タイ発。国技ムエタイの試合のリングガールが届けた家庭内暴力(DV)撲滅を訴えるメッセージ
【SUMMARY】
・世界中で何らかの家庭内暴力の被害経験のある女性は3割を超える
・高い被害率を誇る東南アジア圏の中でも、タイは世界第二位の高い被害率
・国技ムエタイの試合中に被害者女性がタイ社会に向けてメッセージを発信
【STORY】
WHO(Whorld Health Organization/世界保健機関)の調査によれば、世界のおよそ1/3(35%)の女性が生涯のうちに何らかの家庭内暴力(DV)や、異性からの暴力・性的暴力の被害を経験しているのだそうです。
これら女性に対する暴力の中でも被害が多いのが夫やパートナーによる家庭内暴力であり、婚姻または交際関係にあったことのある男性から何らかの暴力を受けた経験のある女性の割合は、世界中で3割を超えているのだそうです。
エリア別に家庭内暴力の被害経験のある女性の割合をみれば、例えば世帯収入の高い国々では23.2%、WHOのWestern Pacific地域では24.6%、同じくWHOのEastern Mediterranean地域では37%、 WHOのSouth-East Asia地域では37.7%となっています。
Source World Health Organization
WHOによれば東南アジア圏は家庭内暴力が大きな問題となっているエリアの一つですが、その中でも世界第二位の発生率を記録していると言われているのがタイなのだそうです。
この問題を直視し社会に対して気づきを与えることが大切だと考えてセンセーショナルな試みを行ったのが、タイのMen and Women Progressive Movement FoundationとX Siam Boxing Stadiumでした。
家庭内暴力の悲しさをタイの人々の心に直接的に訴えた試みは、テレビ中継が行われていたタイの人気国技であるムエタイの試合中に実施されました。
通常、試合の各ラウンドの始まる前にはボクシングの試合などでもおなじみの容姿端麗なリングガール(ラウンドガール)が、ラウンドナンバーが表示されたプラカードを掲げて観客席をぐるりと一周するのが通例ですよね。
しかし同日の試合では、いつもとのリングガールによるラウンド数コールとは様相が違っていたのです。
" 'Home is not a boxing ring' #PickYourFight "
プラカードを掲げてリングの周りを一周したのは、実際に家庭内暴力の被害にあったタイの女性でした。
暴力によって受けた傷跡がまだまだ痛々しく残る彼女が持っていたのは、ラウンド数が書かれたプラカードではなく、「 'Home is not a Boxing Ring' #PickYourFight.(家庭はボクシングのリングではない。#あなたの戦いを選んで」というメッセージが書かれたものでした。
家庭内暴力の被害にあいながらもこすいて勇敢に立ち上がって社会に対してメッセージを送った彼女に、X Siam Boxing Stadiumに居合わせた多くの男性客も一瞬静まり返り、その後共感と称賛の拍手が起こりました。
この模様と女性へのインタビューがライブ中継された後、動画や写真がSNS上で数多くシェアされたそうです。
※Men and Women Progressive Movement Foundation
http://www.wmp.or.th/
※ニュースソース
※Campaign Brief Asia
http://www.campaignbriefasia.com/2017/11/muay-thai-fans-reminded-that-h.html#more
※Branding in Asia
https://brandinginasia.com/muay-thai-ring-girl-delivers-sobering-message-thailands-domestic-abuse-problems/
※WHO
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs239/en/