世界一キュートな女の子たち

鈴木 俊二 [記事一覧]

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47歳 東京都在住 株式会社グラフティ代表取締役 雑誌『Tokyo graffiti』編集長 福島県生まれ 大学より上京 早稲田大学法学部卒業。 ファッションビルの運営会社のサラリーマン時代を経て、2004年『Tokyo graffiti』創刊より現職。 趣味はスーパー銭湯のアカスリとSF小説の読書と柴犬の散歩。妻、娘、犬と3人1匹暮らし。

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Vol.1
「はじめに『願望』ありき。マーケティングはあとづけ」

 

生まれ変わるなら、どの国に生まれたいですか?

僕が高校時代は、まだMTVとかは無かったので、
小林克也が司会の「ベストヒットUSA」という番組だけが、貴重な洋楽番組でした。

ミュージックビデオ(MV)というものを、たくさんたくさん見ていましたが、
中でもそのMVは、当時のイタイケな少年の胸に、決して満たされることのない憧憬を残していったのです。

デヴィッド・リー・ロス「カリフォルニアガールズ」

今でも決して忘れない。
あの能天気な曲にのせて映し出される、カリフォルニアのビキニの女の子たち。日焼けした超グラマーガールがこれでもかというくらい続々と出てくる。
夕日の中、道沿いに並び立つ、健康的でセクシーなカリフォルニアガールズ。

「あ〜、どうしてボクは、カリフォルニアボーイじゃないんだぁぁぁあ〜〜!!(涙)」

ビキニガールなんて、ボクの回りには一人もいない。いるのはせいぜい紺のワンピースのスクール水着。いや、それすらいない。プールにはビキニどころか、競泳パンツの男しかいない。ここはどこだ。ここは、福島県立白河高校。伝統ある男子校だ。
ビーチの道沿いに並び立つビキニガールズのかわりに、田んぼのあぜ道沿いにカエルがいっぱいいるだけ。女もいない。砂浜もない。なにもない。オラこんな村イヤだぁ〜。

 

能天気で軽薄すぎて、なんか、もう…

 

後で知ることになるけど、「カリフォルニアガールズ」は元々はビーチボーイズのヒット曲であります。40代の今となっても実は大好きな曲で、たまにクルマで大音量で聞いてます。それにしてもこの曲、MVに負けず劣らず、歌詞もヒドイ(いい意味で)。

♪ 東海岸の女の子もイカしてるし、
南部の女の子の歩き方にもノックダウン。
中西部のやさしい田舎娘もぐっとくるし、
北部のかわいい子も君をうっとり暖めてくれる。
でもみんなカリフォルニアガールだったらいいのになぁ。

(歌詞そのままではなくて要約です)

なんともウルトラ能天気。

♪ 世界中いろんな女の子を見てきたけど、
いつだって戻ってきたかった。
"The cutest girls in the world"のもとに。

(歌詞そのままではなくて要約です)

MVもウルトラ軽薄だったけど、歌詞もまさかここまで軽薄とは。
あ〜、もう、なんというか、
おバカで、カルくて、
もう……

うらやましすぎるー!

もう、プライドも品もセンスもみんな捨てて叫びます。
世界の中心で叫びます。

「ボクもカリフォルニアガールズに囲まれて生きていきたいでちゅ〜」

 

もう1つの失われた20年

 

そんなこんなで、東北の田舎町育ちの40代のおっさんの、おバカな叶わぬ夢をダラダラと書いておりますが、このおバカな名曲の歌詞にこんなところがあります。
♪ 西海岸は太陽がいっぱいで、女の子たちはみんなこんがり小麦色。
MVに出てくるビキニガールたちも、みんなこんがり小麦色に焼けていました。
やっぱりカリフォルニアガールズは、日焼けしてなきゃ絵にならない。

日本の女の子たちは依然として美白信仰が強いですが、西欧では、上流階級ほど日焼けしていて、貧乏だと色白のままが多い、というのが一般的なイメージらしいです。お金持ちほど、休暇でリゾートにいったりして、健康的に人生をエンジョイしてる、っていう感じなのかな。

僕の大学時代は80年代半ばでしたが、イケてる女の子たちは、夏にはみんな競って日焼けしていました。
「だって焼けてないと、夏の洋服が似合わないし〜」
みたいな感じで、6月くらいから海にいって、男より日焼けしてる子も多かった記憶があります。今でいうギャル系というわけではなく、ふつうにオシャレでカワイイ子たちです。

その後90年代から今にいたる20年以上、日本の女の子たちは、まるで宗教のように「美白」が基本になっています。
「カリフォルニアガールズ教」の敬虔な信者の僕にとっては、不遇の時代です。
もう1つの失われた20年がここにあります。

 

 自然回帰、温暖化、ゴーギャン…?

 

でも、僕は断言します。
美白少女は滅び、小麦色ガールの時代が来る!

そもそも「美白」というのはヘンな言葉です。
僕に言わせりゃ「美小麦色」です。
「色の白いは七難隠す」もウソなんです。
「小麦色は七難隠す」なんです。

根拠は山のようにあります。…たぶんあります。あると思います。
自然回帰のムードとか、エコとか節電とか、温暖化とか、ゴーギャンとか…。

でも、大事なのはそんな根拠じゃないんです。
大事なのは「願望」です。
誰の?
僕の。

えっ、そもそも日焼けした女の子より美白の方が好き?

もう、これだけ言ってもわかってくれないんですか。
なら、もう戦うまでです。
「美白教」と「小麦色教」の最終予選、
絶対に負けられない戦いがそこにはある。

ジャパニーズガール

カリフォルニアの対岸8800kmに位置する、葛西臨海公園ビーチにて。カリフォルニア”ドリーミング”ガールです。

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