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圧倒的ナンバーワンになるため、営業を構造化し、KPIを明確にする

冨田 和成 とみた かずまさ さん (株)ZUU 代表取締役社長

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Part.3

 

■「今のまま新しい世界に飛び込んでも戦えない。もっと力をつけるべきだ」。

冨田さんが考えるZUUのアドバンテージ。その一つが「顧客をよく知る人材」を多数抱えていることだ。

 

「面と向かってお客さんとビジネスをしてきた人間です。証券会社などのフロントで営業をして、怒られたり、断られたり、喜ばれたり、といった経験を積み、お客さんをよく知っている。そんな人間がたくさんいる。それこそが、何よりの差別化だと思っています」

 

何より冨田さん自身が、学生起業家~大手証券会社勤務、というキャリアの中で、多くの顧客と向き合ってきた。

 

「僕はビジネスで世の中に貢献し、何かしらのイノベーションを起こしていくことが大好きで、そのことを常に考えています。考え続けていれば問題意識が育ち、情報に対しても敏感になる。頭の良し悪しは結局、考え続けているかどうかで決まります。何を隠そう自分自身も、大学3年ぐらいまでは考えられない学生でした。頭を使うのがすごく苦手だったのです」

 

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 大学2年までの夢は、プロのサッカー選手だった。しかし、ケガで断念。「世界を熱くしたい」という思いとともに、ビジネスの道を志す。

 

「大学4年の時、ソーシャルマーケティング事業で起業しました。当時はmixiやGREEといったSNSが流行っていて、私達は、世の中のさまざまな情報をまとめるコミュニティをネット上に作っていました。例えば就活に関するものや、コミュニケーションのレベルを上げたい人向けのもの、ビジネススキル系のもの、など。自分が当時、関心を持っていたことから考えており、大学2~4年生や大学院生、若手の社会人の方がたくさん集まってくれました。

自作コンテンツではありませんが、私達は当時からコミュニティ内で、コンテンツマーケティングを行っていました。さまざまなコンテンツのリンクを張り、情報をまとめていたのです。つまり、今でいうキュレーションサイトですね。そこでカテゴリーごとにユーザーを分け、メーリングリストに登録。さらにコンテンツをメールしたりしながら、学生を中心にたくさんの人を集客しました。そして企業とタイアップ。ユーザーをイベントやセミナーなどに誘導し、企業から報酬をいただく、というビジネスモデルです。

やっていくうちにわかったのが、ユーザーの方達をカテゴリーごとに分けて、さまざまなイベントに集客していくと、コンバージョン率が高くなるということ。カテゴリーを考えず、広い層からランダムにユーザーを集めるよりも、ユーザー数は10分の1でも属性をしっかりと区切って集客する方が、明らかにマネタイズできる。それがはっきりしました。要はコンテンツマーケティングであり、データベースマーケティングですね。今の私達のビジネスに、非常に近い構造です」

 

しかし冨田さんは、社会に出て、そのまま起業家としてキャリアを積んでいくことはしなかった。

 

「このままでは壁に当たる、とわかったからです。私は当時から『南極の氷が溶けるぐらい世界を熱くしたい』『世界でも圧倒的な存在になりたい』と思っていました。でも世界一の会社を作ろうと考える中、当時のビジネスを大きくしていくことが本当に自分の大きな夢につながるのか? という疑問がどうしても拭えなかった。そして、自らをもっと成長させられる場所があるのではないか、と思ったのです。

実は私は漫画『One Piece』が大好きなんです。その中に、主人公のルフィ達一味がシャボンディ諸島で敗北を喫し、離散。2年間修業をしてパワーアップし、再び結集して戦う、というエピソードがあります。当時の自分は、離散した時のルフィのようなものでした。『今のまま新しい世界に飛び込んでも戦えない。もっと力をつけるべきだ』と考え、当時、死ぬほど営業力がつくといわれていた野村證券に入社するわけです」

 

 

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■ニーズを拾ってソリューションを提案し、アフターフォロー。営業とはこの繰り返し。

 

 野村證券では最初の3年半、フロントの"ドブ板営業"でスキルを磨き上げた。

 

この経験があったから、今がある。胸を張ってそう言えます。死ぬほど営業をしましたからね。もう本当に死ぬほど。1日100件近く飛び込み営業をしたり、テレアポなら300件。でもそのうち9割以上は、何ですか? と冷たくあしらわれる。そんな状況の中で、営業成績を上げていったのです。

フロントではね返されるうちに、私は営業を構造化して考えるようになりました。まずはターゲットを決め、彼らについての情報収集を行う。その上でターゲットにどういうニーズがあるのか、という仮説を構築。そこからアプローチを始めます。

実際にお会いできたら、まずは人間的な信頼関係を結ぶ。そして状況をヒアリングする中でニーズを拾い、ソリューション、解決策を提案する。その上でクロージングに持って行きつつ、次の取引につながるアフターフォローをする。それが終わったら再びヒアリングに戻る。やっていくうちに、営業とはこれをひたすら繰り返すことだとわかりました。

そして、確率をしっかりと数値化。例えば新規開拓で、仮に1日100件電話する。その中で10件の見込み客が生まれ、うち3件は実際に会える。その中で1件、新規開拓が成功する。つまり確率は1%ですよね。そしてさらに、そこから何%が大きなお客さんになっていくか。そこまでを数値にして、KPI化していくのです。何せ野村證券という会社では、死ぬほど競争させられます。だから、これぐらい真剣に考えざるを得ない。そして、このプロセスは現在行っているマーケティングとまったく一緒です」

 

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とにかく結果にこだわった。冨田さんは入社1年目で約220件の新規開拓を行うなど、支店営業で同年代のトップセールスを記録する。

 

この次は自分でやりたい。最初からそう思っていたので、野村では圧倒的なナンバーワンになりたかった。だから四六時中、営業の結果を出すことばかり考えていました。絶対に結果がほしかったから、徹底的に深掘りしたわけです。正直、当時の野村でこのレベルまで営業を考えた人はいないでしょうし、この経験が間違いなく、今につながっている。

やっぱり、ビジネスは営業力がものを言うのです。フロントで営業をすると、お客さんが何を考えているのかをリアルに想像できる。それが何より大きい。なぜなら、彼らがもっといい生活をできる世界を作ろうとしているわけです。お客さんのリアルな部分を知らずして、彼らがよりよく暮らせる世界を作ることなんて、できるはずがない

 

冨田さんはその後、最年少で本社の超富裕層向けプライベートバンク部門に異動。そしてシンガポール駐在とビジネススクールへの留学、タイへ駐在を経て、本店ウェルスマネジメント部で金融資産10億円以上の企業オーナーなどへの事業承継や資産運用・管理などのコンサルティングを担当し、今に至るキャリアを築いていった。
最終回となる
Part.4では、冨田さんがこれから強化していこうと考える資産アドバイザーと顧客のマッチング事業やネイティブアドの大きな可能性、そしてZUUの今後の方向性などについて、話を聞いていく。

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プロフィール
冨田 和成

冨田 和成 とみた かずまさ

(株)ZUU 代表取締役社長

1982年神奈川県出身。一橋大在学時にソーシャルマーケティングにて起業。
大学卒業後は野村證券に入社。支店営業にて同年代のトップセールスや新規開拓や総収益の最年少記録を打ち立て、最年少で富裕層向けプライベートバンク部門へ異動。
その後、東南アジア駐在やビジネススクールへの留学、超富裕層向け事業承継や資産運用・管理などのコンサルティング事業を手がける。
2013年3月に野村證券を退社し、同年4月、株式会社ZUUを設立し、代表取締役社長に就任。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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