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独立したならば、可能性のある場所で一番を目指したい

繁田 奈歩 しげた なほ さん 株式会社インフォブリッジマーケティング 代表
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Part.2

 

■初めての海外旅行をきっかけに、スモールビジネスを立ち上げる。

 

繁田さんがインドと初めて関わりをもったのは、大学2年生の時のこと。人生初めての海外旅行先がインドだった。

 

「もともと海外に興味がなく、英語もまったく話せなかった。でも、せっかく長く休める学生という立場なのだから、海外旅行ぐらい行っておくか。そんな軽い気持ちでした。旅行先としてインドを選んだのは、近所にある小さな旅行代理店で『インドなら学割が利くよ』と勧められたからです(笑)。アメリカやヨーロッパに行こうとは最初から考えませんでしたね。英語がまるでダメでしたから。でも考えてみれば、今、インドで使っているのは英語なのですが(笑)」

 

 繁田さんは初めてのインド旅行をきっかけに、現地で旅行者のタクシー送迎サービスを立ち上げることに。

 

「インドでは、バックパッカーはたいていデリーの空港から安宿がたくさんある街までタクシーで行くのですが、悪い運転手にぼったくられる確立が高いと言われています。高級ホテルは送迎を出してくれますが、安宿にそんなサービスはありませんし。

初めてインドに行った時、一人ではまずかろうと、空港でたまたま見つけた日本の男の子と一緒にタクシーに乗ったんです。彼とは街で別れたのですが、ひと月ほど旅行して帰国したら日本大使館から連絡があり、彼がその後行方不明になったと聞きました…。その後、バックパッカーを空港から街までタクシーで送迎するサービスを立ち上げました」

 

 '95年当時、インドでビジネスを考える学生など皆無だった。

 

「うちの両親は会社員と専業主婦。まわりにも商売人は一人もいません。ついこの間までパスポートも持っていなかったのに、気づいたらインドにいました(笑)。当時は本当に何も考えてなくて、いいんじゃない? 当たりそう、ぐらいの感覚でした。

日本とインドを行き来しながら、3年ほど続けましたね。でも徐々に飽きてきたのと、このまま続けてもこれ以上大きくはならないだろう、と考え、やめました。そして大学卒業ぐらいはちゃんとしておこうと、日本に戻ってきたんです」

 

 そのころ出会ったのが、インターネットによる市場調査会社インフォプラント(現マクロミル)代表の大谷真樹さんだった。繁田さんは大谷さんにスカウトされたことをきっかけに、学生のうちから同社で働き始めた。

 

「'97~'98年ごろから、日本でもインターネットが本格的に使われ始めました。当時、メーリングリストを核にしたコミュニティがいくつかあり、そこで出会ったのが大谷さん。インフォプラントに入社したのは、ずいぶん強引な流れでしたね(笑)。いきなり電話が来て『ヒマだったら今から事務所に来い』と言う。そこで行ってみると、会議室で『今日は一つだけ質問がある。“イエス”か“ノー”かを答えろ』と脅されまして。よくわからぬまま『イエス』と言うと、『じゃあこれからウチで働け』と(笑)。

でも、最初は何もできないわけです。そもそも大学にぜんぜん行っていなかったし、プリントアウトの仕方すらよくわからない。雑用から始めて徐々に慣れ、大学を卒業してからも、そのまま働き続けました。

その後、しばらくシステムの責任者をしていたのですが、3年ぐらいやると、飽きてつまらなくなっちゃうんですね、私(笑)。そろそろ辞めようかと思っていたら、インフォプラントが中国で調査事業を新たに立ち上げることが決まり、『それなら行ってきます』と。確か2004年だったかな」

 

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■バックパッカー向けと企業向け。出てくる人が、まったく違う(笑)。

 

 繁田さんは上海で、インフォプラントの事業立ち上げに従事した。しかし、2006年に会社の資本移動が決定。繁田さんは中国に残って自らの会社、インフォブリッジホールディングスを設立する。

 

でも中国は商売が厳しく、競合も多い。日系企業も多く進出しているし、現地の会社もいろいろとあった。とにかく競争が激しいんです。そんな状況の中である人に『せっかく独立するなら、1番を目指さないとダメだ』と言われ、思ったんです。『中国じゃ1番は絶対に無理だな』って。じゃあどうしようかと思った時に、考えついたのがインドでした。学生時代にインドにいたので、ある程度の知識はある。そしてインドには12億の人がいる。当時は日系企業の進出もまだ300社弱。ひょっとするといいのでは、と考えまして」

 

 そして2006年にビジネスをスタート。まずは、日本と上海でノウハウのあった市場調査から事業を始めた。ちなみに学生時代のスモールビジネスで得た人脈は、いっさい持ち越していない。

 

インドには、貧富の差による階層の違いが確固としてあります。そのため、バックパッカー向けの商売には、それこそ魑魅魍魎がいっぱい出てくる(笑)。でも企業向けのビジネスはまったく違って、いたって普通な人が出てきます。おつき合いするのが、まったく別の層なんですよ。この落差の激しさは、インドならでは。

当時、日本では、インドは今後大きくなるかまだわからない、という見方が主流でした。でも欧米では、今後確実に成長軌道に乗る、とすでに言われていました。中国ほど大きくなるかはわかりませんが、伸びることは確実。日系企業も絶対に増えるので、やるべきだと思いました。

 

インフォプラントの中国事業はすべて自前で行ったのですが、国のスケールを考えると難しい面がありました。その反省を踏まえ、インドでは現地でパートナーを見つけ、そこに資本参加する形を取りました。調査は地場産業ですし、あの国は広くて社会構造も複雑ですからね。会社は今、200人強の規模です。昨年、野村総研さんにも出資していただいたので、やっとまともな会社に見えるようになった気がしています」

 

今後ますます過熱するであろう、日系企業のインド進出。
次回はインドビジネスの面白さと難しさ、そして繁田さんの事業におけるポリシーなどについて聞いていく。

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プロフィール

1975年愛知県出身。東京大学卒業後、’99年インフォプラント(現マクロミル)入社。
’02年に同社取締役就任。
’04年に同社海外取締役に就任するとともに、上海に海外子会社インフォブリッジチャイナを設立し、薫事兼総経理就任。
’06年に同社を退任。インフォブリッジホールディングスを設立し、中国事業の他に、インドでのマーケットリサーチ事業を開始。
2008年にインドの調査会社Market Xcel Data Matrix社に資本参加。
2011年にInfobridge India Pvt.Ltd.をニューデリーに設立。日系企業の進出サポート、マーケティング支援事業などを開始。現在、デリー在住。

※ 会社、役職、年齢など、記事内容は全て取材時のものです

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