回転寿司の新潮流~その2~
米川 伸生 [記事一覧]
回転寿司評論家。一般社団法人 日本回転寿司協会 理事。2007年「TVチャンピオン2 回転寿司通選手権」優勝。 主な著書に「回転寿司の経営学」(東洋経済新報社)「首都圏厳選 回転寿司激うまバイブル2010」(双葉社) これまで訪れた回転寿司店はのべ3000店以上。現在、日本全国の回転寿司店のコンサルタントや従業員教育、研修会等での講演の他、店舗のコンセプトワークやメニュー開発等も行っている。
回転寿司の新潮流~その2~
そんなわけで、忘れた頃の回転寿司!
この時期、毎年、回転寿司の取材やら番組やらがラッシュしており、嬉しい悲鳴を上げている今日この頃です^^
遅筆ですんませんm(_ _)m
といったわけで、回転寿司の新潮流の第2回目!
いま回転寿司はどうなってるのか?
と、その前に一連の食品偽装の件で、「なんで回転寿司はとりあげられないんだ?」という声を多数頂戴しているので、ちょっと解説させていただきます。
まず、今回のメイン偽装キャラとなった「エビ」ですが。回転寿司の安い蒸しエビは、
ほぼほぼ「バナメイエビ」を使ってます。
これを車エビとして売っている店はまずありません!
なぜなら、車エビは市場では通常、活ものしか出回っていないのです。
つまり、お店が車エビを出そうとすれば、それは生きているエビを捌いて出すと言うことになります。
ので、車海老を蒸しエビにして出すというのはまずありません。
他にもマグロの代わりにガストロという深海魚を使用してるとか、穴子の代わりに海ヘビを使用しているなど、まことしやかな都市伝説的な話はありますが、現代回転寿司においてはたった一言、「ないよ!」とだけ言っておきます。
かつてそういったグレー部分を担っていた企業があったかもしれませんが、いまはないっす。
たとえば、穴子に関してはほぼ真穴子を使ってますが、中には安価な「イラコアナゴ」を使用している店もあります。
これ、海ヘビでなく穴子です^^
ちなみにスーパーなどで売られている安価な穴子はこのイラコアナゴです。
普通に大手スーパーで売っている物なのですよ。
で、個人的にも最もグレーだなぁ…と思うのが、「イクラ」ですかね。
イクラといえば普通の方はサーモンの卵を思い浮かべるかと思いますが、回転寿司店によってはマスの卵を使用している店も多くあります。
「じゃ、偽装じゃないか!」となるところですが、イクラというのはロシア語で卵という意味。
別にサーモンの卵を指すわけではないのです……
うーん、難しい^^
イクラもかなり高騰しているので、これは店側の良心に任せるしかない問題なのかなとは思ってます。
ちなみに子供が大好きな「とびっこ」ですが、これはその名の通り、飛び魚の卵のこと。
でも、中には更に安価なししゃもの卵を使用している店もあったりします。
これも食品偽装?と思うところですが、実は「とびっこ」というのは某食品会社が商標登録をしており、その商品以外は使用できないはず……なのです。ま、わずか数円の違いしかないので、リスクを負ってまで使用している店はないと思うのですが……。
ご質問等あればなんなりと!
話を戻しまして回転寿司の新潮流。
③グルメ系100円寿司店の台頭!
実はここ数年、「グルメ系100円寿司店」がじわじわと広がってきてます。
「なんなんだ!グルメ系100円寿司って!」と思われる方、これですね、100円という安価ながら朝獲れの鮮魚を職人が握って提供するという、ある意味究極の回転寿司店なのです。ちなみに命名は私です^^
「そんな回転寿司があるのか!実現不可能だろ!!それこそ偽装じゃないか!」という声が聞こえてきそうではありますが、これがですね、ホントにあるんですわ。
そもそも、客側にとってベストな回転寿司店というのはもちろんのこと「旨くて安い!」。しかし、100円寿司は旨いといっても限界があり、職人が握った握り寿司とはほど遠い、ロボットがつくったシャリの上にアルバイトの方がネタをちょんと乗せただけの「のっけ寿司」。最近ではハマチなど一部の鮮魚は店内で捌いていますが、それもほんのごく一部に過ぎません。
かたやグルメ寿司は朝獲れの鮮魚を熟練の職人が店内で捌いて握るというスタイルながら、やはり値段はちょっとお高め。
「うーん、もうちょい安けりゃありがたい」と思っている方が多いのは事実です。
で、この2業態は長年決して交わることがない!鮮魚を職人が握って安価で提供することなど絶対に不可能だ!と思われており、まさに回転寿司界のタブーとさえ考えられていたのですが、なんとこのタブーに敢然と挑戦している企業が出てきているのです!
それが、グルメ回転寿司界の雄・「がってん寿司」が手掛ける「魚卸回転寿司ダイマル水産」です!
この回転寿司店、一言で表すなら「北海道直送の鮮魚を熟練の職人が握って、100円、150円の低価格で食べられる店」ということになるでしょうか?「そんな店が本当にあるのか?」と思われる貴方、あるんですよ、それが!
北海道漁連と提携しており、北海道ならではのホッキ貝、生ホタテ、ソイ、サメカレイなどの鮮魚が毎日空輸されているのです。それを店内で職人が捌き、寿司にして提供するというグルメ回転寿司スタイル。それが100円、150円なのですから、これはもうなんたることか!
しかも、ほぼ首都圏ではここでしか食べられないであろう、生のホッケ寿司まであるんですよ!ホッケは水分が多い魚なので、刺身で食べられるのは現地だけ。それがこちらにいながらして食べられるのはなんともうれしです!
この「ダイマル水産」に続いたのが、神奈川の本格派グルメ回転寿司店・独楽寿司が手掛ける「回転寿司まさのすけ本店」。こちらは相模湾の朝獲れ地魚が豊富に揃っており、これまた低価格で食べられるのです。
小田原港直送の鮮魚三貫盛りがなんと157円!これは超目玉商品となっています。
もちろん、目の前で職人さんが握ってくれるグルメスタイルで、味は間違いありません!
また、100円寿司チェーンがしかけるグルメスタイルの回転寿司店というのもあります。それが「回転寿司かいおう」。店内は大手100円寿司店同様、レーンのみが設置されており、職人はいません。しかし、北陸からの直送魚を売りにしており、白エビやガスエビ、ブリなどが食べられるのです。100円寿司店の進化形と言っても良い店でしょう!
さ、「安くて旨い!」がついに本格派しだした回転寿司業界。
この業態が今後、どのような伸びを見せていくのか、俄然注目です!