教育の実態とデジタルマーケティングの過去/現在

河野矢 薫 [記事一覧]

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Cloud-Innovation Inc, 代表取締役/CEO 花園大学非常勤講師 AppSule Inc, 共同創業者/CMO 京都府出身。 09年に株式会社サイバーエージェント新卒入社。広告代理店事業部に配属される。主に営業職(アカウントプランナー)として、単品通販や、金融機関、 総合通販・塾運営の企業などの企業を担当。CRM領域のサポートも広告誘導と合わせて提案するスタイル。14年にAppSule設立に参加。ECサイトに特化した既存カート連携のスマホ・ネイティブアプリの提供を行っています。

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Vol.2
「クラウドで働くマーケターのコラム」

 

コラムの第一回・第二回にて、マーケティングを行うには『経験』が必要とお伝えしました。

 

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今回は、それを補う方法やマーケティング学習のポイントなどにも少し触れたいと思います。

 

現在は、マーケターが育つにはそれなりの時間が必要ですよね。

では、どうすればその時間を短縮できるのでしょうか?

 

■ 現在を学び、どう体現するかを考える教育

 

まず一つ目ですが、そもそも教育から変えてしまおうという発想です。

 

現在、私は大学にて『次世代マーケターの育成』をさせて頂くような講義をさせていただいております。

ただ、あくまでもそれは知識レベルにしか過ぎません。

これまでもお伝えしているように、授業を受けたからといってそれは知識向上にしかつながりません。

また、大学のマーケティング関連の授業は恐らく大半が、『過去』を学んでいるだけなのです。

 

決してそれが悪いことではありませんし、そうでない大学もあると考えていますが、大半がそのような状況になっていると考えています。

特に、マーケティングは常に技術変化が起こっているため、過去と平行して現在を学ぶ環境が無くては到底時代に追いつきません。

 

また、学問ではない「実務」に関する技術関連の講義に関しては、更に状況が悪いのです。

大学の教員というのは、教授だけでなく、非常勤の先生(大学の掛け持ち)の方々が非常に多いのですが(もちろんそうでない方はいらっしゃいます)、

できれば、教員の方は現役でマーケティングに携わる方が良いのではないかと思います。

なぜかと申しますと、上記にも記載しているように“『現在』をどう学ぶか・どう体現するか”がポイントになります。

 

私の実際の講義では、基礎を学ぶと同時に、課題などは私のクライアントの課題解決や、現場で活躍されているソーシャルメディア企業の方、広告代理店の方、ゲーム会社の方などを招待してディスカッションをするような形式を取る予定です。

しっかりと『生きている課題』を解決するチカラをつけることが、マーケティングの教育の重要なポイントになると思います。

実際に、現場に出ると課題の解決後にはまた課題が大抵出てくるため、そのサイクルを理解するところから行う必要があると考えます。

 

学生に対しては今後インハウスマーケティングを行う企業が増えてくることで、就職活動の際に多少は有益なスキルになって来ますので、よい傾向に向かうはずです。

 

このような取り組みを草の根的に続けていくことで、社会出る前に経験はなくても知識レベルで高い水準の大学生を輩出することで、入社後の適応力と、経験スピードに差が出てくるのではないかなと考えています。

まだまだ成功例は先になりますが、このような取り組みを応援して頂ければ幸いです。

 

■ 過去を学ぶ大切さ

 

次に二つ目の考え方ですが、上記とは反対に過去をちゃんと学ぼうということです。

大学の教育は『過去』を教えるものだと記載をしておりますが、それとは反対に企業における教育の重きはどうしても、『現在』のマーケティング技術や、新しいデジタル技術の仕組みが中心となっています。

 

業務や経済活動の中で何かを販売して売上を作るというビジネス構造上仕方の無い部分があるのですが、できれば、新卒〜3年目までの方を中心にできるだけ現在の技術と平行して過去を学ぶ姿勢を持って頂きたいと考えています。

 

なぜなら、技術変化の理由が理解できると次に起きるうる技術変化への予測やイメージができるようになるからです。

 

例えばアドエクスチェンジという考え方ができたこともひとつです。

それは純広告とアドネットワークの収益化などの部分も考えると妥当な正しい進化だと私は考えます。

 

既にリスティング広告は2002年に国内に上陸してかれこれ12年ほど経ち仕様も様変わりしています。もう長い歴史を築いている結果が今のリスティング広告なのです。

しかし、なかなか10年以上リスティング広告に携わっている方々から当時の状況を聞く機会もございません。

私も当時、いろいろ検索をしたり先輩に話を聞いたりして当時の広告技術と現在の広告技術の違いや進化の過程を把握するようにしました。

 

とはいえ、

『そんな先輩周りにいません!』

という声もあると思いますので、学びのコツを2つほどご紹介します。

 

一つ目は、前回のコラムにも記載しておりますマナビトオンラインの講座の一コマです。

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マナビトオンライン | 検索連動型広告の歴史

 

当時、国内においてリスティング広告会社の初期メンバーだった杉原剛氏・佐藤康夫氏のお二人による講義で、当時の状況を振り返りながら歴史を学ぶことが可能です。

また、私は大学の授業においてもこちらのサービスをカリキュラムとさせて頂き講義をさせて頂いております。

実務経験のない大学生でもわかりやすく解説をされている為、非常に重宝しております。

 

また、現在はアドテック東京などの広告関連のイベントも各地で開かれていますが、昨年は検索領域に特化したイベントなども開催されています。

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SearchSummit Tokyo

 

写真は昨年(2013年)に行われた「Search Summit Tokyo」。著名な第一線で活躍をされている方が、検索の歴史を自然検索(Organic Search)やリスティング広告(Paid Search)にわけて説明されていて、やはり検索領域の歴史などもテーマに組み込まれていました。

2014年も秋に開催されるようなので、ご興味ある方はぜひ参加してみてください。

マーケティング技術向上や学習は、過去も平行して学ぶことが重要であり、今後のトレンドや変化を察知するきっかけになりますのでおすすめです。

 

 

今までは学習方法について記載をさせて頂いておりましたが、今後は少し目線を変えて次回以降、教育絡みの内容以外も書いていこうと思います。

ここまで読んで頂き、おもしろいなと思って頂けた方はぜひ次回もお楽しみにしていただければと…。

 

 

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