華やかで幸せなものだけがクリスマスディスプレイではない!カナダのトロントの路上で異彩を放つDV撲滅啓蒙ディスプレイ

ヒューレット秦泉寺 明佳 [記事一覧]

愛媛県出身。大学卒業後、広島〜東京〜アメリカと移り住んだフリーランスライター。 通訳、英会話講師など英語スキルを生かした活動も行っています。趣味は料理、ホームパーティー、水泳、ハイキング。各国のユニークな広告やTVコマーシャルのウォッチで一日を費やしてしまうことも。

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華やかで幸せなものだけがクリスマスディスプレイではない!カナダのトロントの路上で異彩を放つDV撲滅啓蒙ディスプレイ

 

 

 

 

読者の皆様、こんにちは。

 

 

 

今回ご紹介するのは、カナダはトロントの市街にあるショッピング
ストリートの、ある一角に登場したクリスマスをテーマにした
ウィンドウディスプレイの話題です。

 

 

windowproject写真01
Picture:Screen shot from Timeout

 

 

 

毎年クリスマスシーズンになると、たとえばニューヨークの百貨店

Macy's/メイシーズのクリスマス ウィンドウディスプレイは毎年話題になり、

写真のように多くの 人がウィンドウディスプレイの鑑賞を目的に訪れるほどの
人気となるように、クリスマス仕様のウインドウディスプレイはたくさんの人の
注目を集める催しのひとつです。

 

 

クリスマス、ホリデーシーズンのディスプレイと言えば、家族や友人が
集い、食卓を囲み、クリスマスツリーのそばでプレゼントを開けるなど、
皆の笑顔や幸せな雰囲気、HappyでCheerful、Joyfulであることが
当たり前ですよね。

 

そう、例えばこの写真の雰囲気のような。

 

 

Family Christmas dinner
Picture:Screen shot from The Gurdian

 

 

 

しかし、去る12月6日にトロントの華やかなファッションディストリクト、
西クイーンストリートにある"Untitled & Co"というショップの店頭に
登場したそれは、これまでには無い斬新なものでした。

 

 

Untitled & Co
438 Queen Street West,Tronto,Ontario

 

※Untitled & Co Official Website
http://untitledandco.com/

 

 

 

それがこちら。

 

 

 

windowproject写真03
Picture:Screen shot from The Stable

 

 

 

大きなクリスマスツリーのそばで、七面鳥の丸焼きなどのおいしそうな
クリスマスディナーが並ぶ食卓に家族4人が集って幸せそう・・・

 

 

ではないのです。

 

 

 

よく見ると、どのマネキンの顔にも笑顔はありません。

 

 

そして、手前の男の子は見たくないものがあるのか、両手で顔を
覆うような仕草をしています。

 

さらに、男性の手が女性に伸びていますが、女性が体を反らして夫の手から
逃れようとしているのがわかるように、それは幸せな夫婦のスキンシップでは
どうやらないようです。

 

 

 

windowproject写真04
Picture:Screen shot from Official The Window Project Video

 

 

 

"The Window Project"

 

 

 

と名付けられたこのディスプレイは、カナダのクリエイティブ会社
"FCB Tront"が、"The Ontario Association of Interval & Transition
Houses"(以下OAITH)という女性のためのシェルター施設をまとめサポート
している団体と"Yellow Brick House"という家庭内暴力や性的虐待などを
受けた女性や子どもたちを支援するシェルター施設のために手がけたもの。

 

 

※The Window Project Official Website
http://www.oaith.ca/thewindowproject/

 

 

 

そして、その目的はというと、ホリデーシーズンに発生件数がより増加
すると報告されている、家庭内暴力(DV)の問題とその発生の抑止について、
人々の関心と理解を高めること
にあったのです。

 

 

 

ユニセフの調べによれば、カナダ国内では年間36万2千人の子どもたちが、
何らかの家庭内暴力の目撃者になったり、また巻き込まれたりしている
そうです。

 

またシェルター施設Yellow Brick Houseによると、ホリデーシーズンに
同施設に助けを求めてくる件数は、平常時から30%以上も増加する
のだとか。

 

 

 

 

※トロントの街を歩く人の足を止める、DV減少・撲滅と被害者支援への
理解促進・啓蒙のために設置されたウィンドウディスプレイの全容が
わかる動画はこちらから。

 

" The Window Project ― A Window Into Domestic Violence Over The Holidays "

 

https://youtu.be/j2xebkcqMmA

 

 

 

クリスマス、ホリデーシーズンは楽しいだけではなく、やるべきことの多さ、
忙しさや意見のすれ違いなどからストレスがたまりやすく、そうしたことが
家庭内暴力の発生数増加の原因ともなっているようです。

 

 

 

windowproject写真05
Picture:Screen shot from Official The Window Project Video

 

 

 

さて、動画でもわかるとおり、ウィンドウに案内されている番号に"NO MORE"と
テキストメッセージを送ることによって、OAITHとシェルターに5ドルの
寄付
を呼びかけています。

 

 

また足を止めた人がテキストを送ることで、このウィンドウディスプレイ内で
起こっている家庭内暴力の悲劇を、1分間の間止めることができる仕組みに
なっていて(60秒が経過すると、マネキンたちがまたアクションを起こし始め
ます)、一人一人の行動で家庭内暴力を止められることを訴える仕組みに
なっています。

 

 

 

windowproject写真06
Picture:Screen shot from Official The Window Project Video

 

 

 

 

こちらのディスプレイが設置された12月6日は、1991年にカナダで制定された
"National Day of Remembrance and Action on Violence against Women/
女性に対する暴力に対してアクションを起こし、またそれを忘れない日"
という日にあたります。

 

 

これは、1989年にモントリオールで発生した、若い男性が大学へ侵入し、
24人の女性と4人の男性を銃撃、そして14人の若い女性が殺害された
痛ましい事件が契機となり制定されたもの。

 

 

 

ウィンドウディスプレイ内の14本の赤いバラは、その事件で犠牲となった
14人の女性を象徴しているのだそうです。

 

 

 

 

※ニュースソース

※AD WEEK
http://www.adweek.com/adfreak/all-not-merry-and-bright-seasons-most-shocking-retail-holiday-window-168550

※Campaing US
http://www.campaignlive.com/article/the-window-project-puts-holiday-domestic-violence-display/1376453

※psfk
http://www.psfk.com/2015/12/holiday-window-display-domestic-violence-fcb-toronto-ontario-association-interval-transition-houses.html

※Agency Spy
http://www.adweek.com/agencyspy/fcb-toronto-raises-domestic-violence-awareness-with-the-window-project/98846

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