大事なのは「空気を作る」こと。|マーケターの企みVol.41:LIDDELL㈱ 代表取締役 福田晃一さん(4/4)

 
昨今、多くの企業が「インフルエンサーマーケティング」に注目している。インフルエンサーマーケティングとは、商品やブランドがターゲットとするコミュニティやセグメント内において、周囲に影響を与える人物(=インフルエンサー)にアプローチし、商品の魅力やブランドメッセージを広げていく手法のこと。今回は、企業とインフルエンサーをつなぐSNS特化型プラットフォーム「SPIRIT」を運営する、LIDDELL株式会社代表取締役CEO・福田晃一さんにお話をうかがう。
 
文=前田成彦(Office221) 写真=三輪憲亮
 

Part.4
 
大事なのは「空気を作る」こと。

 
Profile|福田晃一(ふくだ・こういち)  
1979年高知県出身。2000年に前身となるTWIN PLANETを創業し、学生マーケティングとモデルエージェンシーのハイブリッド事業を開始。’06年にTWIN PLANETを法人化。ガールズマーケティング事業、芸能プロダクション事業、クリエイティブ事業、コンテンツ事業を展開。’14年にLIDDELL株式会社を設立。過去100名を超えるタレントマネージメント経験を生かし、マーケティング事業を展開。’16年にインフルエンサーと企業をつなぐプラットフォーム「SPIRIT」をローンチ。
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■『有名人が使っているから』よりも、『みんなが持っているから』。


 福田さんは今後、まずは1万8千人のインフルエンサーの情報拡散力を使った『インフルエンサーズメディア』の立ち上げを目指す。そしてその後は、インフルエンサーが自らお勧めのモノを販売する、巨大な「商店街」を作っていく。

 
「インフルエンサーが商品を開発をして、インフルエンサーが商品を売る。十分あり得ると思います。そしてそれを加速させるため、SPIRITで販売促進も行っていく。そんな流れが作れたらと思います。
 
間違いないのは、今後ますます、一般のインフルエンサーを起用したマーケティングはメジャーになっていくということ。少し前までは、タレントや有名人を起用した方が売れました。でも、今はちょっと違う。どんなものでもクオリティに大きな差が分かりづらくなってきた今、ユーザーが何を決め手にモノを選んでいるかというと、身近な誰かが評価しているかどうか。
 
つまり、信頼できる情報は、友達であったりフォロワーであったり、フォローしているインフルエンサーであると考える。中でも、共感できる世界観を持っている人達が評価していることが一番のポイントです。
 
それと、今の若い子達はみんなすごく空気を読む。だから『有名人が使っているから』よりも、『みんなが持っているから』が強い。つまり僕らは『私も買わなきゃ』という空気を作ればいい。彼女達に、空気を読ませればいいのです」
 
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■『なう』は消えることによって、本当の『今』になる。


 SPIRITが抱えるインフルエンサー達が今、主に使うソーシャルメディアはInstagramだが、福田さんは今後「消えるメディア」がもっとメジャーなものとなることを予想する。

 
アーカイブを残さないメディアが主流になると思います、Snapchatの他、Instagramのストーリーもそうですね。人気のインフルエンサーは、Instagramで過去の投稿を消していることが多いんです。SNSを毎日のアルバムの様に考えて、保存できることが大事だとは思っていません。
 
特に若年層のインフルエンサーは『今』が大切でソーシャルメディアは『過去』のアーカイブメディアではないんですよね。表立ってメディアに残す必要性をあまり感じていないし、投稿は消えて構わない。むしろ、消えた方がいいと思っている。子供のころからSNSを扱っている子達は、僕らよりもずっとラフ。今沸き起こった感情は、あくまで今のもの。残したくないんです。僕もなかなか、その感覚は理解し切れていないのですが…。
 
そもそも『〇〇なう』とつぶやいたところで、それがアーカイブで残っていたら今でも何でもない。でも、消えることによって、本当の『なう』になる。そして消えることが当たり前になればなるほど、一つ一つの投稿の価値が上がっていく。インターネットの便利さを消して、現実の不便さを取り戻すことになる、そうすると後で見ようとしないで、今を読み取るようになり、話題が起きる、そしてすぐに消える。そんなサイクルが生まれるでしょうし、マーケティング手法も進化していくでしょう」
 
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 そしてこれからさらに「個の時代」が進む中、インフルエンサーマーケティングは今後、どう変わっていくのか。

 
「インフルエンサーマーケティングが完全な主役になるかというと、僕はそうでもないと思っています。インフルエンサーを使ったプロモーションだけで売り上げを伸ばし、流行を生み出すことは今後も難しいでしょう。あくまで、いろいろあるプロモーションツールの一つに過ぎません。
 
でもインフルエンサーマーケティングは、コミュニケーションをつないで作るマーケティングのストーリーにおける、最高のコンテキストになり得るとも思っています。今、マーケティングの主役は4マスからどんどん入れ替わっています。今後、ソーシャルメディアを当たり前に活用している若い人達がどんどん増えていきますから、インフルエンサーマーケティングがさらにメジャーなものになる可能性は大きいでしょう。
 
10年前はfacebookアカウントを持っていない企業が当たり前でしたが、今はfacebookどころかInstagramのアカウントを持つことが普通になり、今後はSnapchatなどもポピュラーになっていくでしょう。そして何年かすれば、また新しいものが出てくる。
 
この仕事を十数年やってきて思うのは、そんな状況の中でも、僕らがやっていることの本質は『人』だと、そしてそこから決してずらしてはならないということ。どんなソーシャルメディアが出てこようと、影響力を持つ人、所謂インフルエンサーをきちんと押さえる限り、ビジネスは必ず続いていくと思います」

 大切なのは「人」にしっかりと寄り添うこと。時代が変わろうと、その本質が揺らぐことはない。

 

※参考【SPIRIT】インフルエンサーFILE(その4)
 
長谷川あや|世界遺産検定を持ち、国内・海外などあらゆるところの写真や動画などを掲載し人気を集める。

 

(終わり)
 
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