アメリカ初のソーダ税課税法案が通過。カリフォルニア州の小都市バークレーでなぜ法案が通過できたのか?

ヒューレット秦泉寺 明佳 [記事一覧]

愛媛県出身。大学卒業後、広島〜東京〜アメリカと移り住んだフリーランスライター。 通訳、英会話講師など英語スキルを生かした活動も行っています。趣味は料理、ホームパーティー、水泳、ハイキング。各国のユニークな広告やTVコマーシャルのウォッチで一日を費やしてしまうことも。

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アメリカ初のソーダ税課税法案が通過。カリフォルニア州の小都市バークレーでなぜ法案が通過できたのか?

 

 

読者の皆様、こんにちは。

 

去る11月4日は、アメリカは中間選挙の投票日で盛り上がっていましたが、
そんな中、ある注目の法案が賛成多数で通過し、メディアで話題に
なっています。

 

今回は、いつもと少し毛色が異なりますが、アメリカの最新事情をお伝え
したいと思います。

 

 

 

「Measure D」

 

 

と呼ばれた法案は、砂糖を含んだ炭酸飲料やエネルギードリンク、
ジュース、アイスティーなどに1オンス(約29.57ml)あたり1セントを
課税するというもの。

 

この法案が通過したのは、カリフォルニア州の「Berkeley/バークレー」という都市。

 

サンフランシスコと湾を挟んで向かい側にある、人口11万人余りの
小都市です。

 

sodatax写真01
Picture:Screen shot of Goldman School Of Public Policy

 

sodatax写真02
Picture:Screen shot of Google Map

 

 

この街は、カリフォルニア大学のシステムの発祥の地、カリフォルニア大学
バークレー校があることで有名で、学生運動やヒッピー文化がスタートした
のもこのエリアなのだそうです。

 

そんな気質もあってか、この街の学生や市民は、進歩的な考え方を持ち、
時に反体制的でもあり、とても自由で革新的な気風の持ち主が多いと
言われています。

 

それを象徴しているのが、2012年の9月18日に、アメリカの都市として初めて、
毎年9月23日を、

 

「Celebrate Bisexuality Day」

 

として認めたという事実です。

 

 

 

さて、話はそれましたが、ソーダなどの砂糖を含む飲み物に課税をしようという
動きは、ここ数年アメリカの各地で発生しており、またこれまではそれらの
試みは失敗に終わってきました。

 

ちなみにバークレーのお向かいサンフランシスコでは同日に、2%を課税すると
いう法案の可否が問われ、投票数の3分の2の賛成を必要とするところ、54.%5の
賛成にとどまり、法案は通過されませんでした。

 

 

 

しかし、バークレーは違いました。

 

 

「Yes on Measure D/法案Dにイエスを」

 

 

というキャンペーンスローガンの下、法案支持者たちは草の根活動を展開。

 

活動を実施するに当たっては、2012年にカリフォルニア州リッチモンドで
同様の法案通過の是非が問われた際に、法案が否決された経緯や背景など
を教訓としたのだとか。

 

sodatax写真03
Picture:Screen shot of TIME

 

※Berkeley VS Big Soda Website(キャンペーン公式サイト)
http://www.berkeleyvsbigsoda.com/

 

 

結果、「American Heart Association」、「American Academy of Pediatrics-
California」、「Berkeley Federation of Teachers」「NAACP」、「YMCA」など
の各団体からの支持、そして市も法案通過を支持する側につくという、強力な
バックアップ体制ができあがったのです。

 

また、ニューヨーク市長時代に、同様の試みをして失敗した経験のある、
マイケル・ブルームバーグ氏が、支持を表明し、37万ドルにのぼる
資金援助を行ったのだそうです。

 

 

 

一方で、各飲料メーカーと深いつながりのある「The American Beverage Association」
などは、2010年以来、全米各都市で発生してきたこうした動きを、多額の資金を
投じたロビイ活動などで封じ込めてきました。

 

「Yes On Measure D」に対して、「No on D」と称したキャンペーンを展開し、
駅や列車などにポスターなどを掲示、CMを流すなど、豊富な資金に助けられ
大々的なアンチ法案運動を実施していたようです。

 

 

結果は、75.12% 対24.88%で、法案は通過。

 

 

このソーダ類への課税法案の結果、350ml缶で12セント、2Lペットボトルで
68セントの値上げとなります。

 

課税による値上げで、どこまで消費者の消費行動に抑止力がもたらされる
のかはわかりませんし、このバークレーの動きが簡単に他都市へ広がるかと
いうと、それも難しい一面がありそうですが、新たな一歩が刻まれたことは
間違いありません。

 

 

 

※ニュースソース

※CNN Money
http://money.cnn.com/2014/11/05/news/economy/berkeley-soda-tax/

※npr blog
http://www.npr.org/blogs/thesalt/2014/11/05/361793296/how-did-berkeley-pass-a-soda-tax-bloombergs-cash-didnt-hurt

※TIME
http://time.com/3558281/soda-tax-berkeley/

※USA Today
http://www.usatoday.com/story/news/nation-now/2014/11/05/berkeley-passes-soda-tax/18521923/

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