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SEO対策やリスティング広告で戦っても、大手には勝てない
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SEO対策やリスティング広告で戦っても、大手には勝てない
現在の会員数は約15万人。2013年の立ち上げ以来、会員数は右肩上がりで、直近ではペースが大きく上がり毎月1万人ずつ増加している。ローンチから2年。なぜ今も、そのような右肩上がりの増加が可能なのか。
「集客導線の話に限っていえば、まず一つ目が、SNSを使った集客です。現在、サイトへの流入経路はSNS経由が6~7割。SNSからの集客は非常に大きなポイントです。いわゆる宿泊予約サイトの集客方法は、SEO対策やリスティング広告が中心。大手サイトが多額のお金を使い、宿泊にまつわる一つのキーワードに対し、入札を竸い合っている。そんな状況です。当然ながら、私達は大手と比べて予算規模も小さいので、そこで戦っても勝てません。なので、他社があまり力を入れていなかった頃からSNSを活用しています。ちなみにreluxのFacebookページのいいね!数は約28万人で業界ナンバーワンです。SNSを使った集客が成功していることは、われわれの大きな強みになっています。
実は私達はreluxを立ち上げる前に1年ほど、他社のFacebook広告の運用をお手伝いする広告代理店事業を展開していたんです。加えて、私達Loco Partners自体もFacebookと密な情報連携を行っています。例えば毎月、最新のアップデート情報を受け取るなどをしており、その情報を集客やマーケティングに生かしています
あとは、他社さんとの提携も導線の一つになっています。例えば三井住友カードさんや三菱UFJニコスさんといったクレジットカード会社と提携し、カードの会員様向けに宿泊優待プログラムを提供したり。あとはRELO CLUBさんという最大手の福利厚生代行サービスと提携し、reluxの宿泊プランを特別価格で利用できるようになっています。他にもさまざまな会社との提携を進め、会員数の増加を図っています。」
Facebookからの集客方法はFacebook広告からとFacebookページからの二つ。reluxのFacebookページからの集客で重視するのは、まず写真のクオリティだ。
「掲載する写真は基本的に宿泊施設からご提供いただきますが、それを上手く使い、アトラクティブに見せられていると思います。一見してきれいだと感じ、ここに行きたい、泊まってみたいという気持ちをかき立てる。そのために、いい写真をセレクトしてしっかりと見せることが大事です。また写真だけでなく、テキストの工夫も必要です。
Facebook上でシェアのされやすい投稿、ファンを集められる投稿にはトレンドがあります。それが短いサイクルで変わるので、スピーディに対応する必要があります。最近では、特にスマートフォンでの表示に最適化された、シンプルなテキストと写真で構成された投稿の方がファンを集めやすくなっています。スマートフォンで見た時に、長いテキストは途中から省略され『もっと読む』という表示が出てしまい、ぱっと見だけでは内容が伝わらない。ですから『もっと読む』が入らない短い文字数にとどめるなどの、細かなチューニングを繰り返しています。
現在、テキストはスマホで見て2行程度。ガジェットは最近、スマホが主流ですので、PCで見ると少々シンプルすぎるぐらいでいいと考えています。テキスト内に宿泊施設の名前や場所といったデータは入れず、旅に出たい気持ちをかき立てるようなフレーズだけで構成しています。宿泊施設の詳細な情報は、あくまでサイトに飛んでみてのお楽しみということです。
とはいえ、そのトレンドもいずれは変化していくと思っています。Facebookの表示ロジックは頻繁に変わります。その部分はFacebookと巧みに情報連携をしながら、都度アジャストせねばなりません。いったんスタイルが固まってルーティーン化してしまうと、改善点が見えにくくなってしまう。すると、トレンドの移り変わりに関わらず決まったことをするだけになってしまう可能性があるんです。スタイルができ上がったらそれを疑いながら、改善できないかを繰り返し検討していくことが大事です」
また今年4月、既存サイトに加えて、旅にまつわるさまざまな情報を提供するキュレーションメディア「relux Magazine」を立ち上げた。
「reluxは宿泊施設そのものと付帯情報の紹介がメインですが、会員の方々が求める情報は決してそれだけではありません。例えば、こんな場所がありますよ、こんなイベントやってますよ、といった、旅に付帯する情報はたくさんある。宿泊という領域に縛られ過ぎず、いろいろなものをコンテンツとして紹介することで、カスタマーの方に旅館以外も含めた、旅そのものの楽しさを感じていただく。旅に出たいと思っていただく。そんなメディアにできれば、と思っています。
大事なのは、質の高い記事と情報を配信し続けること。当面はそこにこだわっていきたいですね。既存のメディアを見ていると、記事の量は多いけれど、ありふれた情報が並んでいることもあります。それでは、あまり意味がない。短いスパンで定期的に、良質な情報を全国各地から集めて発信し、新しい価値を発見してもらう。それが今、私達がすべきことだと思っています。
ちなみに制作体制としては、編集部は社内にありましてメンバーは5名。そして外部のライターさんが5人ほど。スタッフは合計10名ほどで回しています。そして全国各地にローカルアンバサダーが100名弱。その主な役割としては、私達の思いに共感いただき、地域のさまざまな情報をシェアしていただくこと。応援団のようなイメージと言えば、わかりやすいでしょうか。そして、ライターとアンバサダーを兼ねている方もいらっしゃいますね」
現在のLoco Partnersの事業の中心にいるのは、創業者であり代表取締役社長の篠塚孝哉さん。酒井さんはCOOという立場からマーケティングや事業開発、事業提携などを見つつ、篠塚さんをサポートする。酒井さんが今、組織作りについて意識しているのが、PDCAサイクルをとにかく速く回すことだという。
「PDCAという言葉は聞き慣れており簡単ですが、実は非常に難しい。明確なゴールをセッティングして、それに対して今、どんな状況なのかという課題を洗い出す。そして、それに対する手を打ち、その結果どうなったかを検証。おそらく他の会社さんでも同じようなことをしていると思いますが、それをどれだけ徹底してチーム全員でやりきれるか、がキーになります。
そのための策の一つとして、プロジェクトをできる限り細かく分けて管理しています。例えばreluxの中でも、ウェブだったりスマホアプリだったり、relux Magazineだったりと、プロジェクトの領域は細分化されています。それをプロジェクト単位で、例えばミーティングを毎週15分行うことで管理しています。意識しているのは、PDCAを最小単位で素早く回すことで、それぞれの領域で細かく明確なアクションプランを設定することです。もちろんミーティング以外でも、コミュニケーションツールを使ってリアルタイムに情報を共有。必要なことは即座にフィードバックします。今は、スピーディな意思決定のできるシステムができ上がっていると思いますね」
Part.3となる次回は酒井さんのこれまでのキャリア、そしてマーケターとしての情報収集術などについて、話を聞いていく。
※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです