50年のアトリエと緑豊かな庭、そしてガーデンテラスからなる商業施設である。ゆったりした空気が流れ、今の世に失われつつある温かみや繊細さ、そして、そこはかとない懐かしさを感じさせてくれるこの場所をプロデュースしたのが、株式会社THINK GREEN PRODUCE代表・関口正人さんである。。

 

「ここはもともと、隣にあるスターバックスの敷地も含めて、横山隆一さんという著名な漫画家さんのご生家だったんです。GARDEN HOUSEは、横山さんが漫画を描かれていたアトリエでした。アトリエのある庭には大きな桜の木が2本とビワの木がなっていて、春になり桜が咲くと、横山さんをたずねてさまざまな方がやって来て、美しい庭を楽しみながらパーティをしていたそうです。それならば、皆さんに愛されたこの庭のストーリーを再現しよう、という考えがベースです。ただし再現といっても、あくまで今風に、というのが前提ですが。

土地には必ず、何かしらの歴史、物語、そしてにおいがある。それをいったんまっさらにして、完全な新しいものとしてゼロからスタートする考え方も確かにあります。でも、歴史や物語は強いものであり、地域にとって大切なもの。できることならそれを生かしていきたい。しかし、それだけではダメ。大事なのは継続。すなわち、ビジネスとして成立していなくてはならない。ですから収益化もしっかりと意識して、コンセプトワークと業態開発を進めていきました。

 

★GARDEN HOUSE06
「GARDEN HOUSE」、鎌倉を代表する文化人・漫画家、横山隆一氏のアトリエを、当時の趣を残しながら、レストラン、ゼネラルストア、グリーンショップを併設した店舗にコンバージョン

 

まず、コンセプトが『庭のある家』ですから、ネーミングは『GARDEN HOUSE』。そして、人が集まるということを今の時代に置き換えると、レストランだろう。そして庭を緑で彩る存在として、グリーンショップを入れよう。そして、たくさんの人が来るならばお土産を持って帰ってもらいたい。だからギフトショップを作ろう。そんな流れで、レストランとグリーンショップとギフトショップの複合業態を考えました。そして、そこに僕なりの鎌倉の解釈を加え、「ノーザンカリフォルニア」という裏テーマを設定。リノベーションにおけるデザインやフードのディレクションを、サンフランシスコを意識して行っていきました。

当時は庭も荒れ果てていて、建物も老朽化が進んでいましたからもともとは住宅用途だったアトリエに多くの補強を加え、商業施設として成り立つようにするには苦労も多かったです。正直、ただビジネスだけを考えたら、壊して建て直す方がずっと早いし、コスト面の負担も少ない。でも、横山さんのアトリエに流れていた温かみのある空気を、多少形を変えても継承していけたらうれしい。僕は、そういったビジネスをしていきたいんです

 

★page
地産地消、ローカルカンパニーとの取組み等、これからの観光産業を考え、「人」と「街」を繋げる街のアンバサダーとしての存在を目指す。
■本当に壊すべきなのか、作るべきなのかを、循環性を意識して考える。

 

 関口さんが代表を務めるTHINK GREEN PRODUCEでは、「TABLOID」「MIRROR」「THE TERMINAL」といったさまざまな施設、店舗のプローデュスやブランディング、オペレーションの他、デザインやフード、ファッション、音楽などライフスタイルをトータルにとらえ、建築などハードの作り込みからでき上がった後の運営まで、建物の価値向上、維持継続のためのさまざまなコンサルティングとサービスを行う。その根底にあるのは「都市における建築物は、社会における貴重なストックであり、財産である」という考え。
ライフスタイルの変化により、建物の建築サイクルは本来の耐用年数よりも短縮。価値が見出せなくなった建物は、また新たなものへとスクラップ&ビルドされ、よりスピードを増したサイクルへと移行していく。この繰り返しは資源のムダ使いであり、環境面での悪影響も多い。THINK GREEN PRODUCEという会社名には「永く価値が続くモノ作りをしていきたい」という思いが落とし込まれている。

 

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「これからは人が減る→しかし建築物は余る、というサイクルに入ります。本来は、人が減るのですから建築物も減るべきです。でも経済活動は逆行していて、不動産ディベロッパーは『人が減るから、より新しいものを作り、売っていこう』と考える。これは自己矛盾にもつながりますが、モノ作り=環境をすり減らすこと。それがスクラップ&ビルドとなると、なおさらです。これからは、作るならば本当に必要なものなのか、壊すなら壊すべきものなのかを、循環性を意識した上で考えていく必要がある。

THINK GREEN PRODUCEという社名には、GREEN=緑という直接的な意味合いだけでなく『環境に配慮したプロデュースをしよう』という意味合いもあります。そして、その考えを不動産開発やリノベーション、コンバージョン、街作りに生かしていくためには、ハードだけでなくソフトも必要。つまりデザインだけでなく、コンテンツ、オペレーションが重要なんです

 

そんな関口さんの思いの根底にあるものは何か。それを次回、キャリアという側面から見ていこう。

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プロフィール
関口 正人

関口 正人 せきぐち まさと

(株)THINK GREEN PRODUCE 代表取締役

1972 年5月10日東京都出身。大学を卒業後、財閥系不動産会社勤務を経て、都市デザインシステムにてコーポラティブハウス事業のコーディネーターとして多くの プロジェクトに携わり、その後、鎌倉の七里ヶ浜にある複合施設「WEEKEND HOUSE ALLEY」全体のプロデュースを行う。
2008年3月に株式会社THINK GREEN PRODUCEを設立。以降、東京都港区海岸にあるクリエイティブスポット「TABLOID」を始め、「MIRROR」「THE TERMINAL」「THE SCAPE(R)」「ANIMA」「GREEN SMOOTHIE STAND」、2012年10月には、鎌倉の複合施設「GARDEN HOUSE」をプロデュース。
建築物の他、ファッションやフードなど、さまざまなジャンルでのプロデュース、ブランディング、オペレーションを行う。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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