もしアメリカが「グレートブリテン2」だったら?独立記念日イブを祝う、英ビールブランドのキワドイマーケティングが面白い!

ヒューレット秦泉寺 明佳 [記事一覧]

愛媛県出身。大学卒業後、広島〜東京〜アメリカと移り住んだフリーランスライター。 通訳、英会話講師など英語スキルを生かした活動も行っています。趣味は料理、ホームパーティー、水泳、ハイキング。各国のユニークな広告やTVコマーシャルのウォッチで一日を費やしてしまうことも。

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もしアメリカが「グレートブリテン2」だったら?独立記念日イブを祝う、英ビールブランドのキワドイマーケティングが面白い!|スゴい★PR《世界のマーケティング最新事例》

 

 

 

読者の皆様、こんにちは。

 

 

アメリカでは「Independence Day=独立記念日」を間もなく迎えると あって、街やメディアは「お祝い・お祭り」ムードが高まっています。

 

「Stars and Stripes」、すなわちアメリカ国旗、星条旗のモチーフが、 街並み、家々、商店から様々な商品までを彩っています。

 

 

そんな一年で一番、「Patriotism=愛国心」の高まりを感じずには いられないこの時期に、とんでもないマーケティングを仕掛けてきたのが、 イギリス発のビール、

 

 

「New Castle Brown Ale/ニューカッスルブラウンエール」

 

 

です。

 

 

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Picture:Screenshot of Gizmos Martini Bar

 

 

 

1927年にイギリスで生まれたこのビールは、1990年代後半にはイギリスで 最も流通しているエールビールとなっていましたが、現在ではその主要 マーケットはアメリカになっています。

 

 

そして今回、このニューカッスルが仕掛けたマーケティング企画が、

 

 

「If We Won=もし我々が勝利していたなら」

 

 

と題されたものです。

 

 

そして、「何に勝利していたら?」なのかというと、「Revolutionary War」、 つまりは、「アメリカ独立戦争にイギリスが勝利していたら?」ということ なのです。

※ちなみにアメリカでは、「American Revolution(アメリカ革命)」、 もしくは「The Revolutionary War(革命戦争)」と呼ばれることが 多くなっています。

 

 

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Picture:Screenshot of Laughing Squid

 

 

 

いやはや、とんでもないですよね。。。

 

 

アメリカが、アメリカ国民が、そのイギリスの支配からの独立並びに 国家樹立を祝う独立記念日に合わせて、こんな企画を放り投げてくるとは!

 

 

実はこのニューカッスル、昨年から、

 

 

「Independece Day Eve/インディペンデンスデイ・イブ」

 

 

なるものを提唱し、7月3日にはニューカッスルビールで乾杯しようと アメリカでアピールし始めたのです。

 

 

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Picture:Screenshot of New Castle Brown Ale Youtube Video

 

 

独立記念日頃になると、バドワイザーやミラーなど、アメリカの各ビール 会社は、国民の愛国心を刺激するようなコマーシャル、マーケティング 企画を毎年投入してきます。

 

そんな時期に、よそ者ニューカッスルがビールを売り込むのは容易では ないというわけで、「イブ」を設定しちゃったわけなのです。

 

 

そして、さらに今年は、そこに「If We Won」企画を絡めてきたという ところなのです。

 

 

「もしイギリスがアメリカに勝利していたら、どれだけ素敵なことが (アメリカで)起こっていたか、どれだけのニューカッスルビールが 売れていたことか、想像してみてください」

 

 

なんてキャッチコピーとともに、今回は、ハリウッドでも大活躍している イギリス出身のセレブ、「Elizabeth Hurley/エリザベス・ハーレー」、 「Stephen Merchant/ステファン・マーチャント」、「Zachary Quinto/ ザッカリー・クイント」の3人を起用した動画などを作成、特設サイト で公開、放映をしています。

 

 

※If We Won特設サイト

http://www.ifwewon.com/

 

 

 

いずれの動画も、ブラックユーモア全開でとっても面白いので、ぜひぜひ ご覧になってみてください。

 

※If We Won:The USA Would Be Great Britain 2

http://youtu.be/UceS6lY9ers

もしイギリスが戦いに勝利していたら、アメリカは「グレートブリテン2」 という名前だったかもしれないのに・・・ととんでもない(!)ことを 動画で訴えています。

 

 

 

※An Apology To America From Newcastle And Elizabeth Hurley
 

 
エリザベス・ハーレーが、アメリカの人々に対し、今回のキャンペーン がとっても攻撃的で非礼であることを・・・詫びているようで詫びて いません(苦笑)。

 

 

 

※Stephen Merchant Presents: "If We Won" with Newcastle Brown Ale
 

 

ステファン・マーチャントに言わせれば、アメリカ人が独立記念日を 祝うのは、「300年にもわたって毎年、恋人と別れたことを、花火で 祝っているようなもの」なのだそうです。

 

イギリス英語のスラングや罵り言葉を多用しているのも面白いですね。

 

 

 

※Zachary Quinto Presents: "Independence Eve" for Newport Brown Ale

 

 
 

「ニューカッスル」ならぬ「ニューポート」ビールを、お金(ギャラ)の ために推奨するザッカリー・クイント。

 

 

この他にも、昔のドリフターズの「もしも」シリーズのように、「もし イギリスが勝利していたら、アメリカはこうなっていた」というテーマ での動画も複数制作されています。

 

 

※If We Won:Black Cabs

 

 
 

※If We Won:English Muffins

 

 
 

一つ目はもしイギリスが勝利していたら、アメリカのタクシー「イエロー キャブ」はイギリスのような「ブラックキャブ」だったのにという内容。

 

 

また二つ目の動画は、もしイギリスが勝利していたなら、「イングリッシュ マフィン」とアメリカで呼ばれているマフィンこそが「マフィン」と呼ばれる べきであり、現在アメリカで定番のマフィン(甘い700kcalもあるような マフィン)であるものは、「Bull ****(****部分はshit)」とでも呼ばれて いただろうに・・・などという見解が示されています。

 

 

 

 

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Picture:Screenshot of New Castle Brown Ale Youtube Video

 

 

 

当事者ではない私たちから見ると、とんでもなく面白い今回の企画なのですが、 愛国心にあふれるアメリカ人の皆さんはどう反応するのか?

 

不買運動など起こらないのでしょうか・・・?

 

 

 

先に紹介した動画にもある通り、先手をとってエリザベス・ハーレーを起用した 「Apology(謝罪)動画」(実際には全く謝罪ではないですが)を制作してある あたりも、抜かりがないというかなんというか。

 

 

「笑い」や「ユーモア」のセンス、質が異なるといわれることも多い、アメリカ とイギリスですが、今回のとっても「キワドイ」企画を、アメリカ人が受け入れ、 楽しんでくれることを願いたいものです。

 

 

 

 

※ニュースソース

※Daily Picks And Flicks

http://dailypicksandflicks.com/2014/06/24/if-we-won-newcastle-brown-ale-ad-with-stephen-merchant-video/

※If We Won.com

http://www.ifwewon.com/

※Creative Review

http://www.creativereview.co.uk/cr-blog/2014/june/ad-of-the-week-newcastle-brown-ale-if-we-won

※HEINEKEN USA

http://heinekenusa.com/press-releases/newcastle-brown-ales-made-independence-eve-holiday-celebrates-great-america-britain-won-revolutionary-war/

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