町全体がホテルという斬新さ!おしゃれすぎるhanareに突撃してみた

三科 友理香 [記事一覧]

ZEKKEI Japan編集長。 マーケティングPR会社のトレンダーズ入社後、女性と企業を繋ぐマーケティング事業に携わる。新規事業(女性向けプレゼントサイト)の立ち上げや若者向けにトレンドを発信するソーシャルトレンドニュースの責任者を経験した後、昨年から新規事業ZEKKEI Japanの立ち上げに従事。過去に、NHKラジオ番組にレギュラー出演し、トレンド情報を発信していた経験もあり。

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Vol.2
「インバウンドの今!話題のゲストハウスに泊まっている外国人に聞いてみた」

 

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2回目は、2015年11月にオープンしたばかりのhanareさんを訪れました!
hanareは谷中のまちを活用した、ネットワーク型の宿泊施設。普通のホテルは、1つの建物の中に宿泊、風呂、レストランなどのさまざまな機能があると思いますが、hanareはその名の通り、そういった機能が谷中のまち中に点在しています。ロビー・レセプション・朝食のカフェはHAGISOにあり、宿泊棟は独立した別の建物、大浴場はまち中の銭湯、レストランはまちのおすすめの飲食店、文化体験はお稽古教室、レンタサイクルは自転車屋さん、お土産は商店街で……というようにまち全体を大きなホテルに見立てているんです。HAGISOは築60年の木造アパートを改修した「最小文化複合施設」。ホテルのカフェ・レセプションだけでなく、ギャラリー、レンタルスペース、設計事務所も兼ねています。
(※今回hanareはゲストハウスとしてご紹介しますが、相部屋やリビングなどで他の旅行者と交流が出来るタイプの宿ではありません。広義のゲストハウスとしてとりあげています)

まずは、HAGISO代表・宮崎さんにインタビューしました。

 

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―谷中のまち全体をホテルに、というアイディアがとても斬新で面白いですが、このアイディアはいつどのように生まれたものなのでしょうか?

 

以前私がローマを訪れた際の経験がもとになっています。ローマ駅近くの安いホテルを予約した時のこと。このホテルはアパートメントの一室がレセプションになっていました。最初にチェックインし、続いてスタッフの方が部屋に案内してくれたのですが、まずはそのアパートを出て、数ブロック歩きます。宿泊する部屋は、全く別のアパートの一室にありました。そのホテルにはレストランもありません。ホテルスタッフの方が「あのカフェのエスプレッソはおいしいよ」と教えてくれて、まちの中のカフェやレストランを利用するスタイル。地元の住民と一緒に地元のお店に通うことで、まるでそこに住んでいるかのような体験ができました。

実はイタリアの地方部には、宿とレストランなどの機能が分離した、「Albergo Diffuso(アルベルゴ・ディフーゾ)」というシステムがあります。アルベルゴ・ディフーゾとは、「点在して広がる宿」という意味。過疎化した農村の空き家や地元のレストランを宿泊施設にすることによって空き家問題を解決しつつ、村を活性化しているんです。

 

―なるほど、イタリアにはそのような事例があるんですね。宮崎さんがこれを日本で始めようと思ったのはどういったきっかけでしょうか?

 

一級建築士である私は、谷中に住んで10年。谷中の古くて大切な街並みを残していきたいという思いを強く持っています。もともと住人として住んでいた木造アパート「萩荘」を改修し、2013年3月から「最小文化複合施設」としてリノベーションした「HAGISO」というプロジェクトをやっていました。さらにこれを進化させて、谷中のまちを知ってもらい、残していくということを考え、アルベルゴ・ディフーゾのような構想を持ちました。特に、まちの銭湯をきちんと守っていきたいという気持ちがありました。以前にHAGISO近くの銭湯が解体されてしまったことがあり、地元住民はとてもショックを受けました。銭湯はまちの風景や景観を形成するシンボルとして、重要な価値があると思っています。

 

―泊まっているのはどんな方が多いですか?

 

今は日本人が7~8割で、外国人はそんなに多くないですね。いわゆる予約サイトを通じて欧米や香港の方が宿泊しています。

 

―外国人の方が期待されている、また、実際に来て喜ばれるポイントはどんなところでしょうか?

 

パッケージではなく、リアルな生活環境を楽しみたいという方がいらっしゃっています。まちの中にあるオーセンティックなものを楽しまれていますね。逆に言うとそういったものが好きでないと楽しめないでしょう。ゲスト同士というよりは、谷中のまちの人との交流を楽しんでもらいたいと思っています。

 

 

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hanareのコンセプトは新しくて示唆的。まちおこしやコミュニティに関心がある方々がよく視察のため泊まりにきているそうです。それでは、ゲストにもインタビューしたいと思います。

一人目は、ハワイ出身アメリカ人のClariceさん。

 

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―日本に来たのは何回目ですか?

 

10回以上は来ていますね。初回は1977年に父親とツアーで来ました。ここ6年は、年に1~2回は来ていますね。航空会社に勤めていたので、旅行はしやすい環境でした。私はハワイと日本のクォーターなんです。おじいさんが日本人。山口と熊本にいとこがいますよ。
東京と京都が好き。中でも特に私は谷中というまちが好きです。伝統的なものと現代的なものが混ざっているのがとても魅力的で、静かでリラックスできます。近くによく泊まっていますが、今回hanareには初めて泊まりました。

 

―今回日本に来た目的は?

 

東京ドームでおこなわれた、第15回東京国際キルトフェスティバルを見に来ました。昨日行ってきましたが本当に広かったです。展示会だけでなくて、販売も同時に行われています。バッグとかタペストリーとか、洋服とか。このフェスティバルは国際的に有名で、アメリカやオーストラリアではツアーが組まれるほど人気があります。私も少し、スカーフをつくるためのシルクなどを買いました。

 

―東京でどんなものを買いましたか?

 

谷中付近での買い物を楽しみました。辛いあられ、岡本肇さん(日本のアーティストで、猫のイラストが特徴)のカレンダーを自分用に。岡本さんのカレンダーは毎年買っています。しょうゆ、手ぬぐい、扇子、ハンカチはお土産に。これから足袋も買おうかなと思っています。ヨドバシカメラで自分用に時計も買いました。
それから、日暮里のTOMATO(生地屋さん)。日暮里にある繊維街はとても有名なんですよ。ミシンの部品も売っていますし。アメリカとは生地が違います。日本のデザインはかわいくて。同じ花でもアメリカと日本だと印象が異なり、日本の柄ははっきりしたものが多いです。

 

―hanareに泊まってみての印象は?

 

ウェブサイトが素敵で、新しくて、シンプルですね。テレビがないのがいいです。iPadを使ったり、本を読んだりして過ごせます。

 

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Clariceさん、ありがとうございました。

続いて、パリから旅行のために日本を訪れた、Shorterさんご夫妻のお話を伺います。日本には初めて来たそうです。

 

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―日本旅行の目的は何ですか?

 

わたしたちの趣味はスキーです。スキー旅行に行こうかと思いたった時に、ノルウェー、フィンランド、日本の3つの選択肢があり、その中で日本を選びました。北海道の雪質は、パウダースノーでとてもいいということを知ったのと、実はもともとは日本にそんなに興味がなかったものの、調べていく中で、見どころが他にもたくさんあるということを発見したからです。
わたしたちは普通のスキーではなく、マウンテン・スキーをしにきました。マウンテン・スキーって知っていますか? リフトやヘリコプターを使わず、足で雪山を登ってから滑るものなんです。
日本には1か月滞在の予定で、これまでに京都、奈良、高山をまわってきて、明日からは北海道に2週間行く予定です!

 

―マウンテン・スキーは初めて聞きましたが、すごいですね……。日本の印象を教えてください。

 

来る前は、日本の大部分は都会だという印象を持っていたのですが、実際に来てみると、自然もたくさんあるのだと分かりました。
最初の2週間での日本の印象は、平和で、治安が良く、言語(特に漢字、書き言葉)以外は何でも簡単にできて便利、といった感じです。Suicaを使えば、どこに行くのも便利ですね。とはいえ、新宿の歌舞伎町やゴールデン街辺りは治安が悪いなと思いました。
それから、どこもかなり混んでいる印象を持ちました。特に京都。お寺などの観光地は混雑しすぎています……。日本人かどうか分からないですが、アジア系の人々が多かったですね。

 

―日本で興味をひかれたのはどんな点ですか?

 

お寺・神社が多いのに、あまり宗教的なところではない、という点ですね。過去にインドやネパールにも行ったのですが、そこでは礼拝が多かったので、かなり異なった印象を受けました。谷中のまちの真ん中に大きな墓地があるのも驚きました。見た目もヨーロッパのものとはかなり違います。

 

―なるほど、確かに宗教建造物は多いですが、宗教的な香りは薄いのが日本なのかもしれません。買い物はされましたか?

 

長い旅だから、あまり買い物はしていません。買い物よりも宿泊や観光が優先です。基本的には、その国の伝統的なものが好きです。それから、仮面(マスク)が好きです。旅行した際にはお土産として仮面を買って帰ることが多いです。でも、必ず買うわけではなく、かなり気に入ったものだけを買っています。あとは、陶器(窯元)が好きですが、今回の旅ではまだ見つけていないです。

 

―今回の旅行ではなぜhanareを選びましたか?

 

フランス人の建築士をしている友人がお勧めしてくれました。その友人は1年前まで東京に住んでいて、日本の建築や芸術などが大好きです。わたしたちは、大型のホテルが苦手で、そこそこの値段で泊まることができる小型のホテルのような雰囲気のところが好きです。hanareはかなり気に入りました。ただのホテルとは違って、木材を使用したモダンな建築や独特な雰囲気がありますし、1Fにあるカフェや、そのカフェ内での楽器演奏など、色々な見どころがあって面白いですね。

 

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Shorterさんご夫妻、ありがとうございました。hanareさんは日本の建築や文化を愛する方が多く泊まっていらっしゃる印象でした。また次回のゲストハウス訪問もお楽しみに!

 

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